すぐに分かるMacBook Pro導入のメリット

FileMaker Proによる小児科の電子カルテシステム

都立広尾病院のシステムで使っているのは、ファイルメーカーProのバージョン6。そのほか個人的にFileMaker Pro 8を使い、さらに最近では、Universalアプリケーション化されたバージョン8.5も利用されているという山本先生。3年ほど前から診察業務と別に日本外来小児学会のプロジェクトに関わり、FileMaker Proによる小児科の電子カルテシステムの開発も行われています。

その開発経緯について、「実は小児科というのは一種特殊な診療科」だと山本先生。実際、内科にも外科にも当てはまらない部分が多いため、汎用的に作られた電子カルテシステムは小児科には不向きで使いにくいという意見が、学会に所属する小児科医の間から上がっていたと言います。こうした声を受けて、学会では小児科専用の電子カルテの開発を始めたそうです。現在は月に2回のペースで実行委員が議論を交わし、開発を進めている最中ですが、FileMaker Proを採用した背景に、プロジェクトのメンバーにはWindowsユーザもMacユーザもいることから、開発は基本的にどちらでも使えるもの、といった条件がありました。

Universal化されたFileMaker Pro 8.5の快適なパフォーマンス

山本先生はこの小児科向け電子カルテの開発をPowerPC搭載とIntel搭載の両方のMacで試されていますが、その結果、Universal版FileMaker Pro 8.5はIntel搭載Mac上での動きが明らかに違い、Intelプロセッサ対応で驚くほどパフォーマンスが向上していることに注目しています。「これまではFileMaker Pro 8で繰り返し処理の多いスクリプトを組んだシステムをRosettaで動かした場合、結構つらいものがありましたが、FileMaker Pro 8.5では、やっぱりこれでなきゃ、という感じでカッカッカッと小気味よく動いてくれます」。もちろん、大きなシステムではなく簡単なデータベースであっても、画像などをどんどん取り込んでデータをまとめている先生方にとっても、FileMaker Pro 8.5ぐらいのパフォーマンスがあると非常に快適なのでは、と述べられています。「つまり、それくらいFileMaker Pro 8.5がIntel搭載Macに最適化されている証拠でしょう」。

そのほかFileMaker Pro 8.5とIntel搭載Macの相性の良さを示す根拠として、相当量の情報処理をいとも簡単に行っていることが挙げられるとのこと。具体的に山本先生が実感されたのは、薬剤の併用禁忌情報における検索処理の速さです。

「ANNYYS」(FileMaker Pro 8.5)で、併用禁忌薬をチェックしたときの速度の比較

FileMaker Pro 8.5で併用禁忌薬をチェックしたときの速度比較

「薬剤の併用禁忌情報は随時更新されているので、それをきちんと頭の中に入れて診察を行わないといけませんが、あまり使用頻度の高くない薬剤の場合、見落している可能性が出てきます。そうした情報を網羅するためにこそ、コンピュータのサポートが必要です」

小児科向け電子カルテプロジェクトでは、併用禁忌情報をそのまま利用し、電子カルテ上で併用禁忌を提示するプログラムを作成。処方しようとしている薬剤名を入力すると、秒単位のスピードで過去にさかのぼり、これまで処方した薬剤と併用しても問題ないかを、クロスチェックすることが可能になったそうです。「2万件から3万件程度のリストをすべてクロスマッチさせるので、相当な処理量になると思われますが、Intel搭載Mac上ではそれもまったく問題なく、あっという間に処方の是非が分かります。実はこれはとても大事なことで、従来は処方を書く段階でまとめてチェックをかけていましたが、それでは最後に結果が分かるため、エラーが出た場合、もう一度、一から薬剤を考えなおさなければなりません。それがこのプログラムならその場で結果が分かるので、薬選びが容易になりましたし、後回しにしない分、ドクターの勉強にもなると思います」

学会の小児科用電子カルテは、完成後、学会員に配布する予定。目下、対象機種をどこまで古い機種にするかが問題になっていると言います。「全員の先生がIntel搭載Macになっていれば、簡単なんですけどね(笑)」(山本先生)。

デュアルコア搭載のノートブックであるメリット

このように病院内のITシステム、学会の電子カルテなど、多数のシステムに関わっておられる山本先生。コンピュータに対する要求は人一倍高いと言えます。その先生が認めているのがノートブックでありながら、相当のことがストレスなくできるMacBook Proです
「これまでのノートパソコンでは処理しなければならない量が一杯になった場合、すぐにユーザインターフェイスのレスポンスに影響が出てしまい、ユーザが待たされてしまう状態が当たり前でした。しかし、ノートブックでデュアルコアを持つMacBookやMacBook Proは、細かいファイルにアクセスしている時、I/Oが占有されている時、あるいは裏で何か動いている時など、シングルコアに比べると、デュアルコアになったことは圧倒的に有利になっていると感じます」

