2005年の「愛・地球博」を舞台に盛大におこなわれた音楽イベント「Love The Earth」。その最終公演「YUMING Love The Earth Final」をきっかけに、国、人種、文化、伝統の違いや歴史の営みによって存在するアジア各国間のさまざまな壁を「音楽」で乗り越えようと立ち上げられたムーヴメントが「Friends of Love The Earth 2006」です。松任谷由実さんが中心となり、アジアのビッグ・アーティストたちとのコラボレーションによって生み出された楽曲は、2006年8月に「Knockin' At The Door」が、9月13日からは「Color Of The Moon」「WAKE UP(RAP+)」の2曲がiTunes Storeで先行配信されています。松任谷さん、そして「Color Of The Moon」で松任谷さんと共演した平原綾香さんに、「Friends of Love The Earth 2006」についてお話をうかがいました。
アジアがひとつになろうというムードに、みんながリンクしている
──「Friends of Love The Earth 2006」というムーヴメントを始めるにあたって、「全世界」ではなく「アジア」という地域にフォーカスした背景には、どういう意図があったのでしょう?
松任谷 次回の万博の開催地が上海ということもあって、次につながるような内容にしようと思って始めたものですから、ごく自然な流れとして「アジア」にフォーカスしたんです。
──素晴らしく豪華なアーティストが多数参加していますが、これだけの顔ぶれを揃えるのはたいへんだったのでは?
松任谷 ほんと、奇跡的にブッキングができた方も多いんですよ。アジアがひとつになろうとしているムードにリンクしているのかなあと思いました。もしかしたら、潜在的にそういう欲求がみんなの中にあったのかも知れませんね。
──平原さんは、どういうきっかけでこのムーヴメントに参加されたんですか?
平原 ご飯につられて(笑)。ユーミンさんとおうちが近いこともあって、「ちょっとデモを録ってみない?」って感じで声をかけてくださったんです。このムーヴメントの初期の段階からミーティングに参加させてもらえたことは、すごくうれしかったですし、私にとって大きな財産になりました。
──松任谷さんが、それだけ平原さんをリスペクトしていたということですよね?
松任谷 彼女の深遠で、かつノン・ジャンルな音楽性。ポップスでもロックでもクラシックでもなく、ひとつの枠にハマらない音楽性が、「国を越えて」というコンセプトにぴったりじゃないかと思ったんですね。うん、実際に彼女はなんでも歌えちゃうと思いますよ。
常に最新のものを取り入れて「変化しているからこそ変わらない」
──平原さんは昨年、「晩夏(ひとりの季節)*1」をカヴァーされているくらいで、松任谷さんの音楽に対して並々ならぬ想いがあると思うんですが、今回の共演はいかがでしたか。
平原 普通だったら「あっ、ユーミンさんのお宅にお邪魔しちゃったわぁ」っていうふうに舞い上がると思うんですけど、私はうれしさを通り越しちゃって、すごくリラックスできたんですよ。いまはこうやって隣に座らせてもらって、音楽を一緒に作って、おうちにも行って炭火焼きしたり(笑)。
松任谷 彼女はね、すごくいい意味で「天然」ですから、こちらもあまり気を遣わないというか(笑)。
──お友達同士のようなお付き合いをされている感じですね。
平原 そういう空間をユーミンさんが作ってくださるんです。曲作りの作業をしているときもピリピリする感じがなかったですし、「とりあえずやってみて」とか気楽に話しかけてくださるし。キャリアはぜんぜん違いますけど、音楽という「輪」でつながっていけるんだなあって思いました。
松任谷 私も10年ぐらい前だったら、彼女みたいな新進気鋭のアーティストに対してピリピリしていた……かも知れない。でも「老いては子に従え」じゃないけど(笑)、そういうことがだんだんなくなってきて。いまは彼女から感じる新鮮な部分を、いっぱい学びたいなって自然に思えるんですよね。
平原 やっぱり、音楽に対して心や魂を込めようとする意識が高ければ高い人ほど、敷居は低くされていると思うんですね。それはいろんなアーティストの方と接して思ったことなんですけど、今回、ユーミンさんと接しても改めてそう感じたんです。
*1 荒井由実の作品。アルバム『14番目の月(The 14th Moon)』に収録。
次ページ:ムーヴメントから生まれた楽曲はiTunes Storeで配信する

