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![]() 医学論文には、テキストはもちろん、写真やグラフなどの画像、動画などさまざまな要素が求められます。だからこそ、医学論文の作成において、Macは大きな役割を担っています。東京大学医学部附属病院検査部講師で日本心エコー図学会の理事を勤められている竹中 克先生も、以前から論文作成の場でMacを役立てています。実際ドクターには論文作成過程でどのようにMacを利用されているか、そしてMac OS X v10.3 “Panther”になってどのように変わったのか、お話を伺いました。 納得できる資料は自分の手で作りたい 「コストやクオリティ、そして時間。Macで論文を作成するメリットは計り知れないですね。なにより自分で納得が行くまで修正できるのは大きなポイントです」と竹中先生。Macを使う以前の論文は、本文は手書き。表やグラフは写植を頼み、さらに静止画像は機器の関係から、コストの高いポラロイド写真が主流でした。中でも写植を頼むと1枚の図版に5,000円〜10,000円ものコストがかかり、ミスや気になる表現が出てきても直すことを躊躇したそうです。「自由自在にいつでも簡単にいじれるというのがよいですよね。15年前とくらべて隔世の感があります」。 このようなメリットが生まれた背景には、周辺機器の充実が要因のひとつとしてあると言います。「以前は撮影した写真をスキャナーで読み込んでJPEG画像に変換する必要がありました。しかし現在は心エコーの装置が直接JPEGないしGIF画像の出力に対応してきています」。撮影した画像はMOやCD-Rに直接保存されるので、そのままデジタルでMacに読み込むことができます。スキャンの必要がなくなったことで高い品質を維持できるのはもちろん、画像データの複製もその場ですぐに行うことができます。 一方で、論文作成におけるMacの重要な役割が統計処理です。竹中先生の論文作成で特徴的なのは、症例数のグラフに棒グラフを使わないというところです。「これは僕の師匠から教わった考え方なのですが、実際の患者さん1点1点の症例の数は散布図でこそ表せると思うのです」。プレゼンテーションでよく利用される棒グラフでは平均値などひとつの数値しか示していません。しかし症例のデータを正しく伝えるためには、値とともに散らばり具合が重要だと竹中先生は言います。竹中先生は以前、データを基に手作業でドットを書いていました。しかしMacを利用することで、統計処理と散布図の作成を自動化できるようになりました。「ただドットを打つだけでなく、その後デザイン処理を施して、納得のできる散布図を作っています」。 ![]() QucikTimeで心エコーの動画を編集 東京大学医学部附属病院中央検査部では、1日に約50件の心エコーをとっています。その中から重要な症例1〜2例について、Macに読み込んでいるとのこと。心エコーという分野では、学会での発表の場はもちろん、日々の診療の中でも静止画や動画といった映像データが非常に重要です。とくに、QuickTimeによって、早い段階からシステム標準で動画を扱うことができたのも、Macを使うメリットのひとつです。 心エコーを動画で記録する際には、S-VHSが標準で使われているのが現状です。DV映像の場合、撮影するカメラは豊富に揃っている一方、単体のレコーディングデッキの製品数が少ないのが難点とのこと。「映像をデジタルで保存するときに何を使うか考えているうちに、どんどん製品が移り変わっていきますから、踏み切れないでいるんですよ」と竹中先生。そこで竹中先生は、FireWireに接続できるメディアコンバータを使っています。このような機器を利用することで、S-VHSなどのアナログ機器からでもMacに簡単に動画を読み込むことができます。「後で見直して『ストックしてないけど大事だったよ』という場合でも、すぐにS-VHSから取り込んでいます」。
発表だけではないプレゼンテーションソフトの活用 心エコーの分野に限らず医療の現場では、学会をはじめ多くの講習会が開かれています。竹中先生はプレゼンテーション素材の作成ではKeynoteを中心に作業をされています。テキスト・画像・動画の混在したプレゼンテーションを行うためには、プレゼンテーションソフトが欠かせません。以前はPowerPointを使っていましたが、特に動画を多用する心エコー分野では動画の扱いに長けたKeynoteが最適だと竹中先生は話します。 「Keynoteはとにかく、動画を複数張り込んでもきちんと再生可能な点が優れています。また動画上にテキストを書き込めるのも、プレゼンテーションの上では非常に便利な機能だと感じています」 竹中先生のプレゼンテーションソフトの活用は、発表の場だけにとどまりません。一度データにまとめたプレゼンテーション資料を、そのままCD-ROMで出版するという試みに挑戦されているのです。こんな発想から実際に発売されたのが竹中先生の著書である「CD-ROMと書籍で学ぶ 依頼理由別心エコー」です。簡単に複製が作れるデジタルデータだからこその使い方と言えるでしょう。 ![]() Pantherの登場でツールとしての性能がさらにレベルアップ 竹中先生は、日々の業務すべてをアルミニウムデザインのPowerBook G4とMac OS X v10.3 “Panther”でこなしています。「Mac OS Xは、Pantherの登場によって、非常に快適に使えるようになりました」。「Macのファン」を自称する竹中先生は、初代のMac OS Xを、発売日当日に秋葉原で並んで購入したとのこと。周辺機器との連携が重要な現場では、しばらくはMac OS 9と併用していたそうです。しかし、バージョンアップが続けられる中、Pantherの登場に合わせて各種機器の対応状況が充実したことを受け、現在はMac OS Xがメインの環境になっています。 ![]() 画像や動画だけでなく、プレゼンテーションの場ではテキストの見やすさも重要なポイントです。「Mac OS Xのフォントではヒラギノフォントが気に入ってます。中でも角ゴシックが大好きですね」。 「昔、留学していたときのことなのですが、周りのみんながポスター作りを僕に頼るんですよ。一時はロットリングの王様のように思われていました。今はその代わりに、Macが僕の得意なツールです」。 人任せにして妥協をするよりも、自分ですべての資料を作成してKeynoteやQuickTimeでプレゼンテーションを行う。さらにプレゼンテーションで作成したデータを活用し、さまざまなアプリケーションを駆使して論文作成からCD-ROM出版まで行えるMac OS Xは、わかりやすく人に伝える必要のある医師の皆様にこそ、是非使ってもらいたいツールなのです。
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