「iPod touchならゲーム、DJ、ファンとのコミュニケーションもいままで以上に楽しめそう。」

Special Interview
VERBAL (m-flo)

1999年の鮮烈なデビューから今年で10周年を迎えた、プロデュースユニット、m-flo。10月7日には、集大成となるベストアルバム『MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-』をリリース、iTunes Storeでも配信をスタートします。今回はVERBALさんに、これまでの活動を大きく振り返っていただき、ベストアルバムの聴きどころ、10周年を記念して配信されたiPod touch/iPhone用のアプリケーションについて、お話を伺いました。

ベストアルバムに収録されたのは、1999年から2002年までのLISAさんが在籍した時代の楽曲と、2003年から2008年までの豪華コラボレーション“m-flo loves”シリーズの楽曲の計28曲。今やクラシックとも言えるLISAさん在籍時からのファンも、“m-flo loves”シリーズで彼らの存在を知った最近のリスナーもどちらも満足できる充実の内容となっています。


みんなにm-floのことをもっと
知ってもらうために。

—10周年、おめでとうございます。今回、このタイミングでベストアルバムのリリースとなった経緯を聞かせてください。

最近、クラブでファンの方に「私、10代の頃からm-floを聴いてたんです!」って言われたんですけど、実はよくよく訊いてみると、彼女が知っているのは2003年以降の“m-flo loves”としての僕らだったんですね。LISA在籍時代の曲はおそらく知らなかったんじゃないかと(笑)。

一方で、初期の頃のm-floがやっぱり好きって言ってくれる人もまだまだ沢山います。今年でデビュー10周年ということもありますけど、僕らのことを知っている人たちに、もっと他の曲も聴いて欲しいなっていう気持ちがありましたね。もちろん、いままで僕らの曲を全く知らない人にとっても、最高の入門編になればいいなと思っています。

—この10年間の活動をご自身ではどんな風に振り返りますか?

m-floがデビューした1999年前後は、当時流行っていた音楽と自分たちがカッコいいと思う音楽の間にかなりのギャップがあって、「僕らが日本に新しい音楽を提案するんだ!」という意気込みを持って音楽を作っていました。僕も☆TakuもLISAも荒削りで技術的には洗練されていなかったけど、新しい情報や方法論を貪欲に吸収して、どんどん成長していきましたね。

今になって、m-floはこの3人だからこそできたことなんだなって本当に感じます。楽曲のスタイルもバラエティに富んでいるし、今聴いてもいい曲が多いなって思いますよ。古臭さはあまり感じませんね。自分の書いたリリックについては、「こんなこと言ってたんだ?」って他人事のように聞こえますけどね(笑)。

“m-flo loves”シリーズについては、当初驚いていた人も多かったんです。今でこそゲストを呼ぶ「featuring ○○○」というやり方は一般に認知されていますけど、当時は「これでm-floって言えるの?」って言われるぐらいだったんですよ(笑)。人選にしても、最初の曲『REEEWIND!』はCrystal Kayだったのに、2曲目のシングル『miss you』では当時まだ新人だったmelody.とRyoheiを起用したりと、普通はやらないようなことばかりやっていましたから。

—これだけ幅広い人たちとコラボレートしたミュージシャンはそうはいませんよね。

2002年にLISA が脱退してから、僕と☆Takuはそれぞれ自分のレーベルを立ち上げたり、人のプロデュースをしたり、他のユニットにも参加したりと、より幅広い活動をするようになりました。“m-flo loves”プロジェクトは僕らがそんな課外活動で得た刺激を取り入れながら、毎回どうなるか分からない結果を楽しむ場になっていきましたね。

—ファンの皆さんの楽曲人気投票の結果を見て、いかがでしたか?

