デジタル化が進んだこれからの医療現場では、手術・検査機器とコンピュータを直接連携して動画を読み込み、整理し、活用することが有効です。これを実現するためには、次の2点が重要なポイントとなります。

この2点に焦点を当てて、Macをベースとしたソリューションをご紹介していきましょう。

手術・検査機器の映像を「リアルタイムキャプチャ」

手術・検査ビデオをデジタル化して活用するには、撮影→コンピュータへの読み込み→保存→整理→活用の段階が必要です(実際には、必要な箇所だけを保存しておくことなどを目的とした編集作業が必要になる場合もありますが、本稿では割愛します)。このページでは、撮影から保存、つまり一般に「キャプチャ」と呼ばれる過程について考えていきます。

ビデオカメラや検査機器の映像をいったんビデオテープやDVDディスクといったメディアに記録し、それを後でコンピュータに読み込むという方法も、もちろんあります。これに対して、手術や検査と同時進行で映像機器がとらえた映像を直接コンピュータに保存していくことを、リアルタイムキャプチャまたはライブキャプチャと呼びます。リアルタイムキャプチャには、メディア経由でのキャプチャにはない多くの利点があります。まずは、映像をキャプチャする過程において必要な機器やメディア、およびその利点と問題点を整理します。

撮影した映像をどこに保存するか

ビデオカメラや検査機器で撮影した映像をどこに保存するか、ということから考えてみましょう。代表的なものとして、以下の3つが考えられます。

保存先 長所 短所
DVテープ デジタル録画のため高画質。 録画時間がテープの長さに規定されてしまい、短い。
あとでコンピュータに読み込む時間が必要。
民生のDVDレコーダー、HDレコーダー DVテープよりは長時間録画できる。 MPEG-2圧縮の録画のため、画質が低下している。
ビデオ編集を行うにはファイル変換が必要で、映像編集が面倒。
Macのハードディスク QuickTimeムービーとして保存されるため、あとで読み込む時間がかからない。
編集しやすい。
画角・圧縮方式を自由に設定できるため、画質/長時間の録画をコントロールできる。
難しそうだし、何が必要なのか、よくわからない。

上の表にもあるとおり、DVテープに保存した場合は、後でコンピュータに読み込む作業が発生します。5時間の手術をすべて読み込もうと思ったら、5時間かかってしまうのです。DVDレコーダーを使ってDVDディスクに保存したり、HDDレコーダーを使ってハードディスクに保存したりすれば、コンピュータで再生することはできますが、画質の問題があります。また、どのDVDディスクに何のデータが入っているのかを整理するのが大変、見たい映像を後から探しきれない、といった経験をお持ちの方もいるでしょう。

そこで、Macに直接保存すること、つまりリアルタイムキャプチャという選択肢が浮かび上がってきます。

ビデオソースとして何を用いるか

では、リアルタイムキャプチャをする際に、コンピュータ側から見て、映像のソースとして利用できるものは何でしょうか。 たとえばDVカメラなど、DV端子を持つ映像機器をFireWireで直接Macに接続し、ソースとして用いることができます。この場合、DV端子から送り出される映像および音声はデジタルデータです。つまり、デジタルで送り出されたものをMacもデジタルデータとして受け取るので、品質の劣化がありません。

もうひとつ、映像機器からS-Video端子で信号を出力し、それをキャプチャボックスを介してMacに読み込む方法があります。キャプチャボックスはADコンバータとも呼ばれる機器で、S-Video端子から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換してコンピュータへ送り込むものです。つまり、アナログ信号を使用するためDVに比べると若干の品質の劣化が生じます。しかしS-Video端子を備える医療関連機器は多いため、すぐ手軽にリアルタイムキャプチャを実現するソリューションと言えます。

上述の「撮影した映像をどこに保存するか」と「ビデオソースとして何を用いるか」の2点を踏まえて考えると、「DVで撮影し、それをMacにつないで直接読み込み、保存」というリアルタイムキャプチャが有力なソリューションと言えます。理由は、以下のとおりです。

このソリューションであれば、将来的にはHDビデオの活用にもそのまま移行できます。QuickTimeはすでにHD方式に対応しており、今後の医療機器の対応を待つばかりです。

QuickTimeとH.264が、リアルタイムキャプチャのキーワード

コンピュータで映像を扱う際には、目的や使用機器に合わせた「エンコーディング」が大きな意味を持ちます。たとえば、映像の圧縮率を上げればデータ容量が少なくなるメリットがありますが、一方で品質は低下します。映像のサイズについても同様です。320×240ピクセルよりも640×480ピクセルの方が大きくて見やすいことは確かですが、それだけデータ容量が大きくなって、保存にも編集にも再生にもデータ処理の負担がかかります。やみくもに高画質、大サイズにすればよいというものでもなく、活用目的に応じて必要十分な品質とサイズを確保することが重要です。

QuickTimeは、映像や音声を扱うアップルのキーテクノロジーです。QuickTimeがさまざまなエンコーディング方式をサポートしているからこそ、多くの周辺機器と連携して映像を扱えるのです。ことに、最新版のQuickTime 7でサポートしている「H.264」という圧縮方式は重要です。これは、高圧縮率と高画質を両立した、最新のエンコーディング方式です。DVDディスクで利用されているMPEG-2以上の高画質で、ファイルサイズをさらに小さくできます。これもリアルタイムキャプチャをお勧めする理由のひとつです。

リアルタイムキャプチャを実現する構成

以上を踏まえ、リアルタイムキャプチャを実現する、もっともシンプルな一例をご紹介しましょう。

QuickTime 7がインストールされており、QuickTime ProにアップグレードされているMacを用意します。

このMacのFireWireポートに、DV端子を持つ映像機器を接続し、撮影できる状態にします。この場合注意が必要なこととして、DVDレコーダーやD-VHSレコーダーなどのDV端子は、メディアへの記録とDV信号の出力は制限されています。DVカメラなどから直接MacのFireWireポートに接続することが必要です。

顕微鏡TV出力装置のインターフェイス写真

Mac側ではQuickTime Playerを起動します。環境設定を開いて、品質(エンコーディング)を選びます。また録画するファイルの保存先も選びます。

ファイルメニューの「新規ムービー録画」を選びます。ウインドウが開いたら録画ボタンをクリックして録画開始。必要な撮影が終わったら停止ボタンをクリック。これで撮影したものがファイルとして保存されます。

このように、まずはきわめてシンプルな構成からでも、リアルタイムキャプチャを始めることができます。 また、QuickTime Broadcasterを使えば、エンコード形式やサイズを細かく設定した上で録画することが可能です。 どのエンコード形式で、どの程度のサイズならコマ落ちすることなくキャプチャできるかについては、コンピュータ側の処理性能によります。Intel Core Duo搭載のMacBook ProやiMacが登場し、処理性能が飛躍的に進化しました。QuickTime Pro、QuickTime BroadcasterといったアップルのソフトウェアはすでにUniversal Binary形式に対応しており、例えば640×480ピクセルの解像度をもつ映像をH.264でリアルタイム圧縮を行いながら、キャプチャすることも可能です。

リアルタイムキャプチャにより、大量の映像データを日々蓄積していくことができます。そこで、蓄積されるデータを有効に活用するにはどうすればよいか、そのソリューションを次ページでご紹介します。

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