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「小説家:京極夏彦がこだわる作品の表現世界」
2. 作家・出版社・印刷会社の役割

出版印刷業務全般の
構造改革の必要性が見えた。

この漢字はここにあるべきだ、ここで改行するべきだ、ここのページはこのフォントを使うべきだ、ルビはこうするべきだ、というのはプロであるクリエイターが決めていく必要があります。このクリエイターがディレクションしたものはやはり、作品として認めるべきだという考え方もでてくるでしょう。レイアウト作業をしたことも別工程作業を実施した、という見方もできます。
Mac OS Xの新システムを使って、新しいワークフローをスタートすることによって、出版に関わる根源的な問題、クリアにしなければいけない課題がたくさん浮かび上がってきました。
著作権、版面権、出版権の再定義と責任の明確化を結果として再検討していくことになったのです。
これらのひとつひとつを、今後の前向きな課題として考えていく必要があると考えています。

レイアウト/フォントと
書籍の内容の関わりは

講談社文庫と同じ内容の小説を他社のフォーマットで出版した場合、全然印象が違うという現実があります。
例えばコンテンツ面から見た場合、時代小説に向いた書体、版組、字面というような考えもあるのではないでしょうか。
この新システムのフルDTPでは、編集者や著者がそこまで目を届かせることができるわけです。

ヒラギノのタイプフェースについて
 −意外と合っていた−

ヒラギノタイプフェースは、今回出版を行った講談社文庫には意外と合っていました。
私は、従来の講談社文庫の文字も決して嫌いではないのですが、私の今回の作品に関していえば、ヒラギノの方が今までの写植のフォントより読みやすかったようです。

インタビュームービーを見る
インタビュー4:
日本語表現、レイアウトとInDesignについて
インタビュー5:
ヒラギノのタイプフェースについて
−意外と合っていた−
インタビュー6:
出版印刷業務全般の構造改革の必要性が見えた
インタビュー7:
Mac OS Xに取り組んでの感想
−こうしなければ先がなかった−

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これからの出版社と著者、
印刷会社の関係についてどうあるべきか

この新システムは、作家、編集者、印刷会社の各々が原点に返って本来の仕事に特化できる、ということが最大の副産物なのです。
「作家=コンテンツオーサー」、「出版社=事業企画と事業運営(ブランド・流通)としてのプロデューサー」、「印刷会社=工業生産としてのプリント」というように、新システムが本来の各業務/役割のクオリティを高め、責任を明確にすることが見えてきました。
つまりそれぞれのエキスパートが専門分野でがんばる。一丸となって、映画を作るのと同じような考え方が、この出版という世界に本来必要な姿ではないでしょうか。

出版業界の構造改革とは
グラフィックデザイン業界では、デジタル化の波による工程改革は、本当にあっという間におこなわれました。ロットリングや烏口の駆逐は一気に進みました。
文書を書くだけの人は、DTPやワークフローとしてのデジタル化と関係の無い世界におかれていました。出版業界は、DTPがもたらした構造改革から少し離れたポジションにいた、ということが言えるのではないでしょうか。
Mac OS X、OpenType、InDesignの登場は、出版業界の根幹に関わる議論をスタートさせるとても良いきっかけを与えていると思います。

Mac OS Xによる新システムに取り組んでの感想 −こうしなければ先がなかった−
今回の私の手法が、決してベストとは思っていません。他の道もあるでしょう。ただ、出版業界全体のことを考えれば、今後は改革を行わない旧弊的なシステムのままでは難しくなっていくであろうな、という見通しが自分の中で明確に立ったのが大きな成果です。
つまりこの「手法にして良かったと」いうよりも「こうしなければ先がなかった」いうことが明確になったということです。これはとても大きな収穫です。Mac OS Xの導入が大きなきっかけになったわけです。


従来の行程
従来の行程

新工程
新工程



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