サンタモニカUCLA医療センター

最先端の画像診断

Joseph Lo

PowerMac and Cinema Displays

OsiriXの画像を2台の30インチApple Cinema Displayに表示

明るい緑のカーソルが画面を舞うように動き、患者の脳を立体的に描いていく。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の放射線科学助教授で、サンタモニカUCLA医療センター(Santa Monica UCLA Medical Center)の放射線科臨床部長を務めるEdward Zaragoza先生は、CTアンギオで描出された画像の病変部分をマウスで指し示します。このデモは先生の隣で見ている医局の医師にも、鮮烈な印象を与えたでしょう。しかし実際には、Zaragoza先生は医局のMacの前でiChat AVと医用画像処理アプリケーションのOsiriXを操作し、数千マイルも離れた場所にあるiMacにライブでデモを行いました。

人体を観察する上で革命を起こした画像診断は爆発的に普及していることから、医師はより早期に正確にすばやく疾患を診断できます。現代の放射線科医は、シャーカステンに掛ける平面的なX線フィルムではなく、CT、MRI、PETなどの画像をコンピュータディスプレイ上の3次元のデジタル画像で観て診断を行っています。立体画像のおかげで、異形、腫瘍の隆起部、解剖学的構造の正確な位置関係など、平面画像では判読不可能な重要な情報が得られます。

“OsiriXが他と違うのは、従来の放射線科中心の環境を越えて、最先端の画像操作を他科の医師にも解放したことです。”

近年では、さらに高度な4D、5D画像処理が登場しています。4D、5D画像には、3Dデータに時間の次元(鼓動している状態の心臓の画像を取り込む超高速CTスキャンなど)や機能データ(患者の形態情報画像と機能情報画像を重ね合わせたPET/CTフュージョンなど)が加えられています。

最新テクノロジーで医用画像のニーズに対応

UCLAは医用画像管理システムであるPACS(Picture Archiving Communication System)を開発したパイオニアで、デジタル医用画像の表示、送信、保管を可能にし、放射線科医学分野のデジタル化の幕を開きました。さらに、元UCLAの放射線科医であるAntoine Rosset先生とOsman Ratib先生は、放射線科医が放射線科医のために開発した、無料で使えるオープンソースの複合多次元ビジュアライゼーションプログラム、OsiriXを開発しました。Macでのみ利用できるOsiriXには、Macならではのハードウェア、ソフトウェアの強みが活かされています。

OsiriXの開発により、UCLAでは標準的なアップルのノートブック、デスクトップコンピュータが、医用画像と通信の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠した本格的なPACSワークステーションに変身しました。OsiriXを実行しているMacは、数万、数十万ドルで市販されているPACSワークステーションと同等の機能を持ち、PACSワークステーションと同じ業界標準ネットワーキングが使われています。

UniversalアプリケーションであるOsiriXは、Intelベース、PowerPCベース両方のMacintoshシステムでネイティブに動作します。また、マルチコア、デュアルコアプロセッサの高速処理を活かすマルチスレッド処理にも対応しており、1台のMacで10〜12倍も高額な市販のPACSワークステーションと同等のパフォーマンスと機能を発揮できます。

当然のことながら、OsiriXは、放射線科医学、放射線腫瘍学、核医学、医用物理学、生物医学研究など、幅広い分野で8000人以上のユーザに利用されています。OsiriXが好評な理由をZaragoza先生は「経済性はもちろん、機能性と最小限のユーザトレーニングで使える使い勝手の良さ」だと述べています。

どこでも3次元画像処理が可能

画像診断が科学の分野で最も厳しいデジタル環境の1つである理由は何でしょうか。放射線科医は大量のデータの複雑な解析をすばやく正確に行う必要があります。たとえば、CT、MRIシステムは1回のスキャンで何百枚もの画像を生成するため、作成されるファイルは数百メガバイトになります。放射線科医は、短時間ですべてのデータを読影し、毎日、多数の患者について数百におよぶ疾患から診断しなければなりません。

この難題に対処するため、UCLAのようなトップクラスの病院は、Vital Images社のVitreaワークステーションなど、さまざまなベンダーが提供する3Dワークステーションを導入しています。しかし、Edward Zaragoza先生のような医師は、自宅や診療室など、3Dワークステーションを利用できない場所で仕事をする場合が多々あります。このような場合、Zaragoza先生は自分のPowerBookでOsiriXを使い、PACSネットワークから患者のデータを取り込み、3次元画像に再構成して個々の症例を読影しています。

Zaragoza先生は「私の自宅にはVitreaワークステーションはありませんし、専属の整形外科医もおりません。OsiriXが他と違うのは、従来の放射線科中心の環境を越えて、最先端の画像操作を他科の医師にも解放したことなのです」と述べています。

その一例として先生は次のように語っています。「昨晩は自宅待機の当直でした。担当の研修医が自宅に連絡してきて、虫垂炎の疑いが無いことを確定するために撮影したCTスキャンの読影を求めてきました。わずか数分で、自宅のPower Mac G5 Quadコンピュータにスキャン画像が転送され、リアルタイムで軸位断、矢状断、冠状断の多断面再編成を行い、読影できました。しかも、すべて自宅のコンピュータで、です」

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