WINEの導入にあたって
2001年に導入を決め、年末よりWINEを導入し、ワードパネルのカスタマイズから開始したものの、マニュアルが十分整備されていなかったため大変苦労されたようです。「最初は薬剤の呼び出し方もわからなくて」と草刈医師。2002年5月頃には何とか運用に耐えられる程度にカスタマイズができあがったところ、WINE STYLEとして新しいバージョンで製品化されため、カスタマイズのやり直しを余儀なくされました。幸い、高橋医師からWINEユーザのための移植ツールを提供いただいたのでスムーズな移行ができました。同年10月から運用を開始し、当初はPower Mac G4とiMacで処理をしていたのですが、時折カルテの処理中にシステムが中断するトラブルが起きたようです。情報量が多くなると起きる傾向があったとのことで、2004年3月にPower Mac G5を導入し、診療に使用するクライアント本体とサーバマシンを完全に分けたところ、トラブルはまったく起きなくなりました。

実はWINEの導入まで草刈医師はWindowsユーザで、「MacはMac OS Xからのユーザです。Windowsから乗り換えてもまったく違和感を感じなかったばかりか、Macに慣れてしまうとこの快適さは手放せないですね。今では研究/学会発表なども、家でもMacしか使いません。医学部に在籍する娘がいるのですが、卒業後は研究活動にMacが必要になるからと、今から使いこなすように勧めているんですよ」。

WINE STYLEを使った診療で医療情報の質をあげる
草刈医師は「カルテには誰でも理解できる形で情報を記載していなければならない」という視点から、患者の主訴に始まり細部にわたる情報を克明に記述するように心がけておられます。それでも「紙カルテの時代に比べて手間が増えたとか、患者と向き合う時間が減ったということはありませんね。むしろその逆で、自分の診療に必要な情報がワードパネルに網羅されているので、この通りどんどん記述していくことができるんですよ。しかも情報量は紙カルテに比べて10倍くらいはありますね」と、慣れた手つきで診療の手順を見せていただきました。確かに一人一人の患者さんについて、かなり詳細な情報まで記載されているようで、小児科外来で頻繁に求められる疾病、治療に対する母親への説明も、WINE STYLEのドキュメントをそのままプリントアウトし持たせてあげると大変安心されるとのお話でした。

「医療は医師のカルテからすべてが始まると言っていいでしょう。ですから正確かつ具体的で、誰にも分かり易いカルテを作成することは、医療情報の質をあげるということになり、本来の患者本位の医療に直結することです」と、草刈医師。例えば地域の特定機能病院に患者を紹介する場合、他の医師にも看護師にも読みやすい医療情報は極めて分かり易い、と相手方の病院からも評価されています。検査した患者や喘息の患者については、その日の分も含めた5回分の診療内容を保護者に渡しておきます。保護者が病気の経過や検査結果、処方内容の情報を持っていることは、いざ救急受診ということになったとき大変役に立ちます」と草刈医師は希望する方には積極的に医療情報を開示されています。「患者の既往や兄弟のカルテをすぐに参照したり、分かり易い医療文書を即座に作成したり、また患者に有用な医療情報開示をできるのも情報が電子化されているから成せること。緊急時に家族が既往歴や処方などを持っていることは、いざという事態でも貴重な情報になります」(草刈医師)




くさかり小児科では、市内・防衛医科大学校の5年生の研修を行なっています。患者を目の前にしながらみるみるうちに医療情報が蓄積して行く様に学生もびっくり。教育的な症例のカルテ情報とデジカメ画像を提示しながらのトレーニングには相当刺激を受けているようです。「湿疹などの症状の記録にはデジカメを活用していますが、取り込みから電子カルテへの貼付けまで、Mac OS Xはドラッグ&ドロップで簡単に行えるのも大変便利ですね。デジカメの写真は撮影した日付の情報も含まれているので、後で時系列に従って経過を追うこともできます。文字だけでなく写真を見ると、患者さんの過去の診察がはっきり思い浮かぶんですよ。X線写真も有効だと思います」と草刈医師は話します。医用画像をWINE STYLEにインポートすれば、ますます医療情報は便利になるようです。

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草刈 章医師
1. 電子カルテの導入をめざして
2. WINEの導入にあたって
3. 使える電子カルテに育てるために
宮崎幸重医師
1. 導入から現在のワークフロー確立までの変遷 前編
2. 導入から現在のワークフロー確立までの変遷 後編
3. 事務職の効率化