大阪女学院短期大学と大阪女学院大学では、2004年度から新入生にiPodを配布して英語教育に活用しています。ただ単にiPodを配るのではなく、学生が英語を学習する環境の構築に力を注いでいる同校に、iPodを導入した背景とその成果についてお伺いました。

「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」
ミッションスクールとして創設以来、120年以上の歴史を持つ大阪女学院は、短期大学に600名の学生が通うほか、2004年の4月からは4年生大学も開校しました。大阪女学院の特徴は、なんといっても実践的な英語教育にあります。

大阪女学院大学国際・英語学部の加藤映子教授は、同校の英語教育について「『英語を学ぶ』のではなく、『英語で学ぶ』ことに力を入れています」と説明します。TOEICやTOEFLへのチャレンジはもちろんのこと、英語での知的な対話、英語を使ったリサーチやドキュメント作成、コミュニケーションやプレゼンテーションなどを実践し、国際社会で通用するプロフェッショナルな人材を育成しています。その大阪女学院が学生の英語力の向上に役立てるため、2004年度から導入しているのがiPodです。英語の教材としてiPodを導入した理由について、加藤先生は次のように話してくれました。


コンテンツがあるからこそiPodを導入できる
「iPodは音楽プレイヤーとして登場したわけですが、英語教育の観点からも可能性があるのでないかと思いました。英語のリスニング教材はCDや、古くはカセットテープなどで提供されてきましたが、今の学生がそれらを常に持ち歩いてリスニングするとは考えにくかったのです。iPodならどこにでも持ち歩けて、気軽にリスニングできますよね」。

大阪女学院短期大学の専任講師、ジェレッド・ハンセン先生も「英語のリスニングだけじゃなく、音楽などあらゆる用途に使えて、しかもポケットに入れて持ち歩けるのがiPodのメリット」と、iPodならではの良さを語ってくれました。

同校では、iPodに英語学習のコンテンツをインストールした状態で学生に配布していますが、「独自のコンテンツがあることが大きなポイントで、これをなくしてiPodを配布するだけでは意味が無いんです」と加藤先生は強調します。大阪女学院には教材を制作するチームがあり、長年にわたって数多くのコンテンツを開発してきた実績があります。時代のニーズに応え、教育のデジタル化にも早くから取り組んできました。同校が誇るコンテンツを生かし、英語教育のシステムを推し進めたひとつのカタチとして、iPodの導入があったと言えるでしょう。


iPodを導入したことで、学生たちが以前よりも英語教材を聴くようになりました。

— 大阪女学院大学国際・英語学部 加藤映子教授

当初はiPodについてよく知らない学生がほとんどだったそうですが、クリックホイールを中心とした簡単なインターフェイスのおかげで、マニュアルも読まずにiPodの操作を理解していったそうです。使い方を覚えるにつれて、学生たちは積極的にiPodを英語学習に役立て始めました。

「多くの学生が、通学時の電車の中などでリスニング教材を聴くようになりました。文法の教材で『ダイアログ』と呼ばれるものがあるのですが、iPodならその練習を電車の中で行うこともできるのです。また、自分で購入したTOEICやTOEFLの教材に付いているCDをiPodに取り込んで、常に持ち歩いている学生もたくさんいますよ。先生たちの間でも、CDの教材に比べて学生がよく聴くようになったと評判です」(加藤教授)

大阪女学院では、iPodを使う上で重要なセキュリティや著作権についての教育も忘れていません。システムを担当している学長室LMS企画・推進係長の長江安佐子氏は、「特にハードウェア的な制限はかけていませんが、iPodを使いながらデータの流出やコピーライトについても学内で教育するというスタンスです。こうしたルールを大学生活でしっかり学んでから社会に出てほしいと思っています」と語ります。


学校側の予想を超えて学生がiPodを活用
iPodの導入から2年。学生たちはあらかじめ提供されているコンテンツだけでなく、メモ機能やPodcastingなど、さまざまなアイデアでiPodを活用するようになりました。

「私は片道1時間以上かけて電車で通学しているのですが、その車内ではiPodのメモ機能を使って論文のテキストをチェックしています。大学の勉強がとても忙しく、電車が混んでいてノートを広げる余裕がないときでも、iPodがあれば時間を有効に使えるんです」(大阪女学院短期大学・大下さん)

「英語のリスニング力が低下していると感じていたので、iPodで海外のPodcastを聴くことにしました。今はアメリカ英語、カナダ英語、オーストラリア英語、イギリス英語の4種類をPodcastで聴いています」(大阪女学院大学・秋山さん)

学内にはMacが並ぶラボやMacについて学ぶクラブ「アミーゴス・デ・アップル」もあり、2005年度からは1年生全員に自分のブログを持たせています。加藤教授は「ブログやPodcastingにも言えることですが、今後は情報を発信するほうにも力を入れていきたいと思います」と展望を語ってくれました。教育機関としていち早くiPodを導入した大阪女学院が、今後どのようにiPodやMacを教育に活用し、Podcastingでどんな情報を発信していくのかは、他大学も注目するところでしょう。




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大阪女学院短期大学/大阪女学院大学
プロフィール

大阪女学院のルーツであるウヰルミナ女学校は、米国カンバーランド長老教会外国宣教局のミッションスクールとして1884年に創設された。1947年に中学校、その翌年に高等学校を設置。1968年、より高い水準の教育を目指して大阪女学院短期大学を英語科としてスタート。同専攻科の設置を経て、2004年には大阪女学院大学国際・英語学部を開学した。2004年度からは新入生全員にiPodを配布(教材として学生が購入)。なお、大阪女学院短期大学のカリキュラムは2003年度の特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)に採択されている。
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