Podcastによる「いつ、どこででも」受けられる授業
同志社大学 神学部
キャンパスを歩きながら、授業を体感しています
実際に小原氏のPodcast授業を受けている、文学部国文学科4回生の小澤園子さんに授業の感想を伺ってみました。小澤さんは以前からiPodユーザーで、ロシア語の勉強のためにロシアのニュース番組をよく聞いているそうです。
「“建学の精神とキリスト教”という授業では、小原先生がキャンパスを歩きながら同志社大学の歴史を紹介しています。この授業を自分のiPodに入れて、実際に先生と同じルートで歩いてみることで、授業内容を体感できるのが良かったですね。建学の精神を、キャンパスのあちこちに実感できるようになりました」(国文学科 小澤さん)
一回に提出するレポートは、400字。小澤さんの場合、授業をPodcastで見た後にすぐレポートを書けば、14回のレポート提出もそれほど苦にはならないそうです。今後、この授業やiPodに期待することは何でしょうか?
「このPodcast授業が、他の授業でももっと広がっていけば面白いと思います。iPodでスケジュール管理ができるといいですね。レポート提出の〆切りをiPodで確認できたらいいなあ、と(笑)」(小澤さん)
学生の「知のコミュニケーション」を活性化したい
続いて、学校法人同志社理事長である野本真也氏に、今回の試みについて、また今後の教育についてのお考えを伺いました。実は野本氏は、Apple IIc時代からのMacユーザーで、デスクに愛用のMacBook AirやiPod Touchが置かれていました。それは単に新しいテクノロジーに興味があるからということだけでなく、今までのアップル製品に共通して流れている製品思想に対して共感しているからだそうです。
“高校生の大学選びにおいて、いろんな大学のPodcast授業を見た上で「同志社がいいな」と思ってくれるような時代が、予想以上に早く来ると思っています”
同志社大学神学部・神学研究科 教授
小原克博氏
「これからの時代の教育には、“情報をどう扱うか、どう付き合っていくか”という視点が欠かせません。学生が学ばなければならない知識の量が以前に比べて飛躍的に増えているので、大学という限られた場所に縛られていては本当の学力は身につけられないんです。そこで役に立つのが、PodcastやiSightといったアップルのソリューションだと思います。つまり、大学という枠を飛び越えて、「いつ、どこでも、誰とでも」つながれるようなコミュニケーションの方法が必要だということです。今後は、マス向けの内容はPodcast授業を配信し、少人数のクラスではiSightを使った授業を行うなどして、それぞれの条件に合わせた講義が実現できるといいですね」(学校法人同志社理事長 野本真也氏)
ドイツでは60年代からラジオで「第3プログラム」という大学の高品質な講義を提供する番組があり、学びたいという意欲がある人には誰でも学ぶことができる環境があったそうです。日本の大学でも公開授業は行われていますが、広く浅い知識を伝えるだけでなく、より専門的で深い知識を学べる授業も提供していくべきではないか、と野本氏は語ります。
今回の同志社大学の取り組みでは、「神学」と「Podcast」という組み合わせが非常に特徴的でユニークです。しかし、一見何の繋がりもなさそうに見える両者は、実は「ユビキタス」という言葉で繋がっているんですよ、と野本氏に教えていただきました。
「ユビキタスという言葉は本来、ラテン語の宗教用語で『神はあまねく存在する』という意味なんです。意外にも、神学とPodcastのような最新テクノロジーは、その起源に共通項があるというわけですね。これは何を意味するかというと、人間にとって本質的なものは変わらないという真理ではないでしょうか。それが「コミュニケーション」であり、「教育」なのだと思います。人間のコミュニケーションは、言葉だけで行うわけではありません。感情や雰囲気、相手の表情など、いろんな要素が同時に織り混ざりながら成り立っています。そうした繊細で豊かなコミュニケーションを、21世紀のツールを使ってもっと楽しめるようになって欲しいですね」(野本氏)
同志社大学の新しい試みが、今後どのような結果と波紋をもたらしていくのかに注目しましょう。
