札幌を拠点に活動する、Vo・G・B・Dsからなる4ピースバンドsleepy.ab(スリーピー)。温かみと色彩を漂わせる詩曲と、空間の透明な広がりに浮遊感を覚えるサウンドメイキングは、都市特有の感情を反映しつつも北海道の風土に根ざした自然が持つリアリティを感じさせ、国内外のアーティストをはじめ高い評価を受けています。3月7日にアルバム『fantasia』をリリースするのにあわせ、札幌と東京のApple Storeを含む全国9箇所のツアーを実施。新たな活動段階に入りますます期待が高まるsleepy.abの成山さん(Vo&G)に、札幌と音楽への想いを伺いました。
東京に行って、札幌で音楽を作ることの価値に気づかされました。
─sleepy.abの音楽と札幌とのかかわりをお話しいただけますか?
最初は札幌へのこだわりは無かったんです。sleepy.abを組んで9年、CDを出してからは4年経ちますが、CDを出してから東京や他の都市にちょくちょく行くようになって、そうすると「北海道の音だね」という風なことを言われることが多くなって。東京から来た有名なレコーディング・エンジニアの方に「いい音がするね」と言っていただいたこともあります。このようなリアクションをいただくことで、札幌で音楽を作ることの意味を改めて見つめ直すようになりました。東京に行って札幌にいる価値に気付かされた、と思います。
─それは具体的にはどのような感覚ですか?
寒さ、色彩、そして札幌の街特有のスピード、都会的な要素と自然的要素のバランス、浮遊感、このようなことが音楽に影響していると自分でも思います。特に、スピード感は大きな影響があると感じていて、僕たちが札幌を離れたくないと思っている理由の一つです。仕事をするには東京のような速いスピード感も大事だと思いますが、メンバー全員人ごみが好きじゃないし(笑)、メンバー間のコミュニケーションも僕たちが札幌にいることでちょうど良いスピードに保たれていると思う。僕たちの音づくりには札幌のスピードが合っていると思うし、それを大切にしていきたい。歌詞に関しては、僕は根室の出身なんですが、トドワラ(※1)の倒木とか、そのような少し寂しい感じが原風景として影響しているように思います。
─たしかに、sleepy.abの音楽には都会的な要素と自然観の両方が感じられますね。そして浮遊感も。
雪虫(※2)って他の地域の方は知らない人が多いと思うんですけど、そんな特有の自然現象があったり、寒さにしても、たとえば、ついこのあいだノルディックスキー世界選手権札幌大会関連のイベントで、札幌大通り公園で真冬の屋外ライブをやらせてもらったんですが、たくさんのお客様に喜んで楽しんでいただけました。札幌ならではの「寒い」という自然現象が共感、一体感を生んだんだと思います。そんな感じで、僕たちの音楽とともに札幌、北海道というシチュエーションを一体として楽しんでいただきたいと思っています。
実は、僕たちには夢があるんです。それは、将来sleepy.abは北海道内だけでライブを続けていて、他の地域からみんなが僕たちのライブを見ることを目的に北海道にやって来る、そんなパワーのあるバンドになりたい。そんな状況を作りたくて東京などでライブをやってます。
いま、ライブ会場だけで販売しているCDがあるんですが、そのCDを買うためにわざわざ北海道の会場に来てくださるお客さんもいて、とても感謝しています。そんなお客さんをもっとふやしたい。活動当初は「とにかくCDが作れればよい」みたいに思っていたんですが、3枚目のアルバムを去年作ったときから、自分たちのオリジナリティに手応えを感じるようになりました。実際に僕たちのライブを見に東京や福岡などからわざわざ来てくれて、そんなお客さん達とのコミュニケーションがあって、ライブが楽しくなっています。僕たちの音楽は、決して聴き手に歩み寄るような音楽じゃないと思うんですが、いま、「自分たちから外に向けて音楽を出していける」そんな風に感じています。
─素敵なお話ですね。メンバーと、音楽活動についてもう少し聞かせていただけますか?
4人は同じ音楽学校の同期なんですが、卒業するまでお互いにほとんど話したことが無かったんです。卒業のときに、このあともし音楽を続けなければ学校に行っていた意味が全くなくなるな、と考えて、声を掛けたんです。それも、楽器が上手いとかじゃなくて、さっき言ったスピード感、共感、というか雰囲気みたいなもので声をかけました。
iPodを持つ前とでは「常に音楽がそばにある」という感覚が大きな違いですね。
─iPodについてのお話を聞かせていただけますか?
