UNIX環境とメディアリッチな端末を
両立できるMacベースの教育システム

電気通信大学 情報基盤センター

2つの演習室に90台ずつ設置されているiMac

2つの演習室に90台ずつ設置されているiMac。高速回線でつながるサーバルームのNetBootサーバから、すべての端末のシステムを2分ほどで起動できる。

電気通信大学では、2006年4月から新たに「情報基盤センター」を設置し、これを機に情報処理教育システムをMac OS Xベースの環境へと刷新しました。XserveによるNetBootサーバを中核にクライアントとしてiMacを採用したことで、eラーニングシステムの整備に取り組めるようになり、学生の端末利用率も向上するなど、Macによる新しいシステムは順調に稼働実績を上げています。

Macによる学内の情報処理教育システムの構築を推進


Xserve

XserveはNetBootサーバとしての用途のほか、データベースの構築や教職員の研究活動にも利用されている。

電気通信大学の情報基盤センターは、これまで異なる部署で個別に進められていたキャンパスの情報化を統一し、効率的に推進する組織として2006年度から活動をスタートしました。現在は教育・研究・事務環境の整備をはじめ、総合情報システムの構築や拡充といった全学的なサービスを展開しています。

同センターの発足と同時に情報処理教育システムの見直しが行われ、従来のSunサーバにX端末というシンクラインアント環境から、XserveとiMacへの移行を実現しました。サーバルームに12台のXserve、2つの演習室にそれぞれ90台のiMac、自習室には52台のiMac、事務室にも10台のiMacを新たに設置。各端末とサーバルームは1Gbpsの高速LANで結ばれており、Xserve上のNetBoot環境で一元管理されています。

UNIX環境の継続とパワフルな処理性能をもたらしたMac

“Macなら従来のUNIX環境を継続できる上、動画や音声にも強く、ディスクレスで集中管理できる。最も理想的な選択と判断しました。”

— 電気通信大学 情報基盤センター助手 丸山一貴氏

新しい情報処理教育システムの導入にあたり、大きな課題となったのはビデオやグラフィックス、サウンドといったリッチコンテンツを多用した「eラーニングシステム」への対応でした。従来のX端末では、動画の再生などコンテンツをすべてサーバ側で処理しなければならず、サーバやネットワークの負荷を考えるとeラーニングシステムは現実的ではなかったのです。また、Webブラウザー上でJavaやFlashを動作させたり、一般的な市販アプリケーションや汎用性の高いデータを扱える端末も望まれていました。

同センターでは、ディスクレスPC(VID端末)やUNIX系シンクライアントなど、さまざまなシステムを比較・検討した結果、最終的にMacのNetBoot環境を選択しました。Mac OS Xベースのシステムの採用に至った背景を、同センター助手の丸山一貴氏は次のように語っています。

「本学では、UNIXベースを前提にしたカリキュラムは絶対に外せません。この条件をクリアしつつ、端末側でメディアリッチな環境を提供することが新しいシステムには必要でした。X端末としても使えるMacなら従来のUNIX環境を継続できる上、動画や音声にも強く、ディスクレスで集中管理できる。こうした理由からMacが最も理想的な選択と判断しました」。

UNIXサーバとの高い親和性と管理面のメリット


情報基盤センターのスタッフを務める先生方

左から、情報基盤センターのスタッフを務める才木良治氏、高田昌之氏、丸山一貴氏、土屋英亮氏、岡野豊氏。

Mac OS X環境のメリットは、システムの運用や管理面にも多く見出せます。助教授で情報基盤センターのスタッフを務める高田昌之氏は、「従来から利用しているSunサーバでユーザのホームディレクトリが問題なく動き、既存の環境ともストレスなく併用できます。段階的な移行が可能なので、先生方が無理のないスケジュールで新しいコンテンツや教材を準備できるのもいいですね」と使い慣れたUNIX系サーバとの親和性の高さに着目。加えて「これまで培ってきたUNIXの管理スタイルを、そのまま活かすことができる」(丸山氏)という点も、Macによる教育用システムをスムーズに導入できた大きな要素と言えるでしょう。

XserveによるNetBoot環境の構築によって、メンテナンスも大幅に効率化されました。OSや授業で使用するソフトウェアがバージョンアップした場合、アップデートの内容をサーバ上のブートイメージにその都度更新しておくことで、最新のOSやアプリケーション環境をすべての端末に一括して反映できます。「NetBootで確実にサービスレベルが向上しました」(高田氏)。

「UNIXベースのMac OS Xはユーザ(利用者)と管理者がシステムとして分かれているため、管理する側は非常に楽ですね。NetBoot上でアンチウイルスプログラムも導入していますが、最新のセキュリティアップデートにもすぐに対応できるので安心です」と語るのは、同センタースタッフで助教授の土屋英亮氏。Mac OS XとNetBootは、セキュリティ面でも高い評価を得ています。

学生だけでなく教職員の端末利用率も向上


Macを積極的に利用し、課題に取り組んでいる学生

講義がない時間でも学生は演習室のMacを積極的に利用し、それぞれの課題に取り組んでいます。

新たな教育用端末として採用されたiMacは学生と教職員の双方から支持されており、設置されている演習室では夜間コースを含めて連日スケジュールが埋まっているほか、従来と比較して自習室の利用率も確実に向上していると言います。

同センターの先任技術職員を担当する岡野豊氏は、学生や教職員にMacが受け入れられている理由をこう語ります。「Macは非常に使い勝手がよく、初めて触る人でも簡単に使いこなせる。すでに主な仕事をMacに移行できましたし、学生たちはもっと違和感なく使えていると思います」。同じく先任技術専門職員の才木良治氏は「Mac OS Xはインターフェイスの完成度が高く、フォントの表示も美しい。ワイドディスプレイで表示解像度も上がり、これからの情報端末にふさわしい環境が整いました」と、GUIやデザインといったMacならではの優位性について感想を述べてくれました。

Microsoft OfficeやAdobe Acrobatといった汎用性の高いアプリケーションのほか、さまざまなUNIXツールが動作し、動画や音声を快適に扱える処理性能を持ったMacは、カリキュラムの幅も広げています。「Webベースで動画の教材を各端末に見せたり、PowerPointでのプレゼンテーションも使えるなど、今までのX端末よりも可能性が広がりました。文系の科目を担当する先生も、英語など語学の授業にMacを取り入れるケースが増えています」(土屋氏) 。

電気通信大学の情報基盤センターが2006年度から導入した教育システムは、初めてMacに触れる学生たちや教職員からの評価を得て、順調に軌道に乗り始めました。今後は学内に敷設された高速ネットワークをフルに活用し、ビデオ教材などeラーニングシステムの拡充をはじめ、Macを使ったリテラシー教育や語学学習といった新たな分野での教育体制も強化していきます。

システム構成図

演習室(教員用端末を含む)、自習室、業務室に常設されている244台のiMacを、サーバルームのXserve(NetBootサーバ)と1Gbpsの高速ネットワークで接続。ユーザ認証は共存する認証管理サーバで行い、情報処理教育システムのUNIXサーバにもアクセスできるようになっている。