お茶の水女子大学 理学部 情報科学科は、2005年春、それまでのWindowsの教室を Power Mac G5 と 20インチ Apple Cinema Display のハイスペックモデルにリプレイスし、コストパフォーマンスが高く、かつ管理負荷の軽減されたコンピュータ教育環境を実現しました。また、Netbootの特徴とMicrosoft Virtual PC を利用して、特色ある講義を行っています。
IT業界における女性のリーダー、研究者を輩出
お茶の水女子大学 理学部 情報科学科
助教授 小口正人氏
お茶の水女子大学は、各分野における女性のリーダーや研究者を生み出している名門校です。理学部情報科学科は比較的新しい学科で、1学年40人ほどの少人数制で特色ある情報教育を展開し、毎年、IT分野のプロフェッショナルを生み出しています。
「学部卒業生の半数以上は大学院に進学します。社会に出る学生の多くは、IT業界のシステムエンジニアやシステムインテグレータ、あるいは電機業界の技術開発系の職種に進んで行きますね。」(小口氏)
情報科学科のカリキュラムは、本来、情報科学の基礎である数学系の科目が多くを占めていましたが、近年では世間の趨勢を受け、情報処理系の科目の割合が増えてきています。 学生は基礎科目として、2年生までにUNIXとC言語を学び、2年生の後期からはJAVAのプログラミングを学びます。また、応用科目として、データベース、数値計算、コンパイラ、コンピュータグラフィックス、人工知能、ネットワークなどの幅広い講義と演習が用意されています。
2005年春、Windows環境からMac環境へとシステムを総入れ替
情報科学科は大学の総合情報処理センターとは別に、最先端の情報教育環境を提供する学科専用のコンピュータ教室を4年に1回更新しています。
2005年春、情報処理学科のコンピュータ教室はWindowsとLinuxのデュアルブートシステムからMacのNetbootシステムへと刷新されました。学生が利用する端末は Power Mac G5 1.8GHz Dual CPUモデルが62台。ディスプレイは最高の表示品質を誇る20インチの Apple Cinema Display です。また、これらを統括するサーバシステムとして、6台のXServe G5と2台のXServe RAID を導入し、Mac OS X ServerのOpen Directoryによる総合認証環境と、Netboot環境による安定管理を実現しています。
今回、新しいシステム仕様を決めるにあたっての基本要件は以下の4項目でした。
- UNIXを利用した教育ができること
- 4年間継続利用できるコストパフォーマンスに優れたCPUであること
- Microsoft Officeが利用できること
- 専任の管理者が不在のため、運用管理の負荷が低いこと
総合情報処理センターが提供しているシステムがWindowsであったこともあり、情報科学科では敢えてWindowsにこだわる必要はありませんでした。それよりも、いかに同学科が行いたい講義に必要な環境を安定して提供できるか、管理負荷を軽減できるか、というほうが重要でした。最初は、Windows、Linux、UNIX、Macなどの様々なシステムを総合的に比較検討しましたが、上記の要件に鑑み、結果としてMacが採用されることになりました。当然Microsoft Officeが動くという点においても、Microsoft社がMac対応の「Microsoft Office 2004 : mac」を提供しているので何の問題もありませんでした。
4年後の講義も想定して最高のスペックのモデルを比較した場合、実は Windows機よりもPower Mac G5の方がコストパフォーマンスに優れていました。また、コンピュータで一番壊れやすいのはハードディスクですが、Netbootの採用によって、端末のハードディスクを利用しないことが管理負荷の軽減につながると考えました。
お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 助教授 小口正人氏
学生の評判も良いMacの新システム

新システムには、 Adobe社の Creative Suite、 Microsoft社の Office、Virtual PC、Wolfram Research社のMathematica等のパッケージソフトウェアに加え、Firefox、LaTeX2e、GNU emacs、kterm、mysql等の標準的なフリーソフトウェアが一通り揃っており、幅広い講義や演習に対応しています。
高パフォーマンスのPower Mac C5は、学生の評判も上々です。20インチのApple Cinema Displayも、複数のウインドウを立ち上げても広々使えるということで歓迎されています。 以前の教室では特殊な机(ディスプレイ埋め込み式)で画面を見ようとすると、どうしても前かがみで覗きこむ姿勢になってしまう点や、机に埋め込めるディスプレイの最大サイズが15インチと小さかった点について、評判があまり良くありませんでした。
Mac + Virtual PCを活用したユニークなネットワーク演習
新しい教室で小口先生が行っておられる3年生向けの講義のひとつに、「Virtual PCを利用したクライアント・サーバ環境設定演習 」というユニークなものがあります。この演習では、Mac OS Xに搭載したVirtual PCで、学生が各自、仮想マシンを2つ構築します。内容は以下の通りです。
- 1つのVirtual PCにはWindows XPをインストールし、Windows仮想端末環境を用意する。
- もう1つには、Red Hat Linuxサーバ環境を用意する。
- この2つの仮想マシンをつなぐ仮想ネットワーク上で、Linuxが、WebサーバやDNSサーバなどのネットワークサービスを構築・提供し、Windows仮想端末からアクセスして利用できる環境を構築する。
すなわち、仮想環境上に自分だけのインターネットの世界を作る演習です。従来は、ネットワークの設定演習は実際の環境ではなかなか実施が難しかったのですが、Mac OS X上で動作するVirtual PCの仮想環境によって、実施可能となりました。
「この演習がユニークな点は、Windows端末もLinuxサーバも、NetbootによってMac上に生み出された仮想マシンだということでしょう。仮想環境なので、失敗しても簡単にやり直すことができますし、誤ったパケットを飛ばして、実ネットワークに迷惑をかけることもありません。しかも仮想環境ながら、ソフトウェアとしては本物のWindowsやLinuxを利用して演習が行えます。」(小口氏)
仮想マシンソフトを駆動するにはかなりのマシンパワーを必要としますが、高性能なPower Mac G5では、エミュレーターによるWindows環境もほとんどストレスなく利用できます。
情報科学科は、来年度以降も、ハイパフォーマンスで柔軟なMac OS Xの環境を利用してより良い講義に工夫をこらし、IT分野のリーダーや研究者を生み出して行くことでしょう。