いま30GBのiPodを使っていて、ほぼ毎日、曲を入れかえています。僕は寝る時には音楽が無いと眠れないので、たとえば「2月27日の寝る時の音楽」みたいな感じで、毎日10数曲のプレイリストをプログラムしています。他に「仕事に行く時の音楽」とか、いろいろなプレイリストを作っています。僕にとっては音楽の日記のような感覚になっています。とにかく、iPodを持つ前とでは「常に音楽がそばにある」という感覚が大きな違いですね。この感覚は以前には無かったことで、音楽とのかかわり方がより深いものに変わってきていると思っています。メンバー間でも、iPodを使ってアイディアのやりとりをしたり、いろいろと活用していますね。
─Macと仕事とのかかわりはどうですか?
最近、プロデューサーも新しくMacに代えたんです。というのも、ここカメレオンスタジオと、札幌PENNY LANE24というライブハウスと、川崎市のHALスタジオとの行き来でほとんどの作品を制作しているんですが、札幌のスタジオだけでなく、川崎のスタジオなどもあることで、外部の制作環境がMacとPCが両方使われるので、プロデューサーは最近Boot Campを入れたMacでデータを持ち歩いていますが、ものすごく便利ですね。特に音楽関係の人はミュージシャンだけでなく、デザイナーやエンジニアもみんなMacを使っている人がとても多いので、CD制作に必要な様々なデータをiPodで持ち歩いたり、Boot Campはとても重宝します。
僕たちは札幌にいて、外に向けて音楽を出し続けたいと思う。
─最後に、3月7日リリースの『fantasia』についてお話を聞かせてください。
いま生きている人って、特に具体的ではなくても、ほとんどの人がたとえば、みな漠然とした不安みたいなものを感じながらその中で生きていると思うんです。不安な気持ちってみんなにあると思うんですが、それはたとえ日々の小さなことであってもとても切実なことだと思うんです。そんななかで、ときには逃げられる場所とか、立ち止まったりすることって大事だと思うんだけど、逃げられる場所や環境って本当にあるんだろうか。不安なことが問題なのではなくて、本当は逃げ込める場所がないことこそが問題なんじゃないかって。だから、僕たちは音楽を作るなかで、僕たちの音楽を聴いている間だけでもその不安から開放されて欲しい。そんな想いで『fantasia』を作りました。
僕たちが東京で暮らしていたら、このような音にはならなかったと思います。僕たちは札幌にいて、歩く速度も、コミュニケーションの速度も、仕事の速度も、さっき話した他の都市にはない、札幌のスピード感のなかから音楽を生み出していくことができる。そして、札幌にいるからこそ体感できる、いろいろな自然現象が生み出してくれる浮遊感のようなもの、例えば雪虫がキラキラするみたいな幻想的な感じ、そんなものも感じて貰いながら、日常とは違う感覚を感じて貰えたらと思います。そして、ぜひ、僕たちのライブを見に札幌に来てください。
─ありがとうございました。
(2007年2月26日 札幌にて)
(※1)トドワラ
北海道標津町・別海町の野付半島で、かつてトドマツの森だったところが海水の浸食で風化し、白く白骨化したように見える特異な風景のこと。
(※2)雪虫
北海道や東北地方で、雪の降り出す季節に現れるリンゴワタムシなどの小さな昆虫。白い分泌物を身にまとって群れて飛ぶ様子が、舞う雪のように見える。
ボクたちの街に響く音
Profile
- sleepy.ab
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札幌在住の4ピースバンド。デビュー以来、ノスタルジックで叙情的な音世界を一貫して構築。これまでに、マッシヴ・アタックのエンジニアとしても知られるALPHAや、DJ KRUSH等のエンジニアで知られる三好敏彦等が参加。3rdアルバム『palette』は、スピッツ、GO!GO!7188、ACO、怒髪天といったジャンルを超越した国内外のアーティスト達が絶賛、国内外のミュージシャンの評価も高い。昨年は、North Waveでのメガ・プレイ(邦楽1位獲得)、ライジング・サンへの出演などにより、一気に認知度を引き上げた。
メンバー:成山剛/Vo&G、山内憲介/G、田中秀幸/B、津波秀樹/Ds
Sound Gallery
COLONY
札幌のライブハウスです。僕たちsleepy.abのホームグラウンドといったところでしょうか。スタッフを含め、もう、ありえないくらいにお世話になっています。ライブのインターネット中継なんかもやってるお店。
田中

