Special Report:iTunes Storeのセレブリティ・プレイリストにPhoenixとBasement Jaxxが登場

Special Report
iTunes Storeのセレブリティ・プレイリストに
PhoenixとBasement Jaxxが登場

俳優、映画監督、デザイナー、ミュージシャンなど多方面の有名人たちが、お気に入りの曲を選んで紹介するiTunes Storeの「セレブリティ・プレイリスト」。憧れのアーティストのルーツや、話題の人たちが今まさに聴いている曲をチェックして楽しむことができます。

今回とっておきの曲をセレクトしたのは、世界でも権威のある音楽賞、グラミー賞で「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞」を受賞したばかりのフレンチ・ロックバンド、Phoenixと、昨年デビュー10周年を迎えて2枚のアルバムを立て続けにリリースし、大規模な世界ツアーを行ったBasement Jaxx。いま世界で最もホットなこの2組のアーティストに、プレイリストで選んだ曲にまつわるエピソードなどをお聞きしました。


素晴らしい音楽にはいつも、魔法みたいなものを感じる。

Phoenixのインタビューでは、ギターのローレント・ブランコウィッツさんと、ベースのデック・ダーシーさんにお話を伺いました。

—先日のグラミー賞の受賞、おめでとうございます。もう数えきれないくらい質問されたと思いますが、受賞の感想を聞かせてください。

ローレント・ブランコウィッツ(以下・ブランコ)
ありがとう。まだそれほど聞かれてないから大丈夫だよ(笑)。こういった音楽賞をもらうのは、実はまったく初めてのことなんだ。

デック・ダーシー(以下・デック) ぼくたちの音楽の歴史のなかに、この大きな賞が突然降ってきたような感じなんだよね。

ブランコ 受賞は本当に嬉しかったけど、もうこれ以上はいらない。こんなすごい賞をもらっちゃうと、もうバンドが終わっちゃうのかな?っていう気分になるからね。

デック もう、これでおしまい。だけど、もらうとしたら、もっと大きな賞かな?

ブランコ そうだね。もう少し演技を磨いて、次はオスカーを狙うよ(笑)。

Phoenix

—今回、セレブリティ・プレイリストを作っていただきましたが、選曲は難しかったですか?

ブランコ こういうプレイリストは、ぼくたちでもよく作っているんだ。テーマを決めるのにちょっと悩んだけど、決まってしまえばあとは簡単だったよ。

—今回のプレイリストのテーマは?

ブランコ ぼくたちの好きな曲を過去10年に絞って選んだんだ。ごくベーシックなテーマだね。

—一番好きな1曲を選ぶとしたら、どの曲?

ブランコ うーん。それは難しいな。みんないい曲だからね。でもあえて選ぶとしたら、親友でもあるSebastien Tellierの曲「La Ritournelle」かな。ぼくたちのライブでは、開演前やバンドのセットチェンジの時に音楽を流すんだけど、そのときに必ずリストに入れてるんだ。ムード作りにもぴったりだから、毎晩のように聴いているよ。

—今回のプレイリストには入っていませんでしたが、日本のアーティストの音楽を聴くことはありますか?

ブランコ そうだったね。ごめんなさい!コーネリアスや坂本龍一をよく聴くよ。コーネリアスはリストに入れてもよかったかもしれないな。

—また、ご自身の曲がひとつも入っていませんでしたが、今選ぶとしたら?

ブランコ ああ、そうだったね。自分たちの曲は実はそんなに聴かないんだよ(笑)。

—え、なぜ聴かないんですか?

ブランコ 素晴らしい音楽にはいつも、魔法みたいなものを感じるんだ。だけど、自分たちの曲の場合、そこに至る過程を知ってしまっているから、もう魔法ではなくなってしまうんだよ。きっと、ぼくがそういうマジカルなトリックを感じるのは、自分たちだけでは思いもよらない想像力みたいなものに対してで、だからこそ、ほかの人たちが作った音楽をもっと聴いてみたいと思うんだよ。

—普段そうしたマジカルな音楽を聴くときは、どんなスタイルで聴くことが多いですか?

