手術映像をPowerBook G4 / iBook + iMovieで編集・活用
山形大学医学部 脳神経外科では、すべての医局員が自分自身でMacによるビデオ編集を行っています。年間数百例にのぼる脳神経外科で行われる全術中映像をビデオに収め、それを主治医が各自、個人のPowerBook G4またはiBookで編集し、保存・活用しています。山形大学医学部 脳神経外科にお話を伺いました。

“年間にひとり数十本はビデオを編集しています。各自のPowerBook G4 / iBookでやるほうが効率がよいのです”

すべての手術をDV / MPEG-4でアーカイブ
「年間に少なくともひとり数十本はビデオを編集しているはずです。年に数百例あるすべての手術を記録していますから」。山形大学医学部 脳神経外科では、同医局におけるビデオ活用について話します。

脳の手術は通常、特殊な顕微鏡を用いて行われます。山形大学医学部附属病院脳神経外科では、顕鏡下手術の模様はすべてDVテープで保存されます。主治医はそのデジタル映像を自分用のMacに取り込んで、iMovieを使って必要な箇所だけをカット編集。5〜10分にまとめられたビデオはMiniDVテープに保存されると同時に、DVフォーマットおよびQuickTime MPEG-4ビデオ形式で医局内のeMacに接続された大容量ストレージに保存されます。そして、医局内のローカルネットワークを経由して、カンファレンスルームの大型ビデオモニタにオンデマンドで映し出せるシステムを主に教育目的で活用しています。また、学会でのプレゼンテーション用途には、DVフォーマットの素材を再編集して使用します。

「編集する件数が多いので、大きな編集システムを使って編集するやり方よりも、各自のPowerBook G4やiBookで編集するほうが作業が分散されて効率がよいのです。いろいろな病院に当直に行くことも多いのですが、あらかじめビデオをアップルのノートブックに取り込んでおいて、当直先で編集作業をするといったこともできるようになりました。ノートブックはとても役に立っていますね」

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“標準搭載のアプリケーションで必要十分のことができてしまう。それが、iMovieの最大の魅力だと思います”

彼らがビデオ編集ソフトウェアとしてiMovieを選んだのは、必要十分な品質を備えながらも圧倒的に身近で手軽だったからでした。「Macにあらかじめ標準搭載されているアプリケーションでこれだけのことができてしまう、というところがiMovieの最大の魅力だと思います。PCではこうはいきません」。



できるだけ多くの手術を「見る」ためのデジタル化
それにしても、ここまで積極的に医局を挙げてビデオの活用に取り組む理由はどこにあるのでしょう。同医局によれば、なによりもそれは、自分たちの勉強になるからです。そのために各人が主体的に自分の執刀した手術のビデオを編集し、記録を残しているというのです。そしてそれは、後に続く若い医師や学生にとっても貴重な学習資料になっています。
「私たちは自分でもっと手術をやりたいのです。そのためにはできるだけたくさんの手術を見なくてはいけない。紙の教科書ではわからないことがたくさんある。鋏をどのように動かしているか、吸引管がどこにあるかといったことはやはり実際のシーンを見ないとわからない。でも、現実的にすべての手術に立ち会うことはできない。だからビデオが大切なんです」。
同医局のカンファレンスルームは、学生や県内各地から医師が集まってきてビデオライブラリとして活用されています。そんな際、かつてはビデオテープの山から目的の映像を探し出さなくてはならなかった作業が、デジタル化、ネットワーク化することで飛躍的に効率化されたと同医局では語っています。

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「インターレース除去」を簡単に、が課題
同医局ではいま、iMovieにはない機能として、映像のインターレース除去機能の必要性を痛感しています。繊細な動きを再生する必要のある手術映像において、インターレースが映像の細部を不明瞭にしてしまう。その点では、アップルのプロフェッショナル向けビデオ編集ソフトウェアFinal Cut Proや、Final Cut Proとほとんど同じ機能を備えながらDVに特化したFinal Cut Expressの利用も、今後検討されていくかも知れません。Final Cut Pro、Final Cut Expressには優れたインターレース除去機能が搭載されています。

また、ネットワークを通じてより多くの人に映像を見てもらうことのできるシステムも将来の課題です。
「今後、もっと多人数の人が同時に映像を見るようになって、回線も太くなってきたら、Xserve/Xserve RAIDの導入も検討してみたいと思います。ビデオの教育効果は絶大です。それが日本の脳外科全体の底上げに繋がっていくと私は思っています」。

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ビデオオンデマンドサーバは「eMac」
ビデオオンデマンドシステムのサーバとして活躍しているのはeMacMac OS X v10.3 “Panther”と大容量ストレージの組み合わせ。その上でフリーソフトのデーモンを走らせています。クライアントには、株式会社バーテックスリンクのセットトップボックス「MediaWiz」を使用。eMac上のMPEG-4データが、カンファレンスルームのMediaWizでデコードされ、ビデオモニタに表示される仕組みです。
MediaWiz


脳の「覚醒下手術」をリアルタイム中継。術中の患者フォローにiTunesも活用
2004年1月10日(土)、山形大学医学部附属病院 脳神経外科はインドネシアの学会からの要請で、「覚醒下手術」と呼ばれる手術手技をリアルタイム中継し、その話題がマスメディアでも大きく取り上げられました。覚醒下手術とは、開頭した状態で患者の意識を戻し、患者さんの反応を確認しながら行う高度な最先端医療。先の中継の際には、図形、文字認識テストのためにiBook 12インチモデルを使用し、覚醒状態でしか判断できない機能部位を特定しながら、手術が進められました。また、患者さんをリラックスさせるために、iTunesで音楽を手術室内に流したそうです。ちなみに執刀医の嘉山孝正教授はベテランMacユーザ。その影響もあり医局の医師はほぼ全員がMacユーザだそうです。