立命館宇治中学校・高等学校では、合計500台近いMacがいろいろな場面で活用されています。情報化教育に熱心な同校がMacを道具として選ぶ理由は何なのでしょうか。また、2005年春に導入された可動式のラックに収まったiBookは、普通科目のなかでどのように使われているのでしょうか。

立命館宇治中学校・高等学校の充実したコンピュータ環境

立命館宇治中学校・高等学校は「グローバルな舞台で通用する世界水準の人間形成」を目指して、4つの教育コンセプト「統合と卓越の教育」「情報化教育」「貢献の教育」「国際化教育」を掲げています。

2002年に移転した現在の新しいキャンパスは、「情報化教育」の題目に恥じぬ素晴らしい教育環境が整備されています。
新しい校舎は無線LANが整備されており、教員は全員、iBookを一台ずつ貸与されています。生徒の成績入力や特別教室の予約・教員間の業務連絡などはグループウェアで完全に電子化されています。各ホームルーム教室には2台づつiMacが設置されており、生徒は、休み時間などに気軽にインターネットを利用することができます。図書館の検索端末や自習用端末、生徒寮の共有端末も全てiMacです。端末45台の並ぶ「メディアルーム」は全5室あり、うち3室をMacが占めています。

Macが採用されている理由

立命館宇治高等学校 情報科教諭
情報研究部長 三宅進一氏

いたるところでMacをコンピュータ端末として採用している理由について、情報機器や情報教育全般の責任者を務める三宅進一先生(立命館宇治高等学校 情報科教諭)は、次のように説明してくれました。

「最初にコンピュータ機器を導入したのは1995年でした。当時、簡単にネットワークが組め使いやすいコンピュータということでは、Macしかありませんでした。」


単に使いやすいいうだけでなく’感性をストレートに表現できる’という点が、Macは優れています。コンピュータには‘デザインのかっこよさ’などの、生徒の興味を引きだす要素も必要です。カラーのiMacが導入された時には生徒の話題を呼びましたし、何か面白いことができそうだ、と感じさせる魅力がMacにはあります。

最近は、ほとんどの生徒たちが自宅でもパソコンに触れていますが、その多くはWindowsです。しかし、だからこそ、OSはWindowsだけではないということを教えることも重要だと、三宅先生は考えています。

「入学して初めてMacに触れる生徒が多いのですが、このところiPodを持っている生徒がずいぶん増えました。生徒たちもMacを身近に感じてきているようです。」(三宅氏)

また、管理のしやすさやも評価されています。

「寮の端末はNetbootで管理しています。安定稼働していますし、職員室から遠隔管理できるのでとても楽です。」(三宅氏)

情報教育カリキュラムも高度で先進的な内容

同校の情報教育のカリキュラムは充実しています。中学生は週1コマの「技術家庭」でコンピュータの基本操作を学習します。高校になると、最初の1年で、電子メール、ワードやエクセル、情報倫理などの基礎的なことを学び、2年生はホームページを作成したり、特定の課題への取り組みをプレゼンテーションにまとめてグループで発表したり、といった実践的なことを学びます。3年生になると、文系であればアニメーションや映像作品の制作、メディアリテラシーなど。理系であればデータベースや統計分析、ネットワーク、ロボットの組み立てなどについて、週に1〜3コマの選択授業を受けることができます。

このような情報教育を通じて同校生徒のITスキルは高い水準に達しています、最近は、映像作品をNHKのコンテストに応募したり、文化祭のために20分ほどの映画を製作したりする、自発的な生徒も珍しくありません。

コンピュータ教室不足を解消した、40台のiBookと3台のカート

同校では、情報科目だけでなく、一般科目でもコンピュータが積極的に活用されています。特に、約30ほど在籍するネイティブスピーカーの英語教員は、インターネットで英語素材を入手しやすいこともあり、Macの利用に特に積極的です。ここ数年は、様々な科目でのコンピュータ利用の要望が増えてきたため、メディアルームの稼動率は非常に高く、授業で使いたくても予約が取れないことが多くなっていました。

そんな時に、当時の情報担当教員が米国アップルのホームページを見ていて「これだ」と思った解決策が、給電機能を備えた可動式ラックにiBookを搭載した、「モバイルカート」でした。移動・充電が可能なカートごとiBookを持ち込むと、普通教室もワイヤレスでインターネットアクセスが可能なコンピュータ教室に早変わりします。

「今後は、メディアルームの端末もポータブルコンピュータを採用することで、机のレイアウトが自由に変更でき、共同作業やディスカッションがやりやすい自由度の高い部屋に変えてはどうかと考えています。また、生徒や教員の個々のファイルはサーバ上に置いていますが、今後は無線LAN経由でもユーザーのホームディレクトリにアクセスできる「Portable Home Directory(1)」などの新しいソリューションも検討して、より柔軟な環境をつくっていきたいですね。」(三宅氏)

「情報化教育」と「国際化教育」の融合

立命館宇治中学校・高等学校は、文部科学省から「Super English Language High School(SEL-Hi)」の指定を受けています。新しいiBook活用の一例として、留学を控えたSELコースの生徒達が、 美術・音楽・書道の合同授業でiMovieを使い海外へのお土産映像を作成する様子を取材しました。

3人の生徒がひとつのチームとなり、チーム毎に「喜怒哀楽」「人間」などのテーマを決めます。そのテーマに基づき、3人は分担して絵を描き、音を作り、文字を書きます。デジタルビデオカメラで撮影した映像を使う生徒もいます。最後に各自は自分のiBookにチームの手作りコンテンツを取り込み、iPhotoやiMovieを駆使して各自1分ほどのメッセージ作品を仕上げます。そして、皆の作品をDVDに焼いて留学先に持って行き、国際交流の切り口にするのです。

生徒達は受け手がどう感じるかを考えながら文字や絵を描きます。コンピュータは最後に、自分の表現をよりリアルに、視覚に訴えるものに仕上げるために使います。ちょっとエフェクトを加えるための道具としてMacは使いやすいのです。

— 書道教諭 浦井誠氏

情報科目以外の授業でMacが利用されやすい理由の一つは、まちがいなく「簡単で、感性をストレートに表現できる道具」という三宅先生の言葉に集約されているようです。