クリエイティブな学びの環境における
Macの役割と「挑発力」
同志社女子大学現代社会学部現代こども学科
130年の伝統を誇る同志社女子大学に、2年前に創設された現代社会学部現代こども学科。ここでは、上田信行教授による独創的な授業が行われています。2005年秋に完成したユニークな「ワークショップスタジオ」には、レゴやパステル、紙といった素材と一緒にPower MacとPowerBookが用意され、クリエイティブな学びの環境の重要なキーアイテムとして機能しています。では、その学びの環境とは具体的にどのようなものなのでしょうか? また、そこで果たすMacの役割とは? 上田教授にお話をうかがいました。
学生のクリエイティビティを挑発する「学びの環境」

同志社女子大学現代社会学部現代こども学科の上田信行教授
「ここで靴を脱いでから入ってくださいね」という上田教授の言葉に促され足を踏み入れたのは、白を基調にしたモダンなデザイン家具とカラフルなレゴブロック、そして15インチのPowerBookがずらりと並ぶ真新しいワークショップスタジオ。大音量に耐え得る防音壁、踏みしめるとなんとも心地よい感触が足の裏に伝わるソフトな素材の床、そして部屋の奥にはスタジオ全体を見下ろせる中2階のロフトスペース。ここには、クリエイティブな学び=「ラーニング・アート」をサポートするためのあらゆる環境が揃っています。
「僕は、人間と環境というのは、インタラクティブな関係だととらえているんです。人間が環境を変える、という考え方が一般的ですが、実は環境から与えられる情報も人間の活動に大きく影響している。このワークショップスタジオは、人間のイマジネーションやクリエイティビティを輝かせる環境を強く意識して作ったものです」。
イマジネーションを呼び覚ますMacの「挑発力」
上田教授の言う「環境」の中には、授業で学生が触れる道具も含まれています。クオリティが高くデザインが美しい道具には「挑発する力」がある、というのが上田教授の持論。例えば、スタジオで使用されるパステルはスイス製の高級品で、96色のセット。12色や24色では表現できない微妙で繊細な色に触れることで、感性を磨き、センスを研ぎ澄ますことができるといいます。そういった意味で、このスタジオで使用されるコンピュータがMacであることは絶対条件でした。
「僕の授業には、コンピュータはMacがぴったりでした。iLifeには創造力を刺激するアプリケーションが揃っていますし、使いやすいインターフェイスだから初めてMacを使う学生もすんなり作業が始められる。難しい操作方法をマスターしないと使えないのでは、学びの楽しさや喜びにはなかなか辿り着けませんから」。
Macは想像を創造へと導いてくれるクリエイティブパートナー。僕の授業にMacは欠かせないんです
同志社女子大学教授、上田信行氏
学びのプロセスを「再構成する」授業
お菓子や野菜を「見立てる」授業など、独創的なプログラムが実施されています。
「メディアセンス」という言葉でメディアとの関わり方の重要性を説く上田教授の授業において、現在取り上げているメディアは「映像」です。例えば、カフェのプロモーションビデオを作るというプロジェクト。架空のカフェを想定し、そのコンセプトやメニュー、空気感を考える。ランチョンマットをデザインし、実際に作ってみる。さらにその過程をビデオに撮影し、そのメイキングフィルムを学生が各自で編集し、音楽をつけ、タイトルをつけてビデオクリップに仕上げる、というもの。
「これは自らの学びのプロセスをビデオというメディアを通して客体化するという行為。自分の経験を再構成して作品化するということで、経験をもう一度経験しなおすことになる。いわば『経験のデザイン』ですね」と上田教授。この映像編集作業において活躍しているのはもちろんMacです。iLifeの映像編集アプリケーションiMovieを使って編集された学生たちの作品は、いずれも初々しい感性に満ち溢れています。
現在はiPodとPodcastingを利用して、インターネットTV番組を制作するプロジェクトを行っている。「番組制作は個人のクリエイティビティだけでなく、構成力やチームワーク、外部との交渉力なども必要となる総合的なプロジェクトです。自分だけでなく他人を巻き込み、人との連携を強めながらタスクを遂行していくための、いい訓練となるはずです」。
Macは、可能性を拓くクリエイティブマシン
上田教授自身もPowerBook G4ユーザ。授業で制作したムービーはiPodに入れて活用しているそう。
授業はライブアートであり、教師は学びをアーティスティックに伝えるクリエイターである、というのが上田教授の提唱する「ラーニング・アート」の考え方。技術や知識を得るだけでなく、自分の考えやアイディアを相手に伝える方法とそのセンスを学ぶことが重要であるといいます。
「Macには、持っているだけで刺激になるような何か、人をワクワクさせる何かがある。Macは想像を創造へと導いてくれるクリエイティブパートナーです。技術や知識以上に大切なこと、それはプロセスであり、知識の活用力なんです。そのことを、自分の授業を通して教えたい。そのためにもMacは欠かせないツールなんです」
