Special Interview 世良公則

今年音楽活動30周年を迎えた日本を代表するロックミュージシャン、世良公則さんの周辺が慌ただしい。8月にリリースされたGUILD9名義のアルバム『WE ARE GUILD9』からわずか一ヶ月後の9月26日には、ソロアルバム『JACARANDA-ジャカランダ-』をリリース。このアルバムはiTunes Storeでも配信がスタートしている。

実は事務所に歴代のMac ハードが並ぶほどのMacフリークだという世良公則さん。ニューアルバム『JACARANDA-ジャカランダ-』の秘話、iMovieを使用して自ら制作したというミュージックビデオについて、そして普段から愛用しているiPodについてお伺いしました。

思いついたことがそのまま言葉にできることに、嬉しさを感じた。

—9月26日に発売となる待望のニューアルバム『JACARANDA-ジャカランダ-』は全編アコースティック・スタイルで構成されていますね。

十数年ほど前に自分のサウンドスタイルやパフォーマンスを見直す時期があって、ある日ホーンやコーラスが入るような楽曲を自分の原点であるアコースティック・ギター一本で演奏してみたとき、また違う感動があったんです。

元々僕が音楽を始めた時っていうのは、一本のアコースティック・ギターで、コードを一日に一個ずつ覚え、指を痛くしながらローリングストーンズとかを片言の英語で一生懸命歌いながらロックを覚えていった。勉強のためにエンピツを持つと指が痛くて、勉強のために本を読むと眠くなる。でもギターのためにピックを持てば朝まで弾けたし、歌本だったらコードを見ているうちに気づいたら朝が来ていた。そこで自分自信が頑張れるものは、音楽だったと気づいたんですよね。

今回のアルバムはここ3、4年で知り合ったバイオリニストでありサウンドプロデューサーのエリック・ゴーフェンや、(ハードロック・バンドの)ホワイトスネイクのギタリスト、ダグ・アルドリッチといったアーティストに参加してもらっています。面白いのは、そこでダグにアコースティック・ギターを弾かせてしまおうと。

—それがとても意外に感じました。

ダグに相談したところ、彼もちょうどアコースティック・サウンドに興味を持っていたらしく、「それは良いアイデアだね」といって快諾してくれたんですよね。

—今回のアルバムはセルフカヴァー中心の構成となっていますが、中でも注目すべき新曲『Days』、そしてアルバムのタイトルになっている『JACARANDA-ジャカランダ-』についてのエピソードをお聞かせください。

このアルバムはロサンゼルスでレコーディングしたんだけれど、実はプロデュース側から「新曲はこっちに来てから作ってくれ」と言われたんです。彼らと言葉を交わしたり、プレイを交わしたりする中で生まれてくるものが今回のアルバムにふさわしい曲になるだろうと。そういう意味ではなんの心配もなく、「行ったら浮かぶだろう」という感覚で向かいましたね。

—『Days』は熱い楽曲に仕上がっていますね。特に歌詞のメッセージ性に力強さを感じます。

ロスにいると、日本語で思考することが日本にいるときよりもすごくリアルなんだよね。というのは、レコーディング中はおぼつかない英語に変換しながらスタッフとしゃべっているから。でも一人で作業をするときは、日本にいるときよりも日本語に対する思考がストレートになるんですよ。それと思いついたことがそのまま言葉にできること。当たり前のことなんだけど、そこに嬉しさ感じましたよね。

この曲の中に「明日も晴れると思うなよ!」「明日も勝てると思うなよ!」というフレーズがありますが、このセンテンス使用はプロデューサーからの命題。日々当たり前に過ごしていることが、ある日突然当たり前じゃなくなるかもしれない。当たり前に思っていることをもう一度考え直してみようっていうメッセージが込められています。

夜中にiMacに向かい、iMovieでミュージックビデオを作る。

—『JACARANDA-ジャカランダ-』のミュージックビデオは世良さんご自身がiMovieで編集しているそうですね。

2000年以降、大勢の素晴らしいミュージシャンとセッションをする機会が増えて、それからスタッフが資料として映像を撮りため始めたんですね。

ある時、わざわざ海の向こうから日本にやってきてくれたツイストインターナショナルのメンバーのために、記念として映像を贈ってあげたら喜ぶだろうって思ったんです。そのときたまたまMacの中にiMovieがあったので使ってみようと。DVDだとリージョンの問題があるけど、Macはみんな持っていたからね。

—プロ顔負けの仕上がりだと感じたのですが、iMovieは最初から使いこなせたのでしょうか。

最初は教えてくれる先生もいないから試行錯誤したけど、説明書も読まずにいろんなところをクリックしながら覚えていったよね(笑)。初めて作った映像作品は70分ぐらいのものだったんだけど、リップシンクさせるために最初は紙に図を描きつつ、フレーム毎に計算しながら作っていったんですよ。

