
![]() 日々の研究活動から臨床まで、ドクターが処理しなければならない情報は増える一方で、それをいかに効率よくこなすかについてはそれぞれのドクター、あるいは医療の現場でさまざまな工夫がなされています。数々の医療分野向けのデータベースを開発され、その利便性で高い評価を得られている北見工業大学保健管理センター/教授の横田先生に“データベース”という観点で研究活動から臨床まで幅広く医療分野で効率をあげる活用方法についてのお話をお聞きしました。 データベース活用の原点 横田先生が医大を卒業されたころは、ちょうどパーソナルコンピュータの第1次ブームがきていたころに重なる、といいます。 「患者の症例データが100例を超えてくると手作業では非常に処理が大変で、データベースを使って学会発表用に胃がん症例をまとめたのがデータベースを利用した最初でした。そのとき簡単にソートができたり、とにかく処理がとても速かったのを覚えています。」 その後、留学されたとき大学割引でMacintosh SEを購入され、あわせて研究用ソフトとして、FileMaker plus、StatView、CriketGraph、EndNote、Excel、Wordなどのアプリケーションを使い始められたそうです。 現在横田先生のデータベース活用の中心となっているFileMakerについては「(FileMakerを)使い始めた当初はリレーション機能のないカード型データベースでしたが、わかりやすいという点では良かったと思います。」 その後、FileMaker Pro 3からはスクリプトによる自動化によりさらに効率化し、リレーション機能がサポートされてからは、非常に高機能なデータベースが作れるようになったといいます。 PubMedMakerの開発へ コンピュータ利用による効率化を身をもって体験された横田先生はその後、PubMedがインターネットで無料公開されてから、文献検索のほとんどを自宅でもできるPubMedで行うようになり、この傾向は周囲の医師も同様だったといいます。 そんな環境の中から出てきた「PubMedMaker」開発の動機をお伺いすると「文献の検索結果を全部プリントアウトして読むのがいやだったのです。それで、いくつか既存の文献管理ソフトウェアを試してみましたが、大まかに文献を取り込んでおいて、PC上で抄録を読んで必要な文献を絞り込んでいくという自分の使い方にはあまり適していませんでした。そこで、PubMedしか使わない、抄録を読みやすい、必要な文献を簡単に選択できる、論文作成のときは医学雑誌の形式にあった参考文献リストを作成できることを基本コンセプトにして、FileMakerのデータベースを作ることにしました。図書館へいって、片っ端から調べたら、論文のリファレンス形式はある程度のパターンに収束することがわかったので、論文掲載用のリファレンス書式サポートもとり入れました。名前はPubMed+FileMakerなので『PubMedMaker』としました。」 ドクターの学会発表や研究に際しては文献検索という作業は欠かせません。 そして文献検索は、Index Medicsや医学中央雑誌を目で見る検索→大学の図書館でMedlineや医中誌のCD-ROM検索→学内LANやインターネットでの検索と進化してきています。 「(PubMedMaker開発の動機としては)調べたことを手に持っておきたい、情報に対する一種の所有欲のようなものもあったかもしれません。」と横田先生。 「その後、同じコンセプトで医中誌CD-ROM用の『医中誌Maker』も作成しました。いずれのソフトも好評で、ソフトウェアダウンロードサイトのVectorの『Mac/ビジネス』カテゴリーでは長期にわたってランキング1位になっていました。」 「そして、PubMedMakerの英語版も開発し海外にも公開しました。海外および国内からWindows版はないかという問い合わせが多くなったこと、Mac OS Xへの対応も考えて、これらに対応可能なREALBasicを使ってテキスト変換部分を自作することにしました。幸い、Basicを少しかじっていたので何とか作り上げることができました。この時、PubMedのデータと医中誌Webのデータを同一のフォーマットにしてどちらも使えるように変更し、医中誌(i)の取り込める PubMedMakerという意味で名前を『iPubMedMaker』に変更しました。現在のFileMaker Pro7対応のiPubMedMaker 7 v2.5ではJDreamも同一フォーマットで取り込めるようになっています。」 ![]() ![]() インターネット時代の情報の引き出し方 「今は、論文をインターネット経由でPDFとして取って来れる時代になりました」と横田先生。 「調べたいことを調べたら、直接その該当する論文そのものまで取ってこれてしまうので、ちょっと油断してると(自分のハードディスクの中が)すぐいっぱいになっちゃう。いっぱいっていうのはどこに何の論文があるかわからなくなってしまうということです。つまり、情報はたくさん入るようになったんだけど、うまく整理しないと情報を引き出せない、引き出せないとそれは情報ではなくなってしまう。」 「もちろん、これは重要、という論文はプリントアウトで見たほうがいいことも多いのですが、その前段階のあたりをつけて調べている状態では、iPubMedMakerのようなツールを使ったほうが効率がいいのでは」とコメント。 「昔はよく論文を片っ端からコピーしたりしていましたが、たいていは調べただけで終わっていて、本当の意味で情報を引き出しきれていない場合も多かったのではないか」といいます。 iPubMedMakerのユーザからのフィードバックのメールを見ると「現在では大学院生(医学、薬学、生物学、心理学)や、すべての診療科の医師、医学・生物学関連の研究所の研究員の方がたに使っていただいているようです。」と横田先生。
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