ブランコ 最近音楽を聴くのは、ほとんどノートパソコンなんだ。もちろんAppleのだよ(笑)。ちょっと前のモデルだけどね。実はそうやってノートパソコンで音楽を聴くようになったことが、自分たちが作る音楽に影響しているように感じるんだ。というのも、それまではベース音とか低い音を重視して音楽を作っていたんだけれど、今は小さなスピーカーで聴いているせいで、どちらかというと中音域の音に重点を置くようになったんだ。

デック iPhoneで聴いたりもするしね。

ブランコ そう、ぼくら2人ともiPhoneユーザーなんだ。

—では、好きなアプリケーションはありますか?

デック 連絡先(笑)

—そんなに友達が多いんですか(笑)?

ブランコ 彼はテキスト・メッセンジャーなんだよ。冗談はさておき、実際にぼくたちはiPhoneをかなり活用してるよ。iPhoneで写真を撮って、それをブログにアップしたり。写真のアプリケーションは楽しいよね。たくさんあるうちのいくつかを使っているけど、どれかは教えたくないな(笑)。

—ブログには正方形にカットした写真がよく載っていますよね。

ブランコ そうそう。あれも楽しいアプリケーションだよ。どのアプリケーションかは秘密だけど(笑)。とにかく、ぼくは写真が大好きなんだ。音楽を作るときも同じで、すごく高くて立派な機材ももちろん好きだよ。カメラも大きい一眼レフも使ってる。でもほら、こんなちっちゃな2ミリぐらいのレンズが、ドイツ人が作った高価な最高級レンズにも匹敵するような、ぼくにとってはそんな魅力が感じられるんだ。

—最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

ブランコ ぼくらは、日本が大好きだよ!なんというか独特なポエトリーをすごく感じるんだ。

デック いつもゆっくり街を歩いたり買い物したりする時間がないのがとても残念だけどね。

ブランコ でも、そういう短い時間でも素敵なレストランやおいしいお酒を探すのには余念がなくて、日本の楽しみ方に関しては、プロフェッショナルなんだってみんなに言ってるんだよ(笑)。

(2010年2月25日 SHIBUYA-AXにて)


最近はMacBookのスピーカーでモニタリングすることが増えている。

Basement Jaxxのインタビューでは、サイモン・ラトクリフさんにお話を伺いました。

—今回作っていただいたプレイリストの中から、ご自身の曲についてのエピソードを聞かせてください。まずは、アルバム『Scars』の「Gimme Somethin’ True」。

この曲を歌ってくれたJose Jamesは、とても才能あるシンガーだよ。初めて彼に会ったのは、3年前。僕らはニューヨークのスタジオに2週間ほど入っていて、そこではたくさんの人たちに会うことができた。スタジオをオープンにしていたからね。彼もそこに来てくれた一人で、2曲レコーディングしていったんだ。そのうちの1曲がこの曲だね。

Joseの声は、パーフェクトだよね。この曲は、たぶん女性が特に気に入ってくれると思うよ。曲自体はちょっとオールド・スクールなんだけど、シカゴ、ニューヨークタイプのジャズやラテンなんかを取り入れたハウスに、メランコリーのエッセンスを加えて。美しくて深みがあって、感動的ですらあるような感じにアレンジしたんだ。

—では、次に「Feelings Gone」について。この曲は、Sam Sparroが歌っていますね。

ぼくらはこの曲を書いてから、この曲を歌いこなしてくれる新しいシンガーを探していたんだ。実際に何人にも歌ってもらったりしてね。そんなとき、Basement Jaxxのツアーで歌ってくれているVula and Charleneっていうシンガーがいるんだけど、彼女たちがSam SparroのUKツアーをいっしょに回ることになって、彼がぼくたちのファンだって話を聞きつけたんだよ。それで、すごく合うんじゃないかってことになってね。

彼はオーストラリア人で、今はLAに住んでいるんだけど、実は10年前、ぼくたちのファースト・アルバムが出た頃、ぼくたちは毎月「Rooty」っていうクラブナイトをやってたんだ。その頃ぼくらの地元ブリクストンで働いていたSam Sparroは、ぼくたちのクラブナイトに来てくれていたんだって。でも当時の彼はシャイで、言葉を交わすことがなかったんだ。もしそのとき声をかけてくれていたら、とっくにぼくらの音楽ヒストリーの中に入っていたかもしれないね。

