東京大学 情報基盤センター
3万人が利用する情報教育システム
iMacとMac OS Xで構築した大規模NetBoot環境



東京大学 情報基盤センター 情報メディア教育研究部門 助手・安東孝二氏

東京大学では、この4月から新しい情報教育システムの本格運用を開始しました。新システムの構築では、利用者に最高レベルの情報教育環境を提供すると同時に、運用管理の負荷とコストを削減するという目標が掲げられました。そして情報端末として選ばれたのは、Mac OS Xを搭載したiMacでした。一見、意外にも思える選択の背景には何があったのでしょう。

新ECCS用端末に求められた3つの要件

東京大学の情報教育システムECCS(Educational Campuswide Computing System)は、本郷、駒場、柏の各キャンパス内の校舎、施設、研究所を結び、学生、研究者、教職員が利用する教育・研究用のコンピュータ&ネットワークシステムです。現在稼働中のECCS2004ではアカウント登録者約3万人に対し、実質上24時間365日サービスを提供しています。

「東京大学では、ほぼ5年おきにECCSを新しいものに更新しています。ECCS2004では、学生や教職員が、授業や研究の際に快適かつ安全に利用できることに重点を置くと同時に、運用管理の効率化を目指しました」(東京大学 情報基盤センター 情報メディア教育研究部門助手・安東孝二氏)。新システムの構築に際しては「仕様策定委員会」が学内のさまざまな要望を集約し、仕様書を策定しました。2003年秋に入札が行なわれ、その結果、落札したのはMac OS Xベースのシステムを提案したNECリースでした。当時、NECリースがMacプラットフォームを提案したことに、世間は驚きを隠せませんでした。しかし、これには明確な理由があったのです。

第一の理由は、システムインテグレーションが容易であることでした。Mac OS XはUNIXベースのOSであり、かつWindowsとの親和性も高く、ファイル共有など外部リソースとのやり取りのために特殊なミドルウェアを必要としません。ECCS2004では、iMacの認証システムに、日本電気社製サーバのLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)機能を、また、情報端末を使用する利用者の共有ストレージとして日本電気社製のファイルサーバを使用しています。このような組み合わせが可能となったのは、Mac OS Xの親和性の高さがあればこそでした。

第二の理由は、運用管理がしやすいという点にあります。ECCS2004の標準情報端末に採用されたiMacは、ネットワーク上のブートサーバ(Xserve)からハードディスクイメージをダウンロードして起動します。大学では教育機関という性質上、誰がいつ、どのコンピュータを利用しても、常に同じ環境で作業できることが強く求められます。ハードディスクレスの情報端末を採用すれば、利用者が特定のマシンにデータを保存したり、アプリケーションをインストールすることはできませんし、システムが利用者に書き換えられてコンピュータが起動しなくなるという心配がありません。また、OSやアプリケーションがアップデートされた場合も、一台一台をメンテナンスする必要がなく、管理コストを大幅に削減することができます。


合計1,149台ものiMacは、本郷、駒場の各校舎にある演習室や自習室に分散して配置。大きな演習室では、200台近くのiMacが並んでいる。
第三の理由としては、多様なアプリケーションが利用可能であることが挙げられます。iMacでは、Microsoft社のオフィスアプリケーションをはじめ、Mac OS向けの多数の商用アプリケーションが動作し、動画の配信や多言語環境にも対応しています。iMacに搭載されているMac OS Xは、UNIXをベースとしているため、オープンソースのフリーウェア、Javaをはじめ各種プログラミング言語も利用可能です。東京大学のECCS利用者の中には、大学に入学して初めて本格的な情報教育を受ける新入生もいれば、高度なスキルを持ち、研究や講義のために自らプログラムを作成する上級者もいます。さまざまなレベルの利用者が、それぞれのニーズに応じて必要なアプリケーションを利用できることは、情報教育システムにとって非常に大きな意味があります。

東京大学がECCS2004の標準端末に求めるさまざまな要件を満たしたのは、Mac OS Xを搭載したiMacでした。日本電気とアップルという組み合わせが、東京大学で採用されたという事実は、今日では、ビジネスソリューションが新時代を迎えた象徴的な出来事として認知されています。

次ページ:世界最大規模のNetBoot環境を支えるXserve

Solutions/Education

3万人が利用する情報教育システム
1. 新ECCS用端末に求められた3つの要件
2. 世界最大規模のNetBoot環境を支えるXserve
3. マルチプラットフォームのインテグレーション
4. 利用環境の改善や提案に学生たちが率先して参加
5. 導入の効果と今後への期待



プロフィール
東京大学 情報基盤センター

情報基盤センター(Information Technology Center)は、東京大学における研究と教育の情報化を支えるとともに、大学の情報基盤の発展に関する研究を行なう組織。1999年4月1日に大型計算機センター、教育用計算機センター及び附属図書館の一部を改組して発足した。学内共同利用の情報メディア教育部門、図書館電子化部門、キャンパスネットワーキング部門と全国共同利用のスーパーコンピューティング部門の4つの研究部門と、各研究部門と一体となってサービスを行なう情報業務部(4支援部門)および事務部から構成されている。



LDAP
Lightweight Directory Access Protocolの略称。オンラインディレクトリサービスにアクセスするための標準規格で、ユーザはインターネットやネットワーク上の人々および組織、リソースに関する情報を検索することができる。



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