10年前から教育でのIT活用に積極的に取り組んできた熊本大学教育学部附属小学校は、子供たちの学習意欲を高め、創造性を引き出す授業づくりに成功しています。そこでは、あらゆる授業に欠かせない道具として、マルチメディア機能が充実しているうえに操作が簡単なMacが選ばれています。

学習意欲を高めることが目的

熊本大学教育学部附属小学校 教諭
宮脇真一氏

熊本大学教育学部附属小学校では、 国語、理科、体育・・・など、すべての教科においてMacが積極的に活用されています。コンピュータの操作方法や基礎的なITリテラシーを身につけるだけでなく、授業を楽しくし、子どもたちの知的好奇心をかき立て考えさせるきっかけとなる「教材づくり」に、Macの機能が最大限に活かされているのです。


近年、子供たちの学力低下、ひいては学習意欲の低下が社会問題となっています。そこで当校では、ITを活用した授業によって子供たちの学習意欲を高める取り組みを行ってきました。

— 熊本大学教育学部附属小学校 教諭 宮脇真一氏

圧倒的多数で「Mac」に決定

熊本大学教育学部附属小学校に最初にコンピュータが導入されたのは、今から10年前の1995年、ちょうどWindows95がリリースされようとしていた時でした。導入にあたっては MacintoshとWindowsを学校に持ち込んで業者にデモを行ってもらい、全教員が実際に両機を操作してみました。 (当時、熊本大学教育学部附属小学校 視聴覚担当、 今年度から熊本市立飽田東小学校教諭 前田康裕氏)

当時、プリンタ・デジタルカメラ・デジタルビデオカメラも備えた同校のコンピュータ環境整備を主導した前田先生は、機種が決まった瞬間を、次のように振り返ります。

コンピュータ選定の条件はただひとつ‘小学1年生でも使えること’だけでした。そして、全職員による無記名投票の結果、18対1でMacが選ばれたのです。

子供たちの創造性を引き出すための環境

熊本市立飽田東小学校教諭 前田康裕氏

以降、同校ではMacを継続的に採用し続けてきています。 コンピュータルームには,今年の夏(2005年度)に新しくeMac21台が設置されました。eMac42台が、独特の配置で並んでいます。いわゆるクラスルーム形式でも、島形式でもありません。Macは部屋の四方の壁に沿って並べられ、中央部分はカーペットを敷いただけのフリースペースとなっています。これは、Macでデジタルな作業をすると同時に、写真を広げたりシナリオを描いたりというアナログな作業も並行して行うためのスペースです。

コンピュータを使った教育というと、子供用学習ソフトのパッケージをインストールして受身で使う、というイメージになりがちですが、本来コンピュータは人の知恵を加速させ、新しい表現や価値を生み出していくためのものです。前田先生は、Macは簡単かつクリエイティブなソフトが標準搭載されているので、子供たちが自ら何かを生み出す道具として最適だと考えています。

「‘iMovie HD’や‘iPhoto’は秀逸ですね。他に、同等の機能や操作性を持つソフトはないでしょう。子供たちは覚えるのが早いので、あえて子供用のソフトを用意する必要などないのです。クリエイティブな学習に取り組む中で、パソコン自体はすぐに使いこなせるようになるんですよ。」(前田氏)

3年生から始まる「総合的な学習」の時間の一部は、次のように、段階を踏んだITリテラシー教育に割り当てられています。

3年生・・・コンピュータの基本操作、タッチタイピングを学ぶ。
4年生・・・デジタルカメラで友達を撮影してiPhotoに取り込み、皆の前に立って紹介プレゼンテーションを行う。
5年生・・・ビデオカメラで撮影した動画をiMovieで編集して短い番組を制作し、QuickTimeで公開、イントラネットでも閲覧できるようにする。
6年生・・・自分たちが実際に催す演劇の準備や練習風景をデジタルカメラで記録し、Garagebandで作った音楽やナレーションをつけて2分ほどの映像作品に仕上げる。

「小学生が、限られた時間の中でコンピュータを使いこなし、高度なデジタル作品を仕上げられるのは、Macだからこそできることだと思います。」(宮脇氏)

好奇心をかき立てる楽しい教材で、高い学習効果を得る

また、同校では、Macを導入した当初よりすべての教科の様々な場面でのITの活用が試みられてきました。そしてそれぞれの試みは、学習のねらいに応じて以下のように分類されてきました。

その結果、子供たちの知的好奇心をかき立て、学習を促すのに、ITを利用することが非常に有効な場合が多いことが明らかになってきたのです。例として、宮脇先生はご自身の顔写真を使った教材を紹介してくれました。算数の授業の中で、Macをプロジェクターにつなげてその顔写真を子供たちに見せます。画像編集ソフトを使って写真の縦横比を変えると、顔写真は変形し、面白く歪みます。子供たちは、先生の顔が変化するのをワクワクしてみているうちに自然に「比」の概念を身につけるのです。



教員のコンピュータスキルも向上

教員向けのコンピュータスキルの向上にも熱心に取り組んできた同校は、2000年以降毎年、教員の授業や研究内容を電子データにまとめた「CD-ROM紀要」を作成しています。 このCD-ROM自体が、教員たちの手により、Macを最大限に活用して制作されており、学校全体のコンピュータスキルの継続的な向上にも役立っているそうです。この内容は、同校のWebサイト「IT授業実践サイト」上で一般にも公開されています。同校のMacを活用したIT授業の取り組みは、今後もさらに進化を続けることでしょう。