©2006 映画「日本沈没」製作委員会

特撮映画を中心にスケールの大きな映画作品を手がけてきた樋口真嗣監督。日本映画としては破格の20億円という予算をかけ、大勢のスタッフとともに取り組んだ大作「日本沈没」では、監督の傍らに常にPowerBookがあった。「Macはもはや自分の手足のような存在」と語る樋口監督に、映画制作のプロセスにおけるMacの役割について、また、樋口監督個人のMacとの関わりについて伺った。

次々と浮かぶアイディアをFinal Cut Proで検証


もしも、日本列島のすべてが海中に沈んでしまうとしたら、日本という国は、日本人はいったいどうなってしまうのだろう。その「もしも」を豊かな想像力と豊富なデータに基づいて描き出した小松左京の小説「日本沈没」(1973年)は上下巻合わせて約400万部というベストセラーとなり、これを原作とした映画、テレビドラマ、劇画がすべてヒットするなど、未曾有のブームを巻き起こした。その「日本沈没」が33年の時を経て再び映画化され、まもなく公開を迎える。この新版「日本沈没」のメガホンを取ったのが、樋口真嗣監督である。

少年時代の思い出の映画「日本沈没」を、新たに甦らせた樋口 真嗣(ひぐち しんじ)監督。

特撮やアニメーションの世界で、ビジュアルクリエイターとして数々の実績を重ねてきた樋口監督にとって「日本沈没」は前作「ローレライ」に続く、2本目の実写長編監督作品にあたる。旧作の映画「日本沈没」は、樋口監督が「小学生の頃、初めて見た大人向けの日本映画」であり「最高に好きな作品」でもあると言う。そして、映画作りに対する興味を初めて抱いたのもこの映画だった。「それだけに同じものを作ったのでは、絶対に前作を超えられないと思いました。そこで、監督を引き受けるにあたって、一つ条件を出しました。それは『日本が沈没する』という基本線は変えないけれど、結末を変更するということ。危機に遭遇した人間が立ち向かい、乗り越えていく姿を描きたかった。この映画は、僕なりの新しい『日本沈没』です」(樋口監督)。

樋口版「日本沈没」では、舞台は現代に置き換えられ、登場人物たちは日本を沈没から救うため、命がけの作戦に挑んでいく。人々を救助するヘリコプターやトラック、深海調査を行う潜水艇は、自衛隊や東京消防庁、JAMSTEC(海洋研究開発機構)の実機が使われ、大地震で崩壊する建物、沈み行く日本列島などには数々の特撮や最新のCGを利用。樋口ファンなら、その映像のリアリズムと臨場感だけでも垂涎ものだが、映画「日本沈没」ではさらに、「愛する者を守るために、命を賭けて闘う」熱い人間ドラマが見どころとなっている。

映画「日本沈没」の中には、首相官邸、日本沈没を研究する機関「D1」の本部など、様々なシーンでMacが登場する。実は、樋口監督自身も筋金入りのMacヘビーユーザなのだ。樋口監督の映画作りにはMacが欠かせない。もちろん、小道具として映画のセットに用いるためではなく、映画制作のツールとして利用するためだ。

映画「日本沈没」には、PowerBook G4をはじめ、アップル製品が多数登場する。

映画「日本沈没」では、編集が上がってくるたびに、その映像をQuickTime Movieに変換したデータを、樋口監督自身が自分のPowerBook G4に入れて持ち歩いていたそうだ。「映画というのは、ある一定の時間に納める必要があります。どのシーンを外すのか、またそれを外しても大丈夫かを検証するのにPowerBookとFinal Cut Proを使いました。PowerBookを持ち歩いていれば、いつでもどこでも映画のことを考えられる。あるシーンを外したらどうなるかは、実際に試して確認することができる。これは大変便利でしたね」(樋口監督)。

また、自身のアイディアを検証するためのツールとしてもPowerBookは大いに役に立っていると語る。「僕は、映画監督としてはアイディアの多いタイプです。でも、思いついたアイディアすべてを口に出していたのでは、周囲のスタッフを振り回してしまいます。アイディアを整理して、それが実現できるかどうかを自分自身で検証する。そのためのツールとして、Macが必要不可欠なのです。PowerBookは思いつきを書き留めておいたり、それを試してみるための道具。まさに僕の『ノート』そのものです」(樋口監督)。

©2006 映画「日本沈没」製作委員会

樋口監督自身、スタッフとの情報共有のツールとして、また仕事の合間にネットサーフィンをしたり、ブログを更新するのもMac。「もう、Macなしではどうやって生きていけばいいかわからないほど、どっぷりMacに依存しています。Macはもはや自分の手足のような存在です」(樋口監督)。樋口監督の薦めもあって、今では一緒に映画制作に携わるスタッフも、その多くがMacユーザだ。「撮影現場にもMacがあるのは当たり前。スタッフルームにはAirMacは必須です。あまりにも大勢がMacを使うようになったので、どのMacが誰のものなのか、わからなくて困るくらい」(樋口監督)だと言う。

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