MacとPodcastによる音楽教育で
新しい人材育成と社会貢献を目指す
フェリス女学院大学音楽学部
フェリス女学院大学の音楽学部では「総合大学における音楽教育」という位置づけの元に、音楽全般の知識や専門技術の習得はもちろん、語学やデザイン、情報教育など、幅広い教養科目を組み込んだカリキュラムを展開しています。2005年からは音楽制作の授業にMacを導入し、Podcastの可能性にも注目している同学部にお話を伺いました。
現代GPに採択された伝統校の新たな試み
クラシック音楽の専門教育において、長年の伝統と実績を誇るフェリス女学院大学の音楽学部。総合大学として音楽以外の分野のカリキュラムも充実する同学部では、2005年度から新たに音楽芸術学科を開設し、「若い女性の視点からの音楽コンテンツ創造」をテーマに掲げた「フェリスミューズプロジェクト」をスタートしています。
フェリス女学院大学音楽学部・音楽芸術学科の秋岡陽教授
このプロジェクトでは、従来のクラシック音楽のための教育という枠にとらわれることなく、ポップスやコンピュータ・ミュージック、知的財産の創造に長けたコンテンツクリエイターの育成を目指します。「マルチメディア著作権ビジネス」「メディア・アート」「アニメ・ゲーム音楽制作」といった新規科目を開講し、音楽コンテンツの創造や発信、活用を促進する同学部の取り組みは文部科学省にも評価されており、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(現代GP)に採択されています。
2004年に制定された「コンテンツ創造促進法」がプロジェクト発足のきっかけになったと語るのは、フェリス女学院大学音楽学部・音楽芸術学科の秋岡陽教授。コンテンツ創造促進法は、日本の音楽コンテンツビジネスを活性化するために必要な人材の育成をはじめ、流通や著作権の保護などについての施策をまとめたもの。この法律から派生した社会のニーズに対するフェリス女学院大学としての回答が、フェリスミューズプロジェクトなのです。
プロジェクトでの取り組みに適していたMac
情報リテラシー教室に設置された21台のiMacには、音楽制作に使用するMIDIキーボードが接続されています。
2005年8月にスタートしたフェリスミューズプロジェクトに伴い、山手キャンパスの情報リテラシー教室には音楽制作の授業用にMacが導入されました。もちろん、すべてのMacにMIDIキーボードがセッティングされています。コンピュータでの音楽制作は数年前から段階的に取り入れていたそうですが、新たな試みを本格的に始動するにあたり、その中心となる音楽コンテンツの制作環境としてMacを選んだ理由を秋岡教授はこう明かします。
「音楽大学や音楽学部では、クラシックのような伝統的な音楽だけを教える場合が多いのですが、ここ数年は音楽をとりまく状況も大きく変わりつつあります。フェリスミューズプロジェクトがスタートしたのと同じ頃に、アップルは日本でiTunes Music Storeを開始しました。コンテンツビジネスや音楽と人の関わり方を変えたアップルとの協力は、音楽教育で先手に立ちたいと思っていた私たちにとって自然な流れでした」(秋岡氏)。
iPodで音楽を楽しむスタイルに革新をもたらし、iTunes Music Storeで音楽配信ビジネスをリードするアップルの取り組みは、フェリスミューズプロジェクトの理念と共通する点も多かったのです。こうしてプロジェクトのロードマップに「Macを用いた創作システム導入」と「音楽ネット配信システムの導入」が設けられ、コンテンツ制作用のコンピュータとしてiMacが採用されました。
MacとLogic Expressの組み合わせを評価
フェリス女学院大学情報センター講師(ITコーディネーター)の内田奈津子氏
音楽制作の授業で主に使用されているソフトウェアは、アップルのLogic Expressです。フェリス女学院大学情報センター講師(ITコーディネーター)の内田奈津子氏は、「音楽の基礎をすでに学んでいる学生にiMacとLogic Expressを試してもらったところ、特にコンピュータに慣れ親しんでいたわけではないのに難なく曲作りを行うことができました」と言います。さらに「作った音を簡単にアレンジできるほか、クラシックの分野においても作曲やオーケストレーションのシミュレーションに利用できる」(秋岡氏)など、MacとLogic Expressの組み合わせは学生だけでなく、音楽教育のプロフェッショナルからも高く評価されています。
内田氏はMacやアップル製ソフトウェアのメリットとして、Logic ExpressとGarageBandのようにデータをシームレスに連携できる点も挙げています。また、同校の緑園キャンパスにもiBookが導入されており、iMovieなども授業に使用されていますが、「女子大学の学生の場合、Macのようなデザインやカラーには親しみを持ちやすいようです」(内田氏)と使いやすさだけではないアップル製品の魅力を語ってくれました。
Podcastでコンテンツを発信することによって、大学という閉じた世界が開かれていく可能性があります。
フェリス女学院大学音楽学部・音楽芸術学科 秋岡 陽教授
作品の発表や社会とのつながりにPodcastを活用
Macの使い方を覚えた学生たちは、授業以外でもPodcastを積極的に活用し始めています。
2006年度からは授業や学生のサークル活動、研究グループで本格的にPodcastを活用していきます。現代GPに採択された大学には文部科学省の方針により、取り組みの成果を社会に対して発信することが求められていますが、「純粋に『音』だけを配信できるPodcastは、学生たちの作品を広く発表するには最適な手段」(秋岡氏)と音楽学部ならではのPodcastのメリットに着目しています。
「大学や学生がPodcastでコンテンツを発信することによって、自分たちが社会からどのように評価されているのか知ることができます」と秋岡教授。また、Podcastから生まれる他大学の学生や企業とのコラボレーションなども視野に入れており、「大学という閉じた世界が開かれていく可能性がある」とPodcastの有効性や今後の展望についても秋岡教授は述べています。
「ゆくゆくは老人施設のための環境音楽の制作などにも取り組みたい」(秋岡教授)という同学部の音楽教育や、Podcastによる一般社会へのコンテンツの発信は、「他者のために、他者と共に」というフェリス女学院大学の建学の精神に結びつきます。フェリスミューズプロジェクトがこれから実現していく社会貢献と人材育成、そのための教育にMacやPodcastが大いに活躍することでしょう。