—すごく細かい計算をしながら制作されていたんですね。驚きました。

ミュージシャンが映像のディレクションをする、というとちゃんとしたスタジオで、専門のスタッフやエンジニアがいて作るんだろうけど、僕はたった一人この事務所でiMacに向かって夜中から作るんです。朝、スタッフが出社してきたら「ここまで出来たんだけど」って見せたりしてね(笑)。

もちろんプロの方々が作る映像を信頼もしているけど、やっぱり長年僕らのステージを近くで見続けてくれているスタッフが撮りためた映像を見てみると、自分が格好良いと思う“絵”が一緒なんですよね。そうやって趣味で自分の作品を作っているうちに、今回のアルバムの特典に僕の作ったミュージックビデオが入ったりと、現在は徐々にアーティスト活動の流れの中に組み込まれて来ているという状態です。

作品の次のステップとしてFinal Cut Proのようなワンランク上の編集ソフトを使うのも手だけれども、使い慣れてる楽器のようにiMovieでいけるところまで行ってやるっていう意地みたいなものがありますね(笑)。

iPod nanoはとにかくディスプレイの画質が良すぎだよね。

—普段はiPodもご使用されているのでしょうか。

今は第五世代のiPodが旅のお供ですね。iPod shuffleはウォーキングとか、ちょっとした移動の時に使っています。第三世代のiPodもいまだに車の中やデータの持ち運びに使っていますよ。

—シーンに合わせて使い分けていらっしゃるんですね。それでは新しくなったiPod nanoはいかがでしょうか。

iPod nanoはとにかくディスプレイの画質が良すぎだよね。僕はiPodで自分の映像作品をチェックするんですけど、この大きさでもミュージックビデオが十分に楽しめるっていうのはびっくりですね。

—iPodで映像を持ち運べるメリットを実感されることはありますか?

旅先でもチェックできること。DVDに焼かなくても、スタッフにすぐに見せられるのは良いですよ。iPodだとみんなで集まって見るよりも、一人で集中して見てくれるから、細かいところまでチェックしてくれるんだよね。自分の作品はカタログをめくる感覚で見せられるし、僕もほかのミュージシャンの気に入ったライブはすぐにiPodに入れて、スタッフに「こういう照明って格好良いよね」とか、すぐに見せられる。打ち合わせをする上でそれはすごく助かっています。

—最後になりますが、9月26日にニューアルバム『JACARANDA-ジャカランダ-』はiTunesでも同時に配信されます。アナログレコード、カセットテープ、CD、そして音楽配信まですべてのメディアを経験してきた世良さんのご意見をお聞かせいただけますでしょうか。

アナログレコードからCDに変わった当時、音楽ファンの中では「音が細い」とか、「どうも耳に馴染まない」という声があったんだけど、結果的にはハード的にもソフト的にも音質がどんどん向上していった。

今はデジタルの時代だからこそ、息づかいや脈を打っているリアリティといったより人間的な部分を伝えていくことが我々作り手にとっては大事なんじゃないかな。ミュージシャンにとってやはり一番の目的は、自分たちが届けるメッセージが人々の心の中に刻まれること。僕はそれを常に心がけて作品を作っていきたいと思っています。

—ありがとうございました。

(2007年9月 MR.SERA PROJECT OFFICEにて)

Profile

世良公則

'77年『あんたのバラード』で第14回ポプコングランプリと第8回世界歌謡祭グランプリを獲得。同年、世良公則&ツイストを結成し、レコードデビュー。『銃爪』ほか多数ヒットを飛ばす。'81年、TWIST(ツイスト)解散後もソロで活動。
'01年GUILD9結成。2003年にTWIST INTERNATIONAL(ダグ・アルドリッチ、エリック・ゴーフェン、クリス・フレジャーを軸にしたバンド)を結成。近年、ジャンルを越え国内外のアーティストとのセッションも積極的に行っている。

世良公則公式サイト

Information

世良公則プレミアムライブ:30th Anniversary
11月25日(日)5:00 p.m.
Apple Store, Ginza

今年、デビュー30周年を迎えたロックアーティスト世良公則がApple Storeについに登場。
iTunes Storeでも好評配信中の最新ソロアルバム「JACARANDA -ジャカランダ-」のリリースを記念して、スペシャルアコース ティックライブを行います。元メガデスのギタリスト、マーティ・フリードマンをスペシャルゲストに迎えて名曲の数々を披露。貴重なライブをお見逃しなく。

iTunes Store

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JACARANDA
-ジャカランダ-

世良公則 TWIST INTERNATIONAL

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WE ARE GUILD9

GUILD9/世良公則

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