“一度でいいから、コアが2つになったノートブックを使ってみてくださいと声を大にして言いたいですね”

さらに、「デュアルコアだと、全体的に余裕がありますね。そういう意味でCore Duoを搭載したMacには、ユーザにストレスを与えないだけの懐の深さがあるように思います。これまでPower Macでデュアルプロセッサのメリットは非常に強く感じていたので、ノートブックも“絶対デュアル”だろうと期待はしていましたが、実際、Core Duoになったことで、まったく予想通り、期待通りの使用感です」こう感想を述べられた山本先生。Intel Core Duoも高いパフォーマンスがありながら、消費電力的がMacBook Proのサイズに収まる仕上がりであり、しかもMac OS Xがデュアルプロセッサをきちんと使いきっている点に対し、高く評価されているようです。

「Mac OS Xがリッチなユーザインターフェイスを持っていますから、(Windowsと比較すると)ちょっとしたレスポンスの部分でひっかかることがありましたが、そうした部分がこなれたのもうれしいですね」

以上のような理由から、山本先生は作業の快適さを求めるためにも、新しい機種を一度、試してほしいと話しています。「私自身はノートブック用のプロセッサとして、PowerPC G4は非常に評価しています。(あの開発時期において)とくに消費電力とパフォーマンスのバランスは非常に優れていたと思っています。もちろん、今の環境とは比較できませんけれど。ただ、『ワープロやメールを使うだけで複雑なことはやってないから、(デュアルコアのパフォーマンスは)必要ないし、シングルで十分』と言っておられる先生方にこそ、一度でいいから、コアが2つになったノートブックを使ってみてくださいと声を大にして言いたいですね」

実際、周りを見ると、細かい動作──たとえばリターンを押してちょっと待つ、画面が切り替わるのを待つ、ファイルの保存し終わるのを待つというように──に時間を費やしている人は多いのではないでしょうか。
「そういった目で改めて見直すと、いかにコンピュータ(の処理)を待っていたかに気が付くと思います。これまで何か動作をし、その結果を待ち、その次のステップの何かをするというように、思考を細かく停止しながらコンピュータを利用していた人は、この機会にコンピュータの使い方を改善してみてはどうでしょうか。自分が想像したとおりの操作をコンピュータに待たされることなく、自分の都合で進めることができる。この快適さを知ってもらえるいいチャンスだと思います」

Intel搭載Macのススメ

Intel搭載Macの第一世代であるMacBook ProやMacBook。「ですが、第一世代にありがちの問題がほとんどなく、今のMacBook Proなどは第一世代と言ってしまうと、ちょっと誤解されるんじゃないか、というくらい完成度は十分」という山本先生。以前から計画、準備されていたトランジションであって、今、妥当なチップを選択したらCore Duoだったというような印象を持っているそうです。
「なかにはStatViewのようなClassic環境でしか動作しないものを利用されている先生もいらっしゃるでしょうが、毎日使うものではないので、そちらは専用の環境として残しておき、Intel搭載Macを追加することで全体的な効率アップを図ってはどうでしょう」

また、WindowsユーザでもIntel搭載Macに興味を持ったのであれば、一度、チャレンジしてほしいと言います。「Mac OS Xの面で言うと、2つのプラットフォームで言ったり来たりできるOSは他にはなく、Macはいろんなものが融合して動作するところが本当におもしろい」。

例として、山本先生はMac OS Xに標準のアドレスブックを薦めています。「Mac OS Xのアドレスブックは単なるアドレス帳ではなく、OSのどこからでもアクセスできるデータベースです。アドレスブックに登録したコンタクトリストからグループを作成し、そのグループをメール側から指定して、このグループの人からのメールだけを特定のフォルダに振り分ける、受け取ったらサウンドを鳴らすなどそんな使い方が可能です」

先生は当時まだ機能は未成熟だったものの、将来的にこのアドレスブックはMac OS Xを利用する上での根幹になるだろうと予測し、初期の頃からこれ利用されてきたそうです。
「それは正解でしたね。受け取ったメールのアドレスをメールの中からアドレスブックに登録、アドレスブックをメールフィルタ代わりに使う、メールアドレスをアドレスブックに追加したとたんにメールフィルタが連動する。女子高生が携帯電話なくすと友人をなくすというように、この機能を失ったら大勢の知人をなくしてしまうかもしれません(笑)。もちろんMacらしさ、つまり手になじむ、というか道具として“いいな”と感じる部分、デザインや裏側まですべすべしている、などという点は、Intelになっても変わっていません。そういう意味で、Intel搭載Macはドクターに十分お勧めできると思います」

前ページ: デュアルコア搭載ノートブックの圧倒的な優位性