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歌手の河合奈保子さんが10年の沈黙を破り、ピアノ作品『nahoko 音』をiTunes Music Storeで独占リリースします。その背景にはMacや様々なアップルソリューションが活躍していたのでした。今回はプロデューサーを務められた森村献氏に、その作品の誕生までのストーリーを伺いました。
──河合奈保子さんのコメントの中で「Macとの出会いが今回の作品につながった」とお話されていますが、実際にどのような事が行われていたのでしょうか?
■森村:河合さんの作曲のスタイルは、自然に頭の中にメロディが浮かんでくるものを形にするというものです。もちろん譜面でメロディを残すという方法もあったと思うのですが、日々の主婦業の合間でそれを行うのもままならない。しかしMacと出会ったことによって、簡単に自分のアイデアをスケッチできるようになったのです。 ──具体的にはどんなソフトを使っていたのでしょうか?
■森村 :通常ならそのアイデアを譜面に起こし、レコーディングスタジオにこもってグランドピアノで再度レコーディングを行います。しかし、今回はこの10年間彼女が過ごしてきた生活の雰囲気…いわばリビングルームの空気感を、ファンの皆さんに伝えたいと考えたのです。そのため、スタジオの緊張した雰囲気の中で何度もレコーディングをしなおしたような音ではなく、河合さんが実際にリビングルームで記録した、飾りのないリラックスした演奏をそのまま残して、作品として仕上げることを選んだのです。 ──ということは、この作品のピアノはすべてMacによってMIDIレコーディングされたものなのですね。 しかし普通にグランドピアノでレコーディングされているものとなんら遜色ないサウンドですが、どのような工夫がなされているのでしょうか。
■森村:実はそこが一番大変なところでした。MIDIレコーディングされた演奏データは、後から音源のみ差し替えることによって音質を上げる事は可能です。しかし今回のようなピアノソロの作品となると、どんなに良いピアノ音源を使ってもデジタルっぽさが出てしまうんです。一時はスタジオに入っていただく事も検討しましたが、その時に河合さんサイドのほうから「KORGのOASYSというシンセサイザーはどうか」と打診されたんです。実際にそのシンセサイザーを弾いてみたところ、全音サンプリングのピアノサウンドのクオリティが非常に高く、またダンパーペダル(※音を伸ばす効果のあるペダル)を踏んだ時の残響音などへの工夫がとてもよくなされていて「これならいけるのではないか」と思いました。そこで河合さんからGarageBandのデータをいただき、Logic Proで開いてOASYSで鳴らしてみたところ、私も河合さんも満足できるサウンドになったのです。 ──音源を置き換えた他には、どのような作業をされたのでしょうか?
■森村:今回の作品は、すべて河合さんが頭の中に自然に湧きあがる旋律を、その場でGarageBandにてレコーディングしたいわゆる“一発録り”だったので、多少の修正は必要でした。そのあたりはLogic Proで直してますが、基本的にはオリジナルの演奏をできる限りそのままの形で作品にしています。そのため非常にリアルな、息づかいまでが聴こえてくるような、暖かみのある作品に仕上がっています。また、この作品の持つ空気感をより一層引き立てていただくために、現在LAで活躍中の世界的に有名なマスタリングエンジニア、ボビーハタさんにマスタリングをお願いし、とても素晴らしいサウンドに仕上がっています。 ──今回は発表の場としてiTunes Music Storeを選ばれましたが、その理由は何故でしょうか?
■森村:まず、この作品が誕生するきっかけとなったのがMac、GarageBandといったアップルのソリューションだったという事があります。さらに河合さんは現在海外にお住まいで、私は日本で一連の作業を行ったのですが、その作業の進捗の確認などにiChatや.macのiDiskなども大いに役立ちました。そんな背景からiTunes Music Storeを発表の場に選んだのは当然の流れでしょう。 ──非常にシンプルなピアノ作品でありながら、その背景でたくさんのアップルのソリューションが活躍していたのですね。今後もリリースの予定はあるのでしょうか?
■森村:まだ具体的な予定はありませんが、今現在も河合さんは日々音楽を作り続けています。それをまた発表する機会もあると思いますので、ぜひ期待していてください。 |
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