公立校・単位制ならではのニーズに
応えるMac OS Xの情報教育システム

滋賀県立大津清陵高等学校 通信部

大津清陵高校の通信部

生徒個人の学習計画を基に、実習中心の授業を行っている大津清陵高校の通信部。情報教育用教室ではiMacやMac miniが使用されている。

単位制を導入している滋賀県立大津清陵高等学校の本校では、2006年4月からXserveとMac OS X ServerによるNetBootを中核に、情報教育端末としてiMacとMac mini、Power Mac G5を採用しています。昼間部と通信部の約1400名のアカウントを集中管理するXserve、校内の情報共有に活躍するPodcastをはじめ、公立高校・単位制高校ならではの幅広いニーズにもマッチしたMacの情報教育システムについて、同校の通信部にお話を伺いました。

情報教育を強化しながらコミュニケーションも重視

田中芳秀氏

大津清陵高等学校 通信部教頭の田中芳秀氏。

大津清陵高等学校は、学年による教育課程の区別がなく、多種多様な科目を自由に選択して履修できる単位制高校です。通信部は生徒個人の生活環境やライフスタイルに応じて学習計画を立てられる通信制課程で、教頭の田中芳秀氏は「情報教育を積極的に推進する一方、人と人との直接的なつながりを大切にし、個々の生徒に対応したきめ細やかな教育を目指しています」と、その教育方針について語っています。

また同校では、高等学校学習指導要領が定める情報教育の必修科目「情報A」「情報B」「情報C」のほか、専門科目の「情報と表現」「情報産業と社会」を展開。高まる情報教育の需要を的確にカバーすると同時に、さまざまな年齢層、学習目的の生徒に対して幅広い選択肢を提供しています。

同校通信部での意欲的な取り組みを支えているのが、3台のXserveとXserve RAID、Mac OS X Serverで構築された基幹システムです。このシステムを基盤に、現在は2つの情報教育用教室で43台のiMac、24台のMac mini、2台のPower Mac G5が教育用端末として稼働しています。

導入の条件をすべて満たしたMacによる教育環境

同校におけるNetBootシステムの導入は、県教育委員会からのコンピュータ機器更新の通達がきっかけとなりました。同校では2005年11月から導入に向けた委員会を発足させ、「単位制高校として何が必要か」を前提に新しい情報教育環境の検討をスタート。(1)リース期間が終了する5年後を見据えた最新テクノロジー、(2)セキュリティに強い堅牢なシステム、(3)校内ネットワークの基盤となるシステム、(4)生徒個別の学習進度に対応するデータの一元管理とホームディレクトリの設置、(5)以上の条件を満たした上で運用管理が容易なシステム──といったコンセプトが固まり、具体的な機種選定の段階へと入りました。

村田良氏

大津清陵高等学校 通信部情報管理課教諭の村田良氏。

Mac OS X ServerとXserveによるNetBootシステムが採用されるまでの経緯について、システム全体の運用管理を担当する通信部情報管理課教諭の村田良氏は次のように語ります。

「私たちは『まず機種ありき』ではなく、従来のWindows環境での問題点を洗い出した上でコンセプトを策定し、それを実現するための教育システムとして検討を進めました。その結果、64ビットCPUの先進性、UNIXサーバとしての堅牢性と高いセキュリティ、NetBootによる利便性と運用管理のしやすさなど、すべての条件を満たせる環境はMacしかないという結論に達したのです」。

アカウント、データ、端末の一元管理を実現したNetBoot

“すべてのアカウントのデータをサーバで集中管理できるNetBootなら、メンテナンスも非常に楽です。専任の管理者がいない公立高校では、コストパフォーマンスにおいてもベストな選択だったと思います。”

