東京インターナショナルスクールでは、独自の「探求型学習」、すなわち、生徒が特定のテーマに対する問いを立て、それに関する情報を収集・整理し、解を他の生徒と共有するという学習スタイルを遂行する中で、子供たちの意欲を引き出し、自信を持たせる道具としてMacを活用しています。
東京インターナショナルスクールの「関連学習モデル」
創設者/ビジョンナビゲーター
パトリック・ニュウエル氏
東京インターナショナルスクールは、3歳の幼児から14歳までの約320人の子供達が通う学校です。生徒達の国籍は40カ国を超え授業は全て英語で行われ、独自の教育理念「関連学習モデル」(Relevant Learning Model)に基づいて行われています。これは、生徒たちの生活に端を発した問いから、関連する知識を統合的に調べ、まとめあげていくプロセスを通して、子供たちが実社会で生きていくための知恵と自信を育む学習モデルです。
このモデルは、「脳(Brain)」「心(Heart)」「影響力(Empowerment)」の三辺からなる三角形の図で表されます。「脳」とは、後述する「探求型学習(Inquiry Learning)」を通じて思考回路を形成し、学習能力を高めていくこと。「心」とは、前向きな個性や態度を形成すること。そして「影響力」とは、意思決定のプロセスに生徒たちが積極的に関わることにより、単に知識を得るだけでなく、学習に対する、より高いやる気や関心を引き出すことを示します。
世の中で常に変わらないこと、それは‘変化し続ける’ということです。我々教育者の使命は、子供たちの、変化を的確に把握して積極的に対応してゆく、柔軟な適応能力を育むことにあります。
ビジョンナビゲーター、パトリック・ニュウエル氏
東京インターナショナルスクールのコンピュータ環境
東京インターナショナルスクールは開校当初よりMacを積極的に導入し、教育に活用してきました。校舎内の各フロアは「Air Mac Express」による無線LAN環境が整備され、どの教室からも無線でインターネット利用が可能です。教員は1人1台、iBookを支給され、教務処理や教材作成に利用しています。幼稚園から小学5年生までは、学年毎に専用のコンピュータルームが設置されています。そこにはiMacやeMacなどの固定端末に加え、共用のポータブル端末(iBookやPowerBook)も用意されており、必要に応じて自分たちの教室に持ち込んで使うこともできます。そして2005年度からは、小学6年生から中学2年生までの生徒達には1人1台のiBookを支給するようになりました。個人の能力や学習の進捗度合いに応じて学校でも家でも好きな時にコンピュータを利用できる、柔軟な学習スタイルを実現するためです。
「多くの学校の情報教育担当者は、コンピュータは複雑なものという考えにとらわれがちです。しかしコンピュータは道具に過ぎず、それ自体を学習対象にすべきものではありません。コンピュータはシンプルでありながら、たくさんのことができる道具であることが理想です。我々が「関連学習モデル」を進めるにあたって、鉛筆のようにシンプルで、ウイルスに侵される心配のない、本当の道具のように使えるコンピュータは、Macしかないと考えました。」(ニュウエル氏)
iBookが教科書代わり
東京インターナショナルスクールには、教科書がありません。Macが、いわば教科書代わりに同校の「探求型学習」という学習法を支えています。
生徒たちは各クラスで、年間6つのテーマに取り組みます。たとえば、幼稚園児は「人間の五感(みる、きく…など)」、1年生は「植物の生育」、5年生は「世界の宗教」、6年生は「人権と悪」など、年次によってテーマの深さも異なります。生徒たちはまず、こうしたテーマに基づき自分たちが何を学びたいかを話し合い、たくさんの問い「なぜ〜なのか(WHY〜)」を書き出して教室の壁一面に貼ります。次に、子供たちは、様々な手段でこれらの問いの答えを探し、多くの情報を関連付けながら、主体的に学びを深めていきます。
ここで、Macが不可欠な道具として活躍します。生徒たちは、情報収集の段階で、膨大な情報源であるインターネットの中に、問いの答えを探しに行きます。調べた結果は、iLife などのアプリケーションを駆使して人に説明できる形に整理します。そして最後に、Macをプロジェクタにつなげ、クラスの仲間の前でプレゼンテーションを行って互いに情報を共有するのです。
