─ルーティーンに使われる曲はどのように決めていたのでしょうか?
出場する大会によって違うんですけど、オリンピックや世界選手権などの大きな大会では、作曲の先生がいて、オリジナルの曲を作ってくれることが多かったです。でも、大学生の頃は自分たちでCD屋さんに行って、何枚も何枚も買って。試聴できないじゃないですか、CDって。で、シンクロで使う曲って結構マニアックな曲が多いので(笑)。サウンドトラックとかワールドミュージック系のCDを買うんですけど、パッケージを見て「なんか良さそう」と思って何枚も買うんですが、聴いてみたら求めていたものと違って何回も泣いて(笑)。編集も自分たちでやっていました。
─それなら、選手時代にiTunesがあったら楽だったのに。
本当に(笑)! Music Storeって試聴できるし、一曲ずつ購入できますもんね。今の選手は本当に便利でうらやましい(笑)。パソコンで編集もできますしね。
─やっぱり曲選びは重要になりますよね。
すっごく重要です。シンクロってスポーツなんですけど、結局総合的な舞台を作るような感じで関わったほうがいいんですよね。コスチュームもものすごく重要です。音楽でコケると技術的に優れていても訴える部分で弱くなったりするんですよ。だから曲選びはすごく重要です。
─一番思い入れがある曲といわれると、どの曲になりますか?
オリジナルの曲になりますけど、自分自身のシンクロ観がちゃんとした形で「これかも!」って気づけたのが2001年の大会で使用した曲だったんですよ。テーマは「パントマイム」で、確か『リトルシアター』というタイトルでCDに収録されていた曲だったと思います。
─ということは、そこまでたどり着くまでにいろいろ悩んだ時期があったわけですね。
そうですね。デュエットを組んだのが97年からだったんですけど、スタート当初はかなり迷走していた時期があったんです。
─どのような問題があったのでしょうか?
パートナーの立花(美哉)さんとの持ち味の違いですね。まず私のほうが身長が5cm低かったんです。これによりまず同調が難しくなります。それから、私は速い動き、パワーがあるシャープな動きを得意にしていたんですが、立花さんは身体の柔らかさを活かしたしなやかな動きを得意としていたんです。
─そのあたりの問題を払拭できたのが2001年のその曲だったわけですね。
はい。5年経ってようやくなんですけどね。パントマイムをテーマにしたカチコチした動きが私に合っていたんですよ。それまで、デュエットパートナーの役割って、自分全てを無にして、相手に合わせることだと思っていたんですけど、そこで初めて、相手を感じながら自分のいいところを自信にして、お互い引っ張り合うようなものじゃないのかなって気付けることができたんです。そうしたら練習がすっごく楽しくなって。舞台の環境も揃ったしいいプログラムにもめぐり合って、初めて試合早く来ないかなって思えたんですね。で、踊っていても本当に笑っちゃうくらい楽しくて、そんなシンクロができたのが2001年でした。
音楽は私の成長記録です
─iPod nanoはブルーを選択されたんですね。
はい。水をイメージさせる色なので、ブルーを使っています。nanoはかさばらないですし、どこへ持って歩いていっても重たくなくて、しかも可愛いじゃないですか。すごく気に入ってます。私、機械はまったくダメなんですけど、簡単に使い始めることができましたし、そのあたりも嬉しかったですね。
─現役のシンクロ選手でiPodを使っている人は?
いますよ。移動中に使っている人が多いですね。それからデュエットの場合は、イヤホンを二人で片耳ずつシェアしながら聴くこともあります。
─自分のルーティーンの曲をiPodで聴いている選手が多いということですね。
そうですね。それこそ移動中ずっと。
─でも、練習中も同じ曲をずっと聴いているわけですよね。
シンクロって練習時間がとても長くて、毎日10時間くらい練習しているんですよ。その間、その曲が鳴り続けています。そして、曲と一体感をもてるくらいに仕上げます。もちろん『間』まで完璧に。音があって、無音があって、次音がくる、その『間』を完璧に自分の中で熟知するくらい聴き続けるんですよ。選手同士で水の中の動きを陸上で申し合わせるラウンドドリルというものがあるんですが、それも練習後1時間はやります。そして、移動中も聴いている(笑)。
─それは大変ですね。それは大会前、どれくらいの期間やるんですか?
いやもう・・・約1年かけて。ほぼ、オフシーズンがないんですよ。秋くらいにその年の大会が終わって、一ヶ月くらいゆっくりする時間があるんですけど、水から離れすぎると感覚が鈍るんで、自分で行かなくちゃ! って思うんですよね。だから泳ぎに行っちゃうんです。
─そこまで一緒に過ごすということは、選手たちは本当に家族というか、ひとつの運命共同体ですね。
そうですね。親兄弟以上に一緒にいるので、嫌なところとかもちろんいっぱい見えるんですけど、それも全部全員が受け止めて一緒になって・・・そういう感じですよね。ずっと同じクラブで一貫教育なワケですよ。だから顔ぶれもほぼ変わらない状態で、全日本のメンバーも毎年選考会があるんですけど、経験上、あまり極端なメンバー交代はなかったです。引退に伴う入れ替わりがなければ毎年ほぼ同じメンバーと一緒にやれるんですよね。だから、なんて言うんでしょう・・・。他に比較対象にするものがないですよね。
─最後に、武田さんにとって音楽とはなんですか?
私の、成長記録です。それぞれの年代で好きな音楽があって、それこそシンクロで使っていた曲とかも、パッと聞いた瞬間に、『あ、あの時辛かったな』って体が強張ったり、逆にすごい楽しく過ごせていたときの音楽を聴くと気持ちがリラックスしたり。音楽聞いただけでその瞬間に戻れる、そういうものですね。
─ありがとうございました。
Profile
- Name
- 武田美保(タケダ ミホ)
- Birthday
- 1976/9/13
- Blood type
- O型
- Speciality
- ブログ、ピラティス、カフェ、コスメ、ファッション、お笑い、映画、ミュージカル、オリンピック
Gallery
MARUNOUCHI CAFEにて行われたピラティスのレッスン
分かりやすく、そして熱心にレクチャーする武田さん
生徒一人ひとりにしっかりケア
シンクロ時代の経験がピラティスにも活きています





