90年代を通してJ-POPシーンを牽引し、近年では遠く中南米からヨーロッパまで、ワールドワイドな活動を展開する宮沢和史さん。代表曲「SHIMA-UTA(島唄)」が世界初の「iTunes Music Store世界20カ国同時配信」に決定し、2005年9月6日(火)には、Apple Store, Ginzaにて記者会見と弾き語りによるスペシャルライブが行われました。2005年10月からは中南米5カ国を巡るツアーに旅立つ宮沢さんの、一夜かぎりのアコースティックライブの模様をレポートします。

日本人初となる世界20カ国同時配信

2005年初頭にはヨーロッパ・ツアーを成功させ、10月からはブラジルを皮切りに5カ国を巡る中南米ツアーを控える宮沢和史さん。彼の国内における貴重なアコースティック・ライブを一目見ようと、Apple Store, Ginzaには朝から熱心なファンが駆けつけました。

この日はライブに先立って記者会見が行われ、宮沢さんの代表曲「SHIMA-UTA (島唄)」が、世界20カ国のiTunes Music Storeで同時配信されることが発表されました。これは日本人ミュージシャンはもちろん、世界でも初の試み。しかも限定配信される「SHIMA-UTA (島唄)」は、宮沢さんのソロ・プロジェクト“MIYAZAWA-SICK BAND”によって新たにレコーディングされたもの。iTunes Music Storeでは国内版、海外版それぞれ全5曲がパッケージングされた「SHIMA-UTA-EP」として販売されています。


「違っている者同士が同じ土俵で楽しめる」

開演時間が迫り、Apple Store, Ginza 3Fシアタールームの客席は詰めかけたファンで通路までぎっしり。間もなく宮沢さんが登場すると、場内は大歓声に包まれました。この日の曲順は「出たとこ勝負というか、みんなの表情を見ながら決めようと思ってます」と宮沢さん。そんな言葉を裏づけるかのように、1曲目の「僕にできるすべて」に続いたのは初期の名曲「TAKE IT EASY」。宮沢さんの活動をずっと追い続けているファンにとって、これほど嬉しいプレゼントはなかったに違いありません。

世界中を旅して歌い続ける自らの人生を、宮沢さんは「行き先のわからない乗合バスに乗るようなもの」と表現します。乗合バスの数あるエポックメイキングな出会いの中で最初の大きな出会いとなったのが「沖縄」です。ここからは「沖縄に降る雪」、沖縄出身の盲目のテノール歌手、新垣 勉さんの歌う「さとうきび畑」に衝撃を受け、そのアンサーソングとして作られた「白百合の花が咲く頃」、そして「SHIMA-UTA (島唄)」と、沖縄をテーマにした楽曲が披露されます。その祈りにも似た圧倒的な歌唱に、涙を流して聴き入る観客の姿も見受けられました。

親密な友人に語りかけるような、ファンとの信頼関係が伺えるMC。今回の世界配信のニュースも宮沢さんの口から報告されました。

「ぼくの音楽が世界配信されることになりました。それは音楽家からしてみればとても光栄なことです。でも、もしグローバリゼーションによって、マイノリティの音楽や人々の営みがひとつの波に飲まれてしまうのだとしたら寂しいなという気持ちも一方にあるんです。それに対してぼくは“ローカリズム/ローカリゼーション”というスタンスを採りたいと思っています。例えばアジアのカザフスタンでいい音楽を作ってる人がいたとする。そういう人たちを発掘して、1枚のCDにして流通させなくても、iTunes Music Storeならずっと手軽に音楽を届けることができる。グローバリズムとローカリズム。違ってる者同士が同じ土俵で楽しめるっていう、そういう時代が来ればいいなと思っています」。


「iPodはもうひとつの心みたいな感じですね」

2005年9月7日(水)にiTunes Music Storeで配信開始された「SHIMA-UTA-EP」は、瞬く間にシングルチャート、アルバムチャートで1位を獲得しました。ご自身も愛用されているというiPodは、宮沢さんの創作活動にどのような影響を与えたのでしょう。

旅に出るときに、CDだと荷物になるからiPodを買ったんですね。それで部屋にあるCDを片っ端から入れているときに、学生の頃に好きなLPレコードをカセットテープに集めた時のような、“音楽に対するときめき”をもう一回味わうことができたんです。『あ、こんなのあったあった!』って発見とかね。音楽家である前に音楽ファンであるってことを、iPodは改めて認識させてくれた。だから、みんなにもiPodを勧めてるんですよ。昔貪るように音楽聴いてたころのときめきが甦るよって」。

音楽に対するときめき。今年に入って20年ぶりに始めたという弾き語りによるライブも、高校時代に録音したカセットテープを聴き直したことがきっかけだと言います。さらなる海外展開を前にもう一度自分の歩んできた音楽の道を辿り直す、そんな時間を高校時代のテープとiPodがもたらしたのかもしれません。

「プレイリストも、ジャンルで分けるんじゃなくて、たとえば電子楽器を使わない音楽ばかりを集めた“Natural”とか、旅するときに聴く“Trip”とかを作ってみたり。そういうジャンルに縛られない音楽の聴き方ができるようになったのもiPodのおかげですね。ぼくの価値基準、自分の音楽の心をこのハードディスクの中に入れられる。もうひとつの心みたいな感じですね」。

1時間に及ぶライブの締め括りは「遠い町で」。海外で活動する中で何度も逆境に直面し、そのたびに応援してくれるみんなの顔を思い浮かべていた、と語る宮沢さん。10月から始まる中南米ツアーを前に、日本のファンへ自分からのメッセージを伝えたいという想いもあったかもしれません。暖かい拍手が鳴り止まぬ中、一夜かぎりのスペシャルライブはこうして幕を閉じました。
(2005年9月6日 Apple Store, Ginzaにて)





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宮沢和史 中南米ツアー podcast

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