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sleepy.ab
写真
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カメレオンスタジオ
所属しているカメレオンレーベルのスタジオ。仕上げのギターやボーカル録音をここで完成させます。ここで朝を迎えたことは数えきれませんね。My布団を持ち込んだことも・・・。実験的なアレンジやエフェクトなども、ここで模索しています!
山内

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Sting
Fragile
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Furniture Design Agra
CDジャケットの絵を描いてもらっているイイダキリコさんの個展で、ここでアコースティックライブをさせていただいてからのお付き合いです。AGERAさんとコラボレートして枕、Tシャツ、ストラップなど、sleepy.abグッズを制作しています。
成山

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Craig Armstrong
Waltz
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The BEATLES Live House バットルズ
ススキノにあるビートルズ専門のライブハウスなのですが、プリプロ(仮レコーディング)のドラムを録音するときなどに使わせてもらったりして、ずっとお世話になっています。お店はけっこう深夜までやってます!
津波

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R.E.M.
Losing My Religion
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経専音楽放送芸術専門学校
僕ら全員の母校です。高校を出てからここで音楽を勉強してました。メンバーとの出会いも、そしてMacとの出会いもここでした。Macを使っての作曲の授業がホント、メチャメチャ楽しかったですね。
メンバー4人

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Judy Garland
Over the Rainbow
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- sleepy.ab
4th Album『fantasia』3月7日(水)リリース
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iTunes Store限定バージョン
『メリーゴーランド(リミックス)』配信中
- Live Information
-
4月30日(月)アップルストア札幌 ライブ[start 19:00] 詳しくはこちら
その他のライブ情報はこちら
- Present
- iTunes Store限定配信『メリーゴーランド リミックス』をダウンロードして、iPodをアップルストア札幌のライブにお持ちください。アルバム『fantasia』のサイン入りポスターをプレゼントします。当日アップルストア札幌でiPodを購入いただいた方にも同じくプレゼントします。
- Apple Store Sapporo
- 北海道札幌市中央区南一条西3丁目8-20 QB 札幌 詳しくはこちら
- COLONY
- 北海道札幌市中央区南7条西4丁目 ジャストビルB1 詳しくはこちら
- カメレオンスタジオ
- 北海道札幌市白石区菊水元町2条1丁目9-11-1 カメレオンレーベル内
詳しくはこちら
- Furniture Design Agra
- 北海道札幌市中央区北1条西10丁目 西10番ビル1F 詳しくはこちら
- The BEATLES Live House バットルズ
- 北海道札幌市中央区南6条西3丁目 秋水ビル5階 詳しくはこちら
- 経専音楽放送芸術専門学校
- 北海道札幌市豊平区平岸3条2丁目 詳しくはこちら