LISA在籍時代の『been so long』と『come again』が1位・2位は予想していましたね。でも、“m-flo loves”の投票で『Lotta Love』が16位というのは意外だったかな。この曲はクラブで僕がDJをするときに、帰ろうとするお客さんを引き留められるくらいパワーのある曲なんですよ(笑)。

ちなみに今回、LISAをフィーチャーした新曲『SOUND BOY THRILLER』をつくったんですが、これも自然な成り行きで「やっぱりLISAかな」って思ってできた曲なんです。彼女とは脱退してからも一緒にツアーを回ったり、彼女のソロアルバムに参加したりと、やり取りはずっと続いていたんですけどね。サウンド自体は僕と☆Takuの最近の活動を反映して、よりフロア受けを意識したテイストになっています。

 

DJとしても、iPod touchのAppsを
もっと使ってみたい。

—今回のベストアルバムの選曲には、iPod touch/ iPhone用アプリケーション「m-flo 10th Anniversary」を使って投票されたファンのリクエストも反映されていますね。

アーティストのオフィシャルなアプリケーションというと、現状では公式サイトにあるコンテンツをそのまま取り込んだ内容のものが多かったと思います。iPod touchやiPhoneのようなユニークなデバイスを使うのであれば、ファンとのコミュニケーションを楽しめたり、新作のプロモーションとして面白がってもらえるものの方が、自分たちとしても手応えがありますよね。

—最近では携帯ゲーム機としてもiPodに注目が集まっています。VERBALさんは普段コンピュータゲームをされることはありますか?

僕はゲームをやり出すと危険なんですよ。以前、TERIYAKI BOYZ®のレコーディングの時にILMARIくんと「グランド・セフト・オート」にハマってしまって、もう少しで仕事に支障をきたしてしまうぐらいでしたから(笑)。いまもこのiPod touchで「アサシンクリード」をプレイしたら、つい集中してしまって。

—操作感やグラフィックスなど、ゲーム機としてのクオリティはどう思いますか?操作方法の説明画面なども見ないで、結構スムーズにプレイされていましたね。

そうですね。僕はたいてい説明書やマニュアルの類いは見ないんですよね。でもまったく問題なかったというか、直感的に操作ができて気持ちよかったです。iPod touchはスクリーンもきれいだし、大きいので、ゲームの世界観にあっというまに引き込まれますね。

個人的にはiPod touchやiPhoneの操作感を初めて体験したとき、映画「マイノリティ・リポート」を思い出したんですよ。SFの世界で描かれていたコンピュータ端末のイメージが、いきなり目の前の現実になったような衝撃を感じました。

—ゲーム以外のアプリケーションで、注目しているものや気になるものはありますか?

iDaft」や「Dub Siren」など、DJやラップをしながらエフェクト音をリアルタイムで出せるものが周りで流行っているので、僕もガンガンに使っていきたいですね。ここ1年ほどでDJとしての活動が増えてきたのですが、究極的にはこういったポケットサイズのデバイスひとつで、すべてのプレイができたらいいなと思っています。


全方位に僕らの音楽を届けていきたい。

—iTunesが新しくリニューアルして、iTunes Storeに新しいパッケージ「iTunes LP」が登場しました。

音楽配信の時代になって一曲ごとの購入も簡単にできるようになりましたが、僕らみたいにアルバム全体のしっかりした世界観を考えて、インタールードも入れてっていうようなやり方でつくっているアーティストにとっては、やっぱりアルバム全体で聴いて欲しいと思う気持ちもありますよね。iTunes LPはコンテンツの見せ方が立体的で魅力的だし、理にかなっている感じがします。音楽配信での新しい方向性になり得るんじゃないでしょうか。

—第1期・第2期を過ぎ、いよいよm-floの第3期が始まりますね。

不況とか音楽が売れない時代とか言われていますが、僕はお客さんが何を求めているかを肌で感じて、音楽を伝えるための新しい方法を考えることが大事だと思っています。そう、マドンナやJay-Zなんかも古い方法論にしがみつかずに、常に新しいことに挑戦していますよね。本当に音楽を愛しているアーティストだけが、リスナーに支持される時代がくるでしょう。

今後のm-floについて一言で言うと、「移動するフェスティバル!」というイメージですね。国立代々木競技場第一体育館のライブであっても、街中の小箱であっても、場所や会場の大きさに関係なく、全方位に僕らの音楽を届けていきたいです。これからもいろんな場所に神出鬼没に登場して、みなさんと楽しい時間を共有したいと思っています。

─ありがとうございました。

(2009年9月18日 エイベックス・エンタテインメントにて)