2004年12月のRSNAでCum Laudeを受賞し、今Mac OS X用のDICOMビューアとして注目されている「OsiriX」。このOsiriXは、非常にたくさんの優れた機能を持ちながら、フリーウェアとして自由に利用できるのが大きな特徴です。このOsiriXが、日本の医療の現場においてどのように受け止められているのか、そしてどれほどのポテンシャルを秘めたものであるのか。東海大学医学部・基盤診療学系 画像診断学の高原太郎先生と、聖マリアンナ医科大学放射線医学教室の松岡伸先生に伺いました。

専用ワークステーションに匹敵するほどのポテンシャル

北米放射線学会(RSNA)で賞を受賞したと報道されたOsiriX。この賞はどのような位置づけなのでしょうか。お二人に伺ってみました。

高原: RSNAは、6万人もの人々が訪れる大きな学会です。北米と冠していますが、現在では参加者の半分が北米外からの参加者で、北米の枠を超えたグローバルな学会になっています。そのRSNAでは、優れた研究やソフトウェア開発に対して賞を送っています。OsiriXは、今回のRSNAで「Cum Laude」賞を受賞しました。これは、最優秀賞のひとつ手前といったところですが、ソフトウェアとしては最高の評価を受けたと言って良いと思います。

高原先生と松岡先生は、OsiriXがフリーウェアでありながら非常に充実した機能を持っていることを高く評価しています。

高原: OsiriXがここまで高い評価を得ているのは、フリーウェアでありながら、機能がとても優れているからです。DICOMビューアとしての基本的な機能はほとんどすべて備わっていますし、それどころかワークステーションに匹敵する部分もある。しかもオープンソースでバージョンアップも早いんです。それほどのものがフリーで提供されています。これがもしワークステーションの付属ソフトウェアとして提供されたなら、100万円してもおかしくないでしょう。MacからWindowsに移行したある先生が、OsiriXを使いたいがために、ふたたびMacに戻ってきたくらいなんです。

松岡: やはり、機能が充実しているにも関わらずフリーだということが大きいですね。私は普段、2Dや3Dの再構成は放射線技師の方に頼んでしまいます。技師の方は「ZAIO」を使って画像を作成するんです。でも、ちょっとしたことならOsiriXでも可能です。さすがに、OsiriXの3D機能がZAIOを上回るというところまでは行きませんが、OsiriXはフリーウェアにも関わらず実用的なレベルになっています。

高原: OsiriXのMPR機能は良いですよね。連続した横スライスのCT画像を縦にスライスして連続再生させることができます。この表示が、とてもスムーズで高速なんです。企業が有償で提供しているDICOMビューアと同等のパフォーマンスを実現しています。しかも、スライス厚を考慮しながら位置の同期ができます。2つの画像を比べながら診断する際は、位置の同期が重要なのですが、スライス厚の異なる2つの画像を同期させながら連続再生できるのは、臨床上たいへん便利です。そのほか、相対位置で同期することもできます。これはどういうことかというと、たとえばお腹の画像を2回撮った場合、1回目と2回目では横隔膜の高さが違います。その2つをマッチングさせることが、フリーウェアのOsiriXでもきちんとできます。こんなことが、自分の持っているコンピュータでできてしまうのは驚きですね。

このように高い機能を持っているOsiriXは、医師のルーティンワークには役立つものでしょうか。

高原: OsiriXは、ルーティンのクリニカル業務に十分使えます。OsiriXでもう1つ良いと思ったのが、サムネールの機能です。たとえば1人の患者さんに対して4回のスキャンをした場合、サムネールが代表画像ではなく、マルチスライスの連続動画として表示されるんです。この機能は他のDICOMビューアにはありません。


次ページ:2. 遠隔医療やオンラインカンファレンスへの可能性





モダリティ画像の専門家が語る「OsiriX」の可能性
1. ワークステーションに匹敵するほどのポテンシャル
2. 遠隔医療やオンラインカンファレンスへの可能性






arrow 使いやすいユーザーインターフェイスで最新のMac環境をフルに活用できるOsiriX






OsiriX

Mac OS X専用に開発された、DICOM画像の表示・解析を行うイメージプロセッシングソフトウェア。UCLAの放射線科の医師が中心となって、各種オープンソースに基づきながら開発されており、フリーウェアとして配布されています。MRI、CT、PET、PET-CTなどの医用検査機器画像をはじめ、DICOM転送プロトコルをサポートしており、PACSなどのモダリティ機器から画像を取得することも可能です。Mac OS Xに最適化されているため、3D表示、iChat AVを使ったビデオカンファレンス、iPodの活用など、Mac OS X環境に適合した多彩な機能を装備しています。