©2005 ena/digmeout.net
2004年、FM802が進めるアートプロジェクト“digmeout”に見い出され、本拠地である大阪にとどまらない全国的な活躍をみせているイラストレーターのenaさん。2005年には初の個展「ena EXHIBITION」を開催、りそな銀行のキャッシュカードや札幌パルコの30周年記念グッズ、アーティストminkのCDジャケットなど幅広い仕事を手がけ、現在は海外の媒体にも活動の場を広げている。彼女がイラストレーターになったきっかけ、作品とMacとの関係、「モノトーン」や「女の子」に代表される彼女の作品の一貫したテーマについて聞いた。
絵を描き続けることができたのは「Macがあったから」
「学校の課題で説明図的なイラストを描いたことはあったんですが、特に自分から好きで絵を描くことはありませんでした」と話すイラストレーターのenaさん。専門学校でファッションビジネスを学び、卒業後は地元大阪の百貨店で働き始めた。「何か自分のしたいことを見つけたい」と思い立ち、販売員の仕事を辞めたのが4年前。Macを使って作品制作を始めたのは3年前だと言う。「絵でも描いてみるか、と思って(笑)。それぐらい気軽に始めました」。
その時使っていたのは、父親からおさがりでもらったPower Mac G4。Adobe Illustratorで絵を描くうちにそのおもしろさにのめり込み、たった1年の間に現在の作風を確立した。
「Macがなかったら、私はイラストレーターにはなっていなかったと思うんです。私の絵の制作方法は、“絵を描いている”というよりも、頭の中にある理想を、線を描いたり消したり、微妙にずらしたりしながら形作っているんですね。この”描いたり消したり”という作業を納得がいくまで何度でも続けることができるから、どこまでも追求できる楽しさを知り、のめり込んだんだと思います」。
「Macがなかったら、私はイラストレーターにはなっていなかったと思うんです」
一方、enaさんの作品は一見手描きの絵、版画のようにも見える。それは「モノトーンによるシンプルなタッチ」という彼女の作風によるものだろう。Macを使えばさまざまな色や効果を自由に使うことができるにも関わらず、彼女のスタイルは一貫している。
「最初は色を入れたりもしてみたんですが、自分なりに試行錯誤しているうちにモノトーンの魅力にどんどんはまっていきました。力強い黒と光を表す白のコントラストが潔いので、描いていて気持ちが良いんです」。また、彼女の作品の中で特徴的な「弾力を感じさせる唇」については、「明度の違うグレーを使うことで、唇の柔らかさや質感を表現しています。モノトーンという枠の中で、ひとつの絵をどう表現するかを考えることが楽しいんです」。
©2005 ena/digmeout.netFM802とりそな銀行とのコラボレーションによるキャッシュカード「RESONART(りそなーと)」 。
コミックからの影響については「自分がイラストレーターになるなんて思っていなかった」という彼女らしく、「実はまったく意識していなくて。お気に入りのマンガを全巻集めたりしたこともないんです(笑)。ただ、中学生の頃に矢沢あいさんの『天使なんかじゃない』を読んでいて、矢沢さんの描く男性の骨張った手が素敵だなぁと感じたことは覚えています。そういうところから、無意識のうちに影響を受けていることはあるかもしれないですね」。
次ページ:作品制作は「女の子をプロデュースする」感覚
本ページに掲載しているすべての商標および登録商標は、それぞれの所有者に帰属します。