— 大津清陵高等学校 通信部情報管理課教諭 村田 良氏

同校通信部ならではの課題として、「ホームディレクトリ」のメンテナンスが挙げられます。通信部では生徒が毎日出席してくるとは限らず、前回の授業データなどをそのまま保持しておく必要がありますが、特定のシステム管理者がいない同校では地理担当である村田氏が全システムの運用と約1400名(昼間部含む)の生徒のアカウント、ファイル、および69台の端末を管理しています。メンテナンスを合理的に行うには、東京大学でも導入されているNetBootの存在が不可欠でした。

藤岡裕信氏

大津清陵高等学校 通信部教諭の藤岡裕信氏。

「生徒が作業を終えたあとにホームディレクトリの領域をイメージ化し、その生徒が次に出席した際に復元するという方法は、私1人では現実的ではありません。しかし、すべてのアカウントのデータをサーバで集中管理できるNetBootなら、メンテナンスも非常に楽です。セキュリティ関連のソフトウェア・アップデートも簡単で、これまでのシステムのストレスから完全に解放されました。専任の管理者がいない公立高校では、コストパフォーマンスにおいてもベストな選択だったと思います」(村田氏)。

先生方にとってもNetBootシステムの導入効果は大きいようでした。通信部教諭で情報担当の藤岡裕信氏は、特にNetBootのパフォーマンスとMacの安定性を評価しています。

「通信制課程では、生徒が今度いつ出席できるかわからない場合もあるので、一回一回の授業で決してミスはできませんし、マシントラブルによる時間のロスも許されません。MacのNetBootはシステムの起動が非常に速く、動作も快適なので無駄な時間がなくなり、授業そのものに専念できるようになりました。トラブルも非常に少なく、大切な時間をメンテナンスや起動作業に費やす必要はありません」。

校内行事などの映像をビデオPodcastで配信

教育用端末としてMacを導入したことにより、従来のOfficeアプリケーションを中心とした授業だけではなく、マルチメディア・ソースを多用したカリキュラムも実践できるようになりました。

授業ではiPhotoの写真をはじめ、インターネットのビデオサービスなどを多用した実習が行われています。村田氏が担当する地理の授業では、地理空間情報を提供するソフトウェア「Google Earth」を用い、グラフィックスや地理情報をリアルタイムに確認しながら学習するといったユニークな試みも実現しました。また、生徒が使っているMacの監視や制御にはアップルのデスクトップ管理ソフトウェア「Apple Remote Desktop」を利用し、教科書の情報が古い場合は最新のPDFデータを提示したり、あらかじめ用意したコンテンツをタイミングよく生徒に見せるなど、効率的な授業の進行にもMacが一役買っています。

大津清陵高等学校 通信部のPodcast

iTunesに登録されている大津清陵高等学校 通信部のPodcast。学園祭や特別講義の模様がエピソードとして公開されている。

現在では、Podcastを活用したビデオ配信も新たに始まりました。学内行事や特別講義を収録したビデオを先生方がiMovieで編集し、iWebでPodcastを作成して、ワンクリックで公開、配信しています。同校通信部のビデオPodcastはiTunes Storeにも登録されており、Podcastディレクトリから購読することが可能です。「通信部では働きながら学んでいる生徒も多く、スケジュールの都合や諸事情でどうしても校内行事に参加できない場合もあるのですが、ビデオPodcastを通じて、すべての生徒に学校をもっと身近に感じてもらえればと思っています」(田中氏)。また、普段は学校での生徒の活動を見ることができない父兄への情報共有という面でも、iTunesでのビデオPodcastの公開は有用でした。

自分のペースで学習に取り組んでいる

通信部では既存の教育スタイルにとらわれず、さまざまな年齢層の生徒が自分のペースで学習に取り組む。

今後は生徒とのメールによるコミュニケーションやサポート体制を強化すると共に、Macに付属するiChat AVを利用し、遠隔地を結んだサテライト教室や相談所の提供も視野に入れているとのこと。専任の管理者がいない公立高校での理想的なサーバ運用とクライアント管理をMac OS XのNetBootシステムで実現した同校通信部は、単位制高校ならではの幅広いニーズに応えられる環境づくりをこれからも続けていきます。