「学校では、コンピュータではなく友達と顔をあわせ、ぶつかったり話し合ったりすることこそが大切です。しかし、探求型学習においては、人と人とのコミュニケーションを前提として、コンピュータを情報収集・情報共有の道具として効果的に利用します。子供たちは、21世紀におけるコンピュータの最も効果的な使い方を学んでいると言えるでしょう。」(ニュウエル氏)
柔軟な教育を支える Mac OS X Server
見えにくい場所でも、アップルのソリューションがシンプルで安定した教育環境を支えています。東京インターナショナルスクールでは、すべての教員・生徒に対して Mac OS X Serverの Open Directory 機能で個別のID・パスワードを与え、ネットワーク上のホームディレクトリを利用できるようにしています。また、1人1台のiBookを与えられている高学年の生徒と教員に対しては、Mac OS X Server v.10.4の新機能「ポータブルホームディレクトリ」をいちはやく取り入れサービスとして提供しています。
初回、iBookを学内のネットワークに繋いでログインする際に「ポータブルホームディレクトリを使う」というオプションを選ぶと、iBookのローカルディスク上にネットワークホームディレクトリのコピーが作成されます。以降、学校でも自宅でも、作業内容は基本的にiBookのローカルディスクに反映され、学校でのログイン時とログアウト時、そして手動でシンクさせたい時に、その情報がネットワーク上のホームディレクトリにコピーされるように設定されています。これにより、学校内の別のiMac端末からログインする場合も、同じID・パスワードで自分のホームディレクトリにアクセスし、同じ環境のもとで作業できるようになりました。
また、システム的にも「ポータブルホームディレクトリ」の採用により、ネットワークのバンド幅消費量が圧倒的に少なくて済むようになりました。
「今年、当校のコンピュータ教育環境は大幅に充実しましたが、Macベースのシステムは専任のエンジニアをおく必要がないほど運用管理の負荷が軽いですね。ウイルスに煩わされることもありませんし、メンテナンスも月に数時間程度で済んでいます。」(ニュウエル氏)
教員もMac活用に積極的
同校は、教員全体のコンピュータスキルの向上や、オンライン教材の活用・改善を課題とする IT Lead Teacher Team を、一部の教員で編成しています。現在、幼稚園から中学校までの全てのクラスは、クラス毎にWebサイトの制作も行っていますが、これには同校のサーバではなく、数多くのテンプレートが利用でき、構築・運用の手間もかからないAppleの「.Mac」サービスを利用しています。校内報の電子データの作成なども、教員自身が日々、Macを利用して作成しています。
私はここに来てまだ3週間で、それまでMacを使ったことはなかったのですが、設定がシンプルですぐに慣れました。広報ポスターの制作にPagesを使っていますが、テンプレートが豊かなので気に入っています。
教諭 Andy McGovern氏
Macの高い安定性を評価しています。また、私たち教員にとって技術サポートは非常に重要ですが、アップルはハードウェア・OS・ソフトウェアのサポートを統合的に提供してくれます。 教員の知識向上のためのプロフェッショナル・ディベロップメント・デイの実施にも一部、協力をしてもらいましたし、子供たちに Mac OS X と iLife の基本的な使い方を教えるオリエンテーションにも銀座のアップル直営店のステージを借りることができたので、子供たちも大喜びでした。
IT Lead Teacher Team 教諭 Lance Kelly氏
東京インターナショナルスクールは、コンピュータの使い方を教えるのではなく、生徒たちがコンピュータをどのように活用したら、効果的に問題の解決策を見つけられるのか、そして自分の考えを人と共有できるのかを、学習を通じて身につけさせているのです。 Macの持つ優れた特性を最大限に生かして生徒達の自主性を引き出し、変化し続ける社会への適応能力を高めている同校は、まさに21世紀の情報教育モデルを実践していると言えるのではないでしょうか。



