1215台のMacをNetBootで管理
国内最大規模の情報教育システム
神戸大学 学術情報基盤センター

170台以上のiMacが並んだ大学教育推進機構の教室。iMacは省スペース性に優れるため、従来のシステムよりも多くの台数を収容できたという。
神戸大学では、国内の教育機関としては最大規模となるMac OS Xベースの情報教育システムを導入し、その運用を2006年1月から開始。NetBootサーバを構成するXserve G5をシステムの中核に据え、遠隔地を含む14の拠点で合計1215台のiMac G5が稼働しています。Xgridでのグリッドコンピューティングなど、Mac OS Xのメリットを生かしたシステムの運用も視野に入れる学術情報基盤センターにお話を伺いました。
全キャンパスのiMacを統合管理するNetBoot環境
NetBootサーバとして稼働するXserveには、各拠点のiMacに応じたシステムがディスクイメージで用意されている。
神戸大学では従来、教育用端末として250台のUNIX系シン・クライアント、330台のPC端末を採用していましたが、プラットフォームの並行運用の負荷は大きく、管理面での課題を残していました。同大学の学術情報基盤センターは、全学の情報基盤の刷新を検討した結果、これからの情報教育にふさわしいプラットフォームとして1215台のiMac G5を導入。2006年から全面的に運用を開始しています。
新システムの導入にあたり、学術情報基盤センターでは運用・管理負荷の軽減だけでなく、より高度で先進的な利用環境の構築を目指しました。そこでまず注目したのが、NetBootによるクライアントの一元管理です。Mac OS X Serverを用いたNetBootシステムならサーバ上にディスクイメージを用意するだけで、1000台以上のiMacをネットワーク経由で運用できます。
システムの中核を担うのは、Xserve G5で構成されるNetBootサーバ群です。NetBootサーバは本拠地である六甲台地区に設置されており、学内のiMacはサーバ上のディスクイメージをマウントしてシステムを起動します。さらに医学部医学科のある楠地区、海事科学部のある深江地区、医学部保健学科のある名谷地区といった神戸市内に点在する各キャンパス間は、それぞれ光ファイバーによる学内ネットワークを用いて接続。遠隔地のキャンパスに導入したiMacも、1カ所のNetBootサーバで運用できるようになっています。
六甲台地区の9拠点を学内のLANで、楠/深江/名谷といった遠隔地のキャンパスを専用のWAN回線で結び、すべてのクライアントをNetBootサーバで運用している。
管理コストの軽減で導入端末が増加
Mac OS X ServerとXserve G5によるNetBoot環境は、OSやアプリケーションの入れ替えにかかる時間やコストなども減らし、メンテナンスの手間も大幅に解消しています。
学術情報基盤センター副センター長の田村直之氏は、「以前は教育用PC端末のOSを入れ替えるだけで、相応の時間と費用がかかりましたが、NetBoot環境ではほとんどの手間が必要なくなります」と導入のメリットを語ります。「導入前には検証用の環境でテストしたり、複数の拠点にあるiMacが問題なく動くのか心配でした。しかし実際には、非常にスムーズに導入することができて驚いています」と付け加えるのは、学術情報基盤センター助教授の伴 好弘氏。
また、メンテナンスのために遠隔地のキャンパスを巡回する作業も不要となり、運用・管理負荷とランニングコストの軽減という相乗効果によって、従来の2倍近い台数の教育用端末を導入できたのです。
教育用端末としての条件を満たすMac OS X環境
コストパフォーマンスに優れた運用を実現するMacは、教育用のコンピュータとして最良の選択でした。
神戸大学 学術情報基盤センター センター長 鏑木 誠教授
全学の教育用端末にMacプラットフォームを選んだ理由には、Mac OS Xの先進的な機能やインターフェイス、そしてUNIXベースの安定性や堅牢性も挙げられています。学術情報基盤センター長の鏑木 誠氏は「Mac OS XはGUIの完成度も高く、オフィス系アプリケーションも問題なく利用できる。コストパフォーマンスに優れた運用を実現するMacは、教育用のコンピュータとして最良の選択でした」と述べています。
科学技術計算やプログラミングのためにUNIX環境が欠かせない授業や研究室でも、Mac OS X環境なら専用端末を別途用意する必要がありません。「プログラム実習などの現場では、システムに付属するXcodeをインストールするだけでそのまま利用できます」(田村氏)。
左から、塚本康夫氏、熊本悦子氏、鏑木 誠センター長、田村直之氏、伴 好弘氏。
オープンソース技術が基盤のMac OS Xはシステム関連の情報が得やすく、日常的なメンテナンスやトラブルに対処しやすい点も管理者側にとって大きなメリットと言えるでしょう。「Mac OS XはUNIXのオープンな仕組みを採用しているので、従来の教育用端末と比較してトラブルやシステムの拡張にも容易に対応できるようになりました」(伴氏)。
学生の利用率がアップ。Xgridも段階的に運用
塚本康夫氏、熊本悦子氏を中心として実施されている全学必修科目の「情報基礎」をはじめ、理工系学部でのプログラミング演習やTeXを使った演習、人文系学部での文学作品のコーパス分析、留学生センターでの日本語教育など、神戸大学では各学部独自のカリキュラムの中でiMacが積極的に活用されています。iMacを導入してからは自習室もほぼ満席という状況が続き、学生の端末利用率が飛躍的に上がっていることを先生方は実感しています。
授業で使われていない教室や自習室では、課題の作成や研究など、学生たちが思い思いのスタイルでiMacを利用しています。
そして現在、学術情報基盤センターが注目しているのが「Xgrid」です。Xgridは、Mac OS X環境に標準搭載されている分散コンピューティングシステム*(グリッドコンピューティングやクラスタリングとも呼ばれる)。専用のコンピュータを用意することなく、複数のMacを利用して高度な科学技術計算、ゲノム解析といったバイオ分野でのグリッドコンピューティング環境を構築できます。同センターではXgridを試験的に運用し始めており、膨大な時間を要する演算処理を高速化するなど、さまざまな試みが着実に成果を上げていることから大きな期待を寄せています。
Macプラットフォームによる国内最大規模の情報教育システムは、導入後わずか3ヶ月で学生や教職員から高い評価を得ています。遠隔地を含む全端末の統合環境によって、運用・管理負荷とコストの削減も達成しました。Xgridの本格的な運用や各拠点ごとのシステムの拡充など、神戸大学 学術情報基盤センターの取り組みは今後さらに有意義な成果を生み出すことでしょう。
