安藤忠雄が設計した表参道ヒルズ、ヘルツォーク&ド・ムーロンが手がけたプラダ ブティック青山店、黒川紀章の日本看護協会ビル…。気鋭の建築家によるデザインの建築物が立ち並び、いまや「建築の見本市」の様相を呈している東京・青山〜表参道エリア。世界でも類稀なる景観を誇るこのエリアをPodcastingで案内しようと考えたのが、雑誌「カーサ ブルータス」。2006年4月号の特集「TOKYO BEST 100」と連動して、建築をさらに深く味わうための楽しい番組が誕生しました。「カーサ ブルータス」がPodcastingを選んだ理由、そしてその制作過程について、編集長の吉家千絵子さんと副編集長の松原亨さんにお話を伺いました。

「右手にiPod、左手にカーサ ブルータス」

建築を中心に、衣食住すべてにかかわる最先端の話題をピックアップする雑誌「カーサ ブルータス」が、2006年4月号の特集で初めてPodcastingにチャレンジ。現在、特に注目を集めている青山・表参道地区の建築事情を取り上げています。「Casacast/表参道建築ガイド」は、4月号の発売と同時に配信を開始しました。

カーサ ブルータス 編集長 吉家千絵子さん

「東京は建築デザインという視点で見ても、世界有数の都市なんです。建築に関する法律がヨーロッパほど厳しくないので、実験的なデザインのものも建てることができるという事情があります。今年は表参道ヒルズがついに竣工して、あのエリアに予定されていた建築がほぼ完成した。ちょうど、街全体が建築作品の美術館みたいになってきているんです。なので、その街に対して美術館にある作品説明の音声ガイドのようなものがあったらおもしろいんじゃないか、というのがきっかけです」(吉家さん)。


カーサ ブルータスは雑誌という媒体をベースとしながらも、その枠からはみ出していこうという考えがあると言います。例えば、椅子の模型を付録にしたり、オリジナルのコンピレーションCDを作ったり。「だから、Podcastingもその一環として採用しました。Casacastのエピソードタイトルは、付録の地図上の建物番号と連動しているんです。iPodで地図番号と同じトラックのエピソードを再生すると、その建築物の解説や見所を聞くことができます。ぜひ、建物を実際に見ながら聴いてほしいですね」(松原さん)。


渡辺篤史さんのナビゲーションで建築を鑑賞

カーサ ブルータス 副編集長 松原亨さん

番組のナビゲータを勤めるのは、人気テレビ番組「建もの探訪」でおなじみの俳優・渡辺篤史さん。「この企画がもちあがったとき、これは渡辺篤史さんしかいないでしょうと即決しました」(松原さん)。建築通で知られる渡辺さんだけに、的確で熱のこもったコメントは一聴の価値ありです。「長年建物を見続けていらっしゃるので詳しいのはもちろんですが、施工中の建築現場の記録写真を定点観測で撮ったりするくらい建築が好きな方なんですよ。なので、こちらで用意した原稿にもその場でコメントを付け加えてくれたり。最初は演出も考えていたんですけど、渡辺さんの仕事ぶりはこちらの予想を軽く超えていました(笑)」(松原さん)。

渡辺篤史さんによる建築解説が楽しめるエピソードは全13件。加えて、3人の建築家による「生の声」も聴くことができます。「安藤忠雄さんの声は、表参道ヒルズのオープニングセレモニーの時のスピーチを収録したものです。完成に至るまでの苦労や、表参道ヒルズにかける思いが伝わってきます」(松原さん)。


GarageBandがあれば「誰にでもできる」Podcasting

Podcastingで記事に連動した情報を発信する。雑誌メディアにとっては新たな試みですが、意外にもすんなりと実現にこぎつけたようです。「まず、GarageBandでのPodcastingの作り方がすごく簡単で驚きました。今回僕たちが作ったようなPodcastingなら、誰でも簡単にできちゃいますよね。これからはもっと個人のPodcastingが増えていくんじゃないかな」(松原さん)。

Podcastingの制作手法そのものはシンプルですが、番組そのもののクオリティに関してはプロの目が光ります。「どうせ作るなら、Podcastingというメディアをさらに盛り上げるぐらいのものを作らなくちゃと思いましたね。渡辺さんのようにキャラクターも知識も主張もある人にお願いできたことや、建築家本人のコメントが聴けるという点が、今回配信したCasacastの大きなポイントです。音声だと、文字で見るときとはまた違う伝わり方がありますから」(吉家さん)。

「今回の企画は、こんなのがあったらおもしろいよねっていう、それだけの気持ちが出発点になってます。番組を制作するための技術は後からついてくるものなので、個人でも人に見せたいものがあるときに、純粋にその気持ちを大切にして作ってみれば、おもしろいものができるんじゃないかと思いますよ」(松原さん)。


「今後は、海外の都市についても今回とおなじような企画ができたらいいなと思っています。各都市の建築ガイドをiPodに入れて持ち運べば、例えば急な海外出張なんかでもかさばるガイドブック要らずでその都市の建築を楽しめますよね」と吉家さん。あらゆるメディアとリンクしながら進化していくPodcasting。これからも、さまざまなコンテンツの出現が期待できそうです。

(2006年3月)




Casacast/表参道建築ガイド
 
この番組は、Casa BRUTUS 4月号東京特集「東京の新キーワード100」の特別企画、「Casacast OMOTESANDO/Casa BRUTUS 表参道建築ガイド」の音声ガイダンスです。この音声ガイドのトラックナンバーは、Casa BRUTUS 4月号掲載の「表参道建築ガイド・マップ」の番号に対応しています。右手にCasa BRUTUS、左手にiPodを持って、このガイドを聴きながら、表参道の名建築を散策しましょう!
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