—この曲はシングルにもなっていて、キャッチーな感じがします。

この曲はいくつかのバージョンがあるんだけど、結局アルバムには、このAlternate Versionは入れなかった。レコード会社からあんまり冒険しないでほしいって言われてね(笑)。だから、この曲はAlternate Versionて表記してるけど、実はこれが、作ったときのまま手を加えていないオリジナルのバージョンなんだよ。

—プレイリストにも入っているMulatu Astatkeとは、アルバム『Zephyr』に収録されている「Peace of Mind」で競演されていますね。

フィリックスが彼の大ファンでね。レコーディングしていたときに、Mulatuが近くにいるって聞いてすぐにお願いしたんだ。彼は世界遺産みたいな人で、みんなからリスペクトされている。そんなミュージシャンと仕事をするのは、すごく楽しかったよ。

彼の言語は、なんていうか、音楽なんだよ。ここはこのタイミングで入ってくださいって言っても、ほら、ジャズの人だからすごく自由なんだね(笑)。ミュージシャンにはそれぞれのやり方があるからね。別の見方、別のリズムを持っているんだよ。面白いと思わない?彼はチャーミングな人だったよ。もちろん声も素晴らしかったしね。「Peace of Mind」では、低い声でゆっくり喋ってもらったんだ。

—いまお話していただいたアーティストのほかにも、たくさんの方々とコラボレーションされてきましたが、今後いっしょに仕事をしてみたいアーティストはいますか?

今は考えられないな。このアルバムでずいぶんたくさんのことをやったからね。それに、いつもあらかじめ計画をたてて人を集めているわけではないんだ。そうだな、今度はひとりで暗い部屋に閉じこもって、ひたすら音楽を作ろうかな。何ヶ月も、ほかの人は入れないでね。そしたらどうなるか見ててよ(笑)。

Basement Jaxx

—日本で気になるアーティストがいたら教えてください。

坂本龍一。クラシカルだけど、クールだよね。あと鼓童かな。和太鼓のプレイを見たことがあるんだ。それから、MONDO GROSSOやKyoto Jazz Massiveが好きだね。ほかにおすすめのミュージシャンはいる?

—ぜひ、iTunes Storeでチェックしてみてくださいね(笑)。ところで、iPodやiPhoneで音楽を聴かれることはありますか?

もちろん、持ってたら聴くよ(笑)。今の携帯はもう4年も使っていて、そろそろ新しい携帯に移行する時期かなって思ってるんだ。それで、今すぐにでもiPhoneにしたいと思ってるんだけどね。

—それでは普段音楽を聴くときは、どんな方法で聴くことが多いですか?

最近プロデュースの仕事をよくやっているんだけど、そういうときはMacBookを何台か使っている。最近の子たちは、音楽もノートパソコンで聴くだろ?だから、ノートパソコンのスピーカーでも音をモニタリングするんだよ。
クラブなんかの会場でどれだけよく聞こえるかは、スタジオの大きなスピーカーで確認するけど、同時にノートパソコンのスピーカーからどの帯域まで聞こえるのかということもチェックするんだ。これはある意味、新しいサウンドだからね。

—日本でのライブの手応えはどうですか?

日本のオーディエンスは、素晴らしいよ。いっしょに歌ってくれるし、新しい曲も初期の曲もよく知っているんだ。それから、会場も最高!日本の会場はサウンドの面でまったく問題なくて、本当にやりやすいよ。エンジニアも親切だしね。

—ファンのみなさんへのメッセージをお願いします。

アルバム『Zephyr』を聴いてください。これは、『Scars』の続編にあたるアルバムだけど、コマーシャルでも、ポップソングでもない、ぼくたちが活動し始めた頃からのスピリットを注いだ作品。おそらくBasement Jaxxの最も内面の深い部分を、最も自由に表現したアルバムなんだ。

そして、いつもぼくらの音楽を聴いてくれてありがとう。Peace & Love, Be happy!

—ありがとうございました。

(2010年2月26日 新木場スタジオコーストにて)