細田守 アニメに新しい息吹をもたらしたMacのパワー イメージを共有し、スタッフと共同で製作を進めるために


アニメ製作を画期的に効率化したMac

細田 守 氏

世界11カ国以上で翻訳され、累計発行冊数は日本だけでも1億冊を突破するモンスター級の大ヒットコミック『ワンピース』。その6作目となる劇場版アニメの監督を務めたのが、デジタルアニメ時代の演出家として注目を集める細田守氏です。イメージの確立した人気作品に独自の感覚で斬新なイマジネーションを加える──細田ワールドの創造にMacがどのような役割を果たしているのか、東映アニメーションスタジオを訪ねました。

細田 守 氏
東映アニメーション(株)
細田 守 氏

『ワンピース The movie オマツリ男爵と秘密の島』は、細田氏にとって『デジモンアドベンチャー』の2作品に続く3作目の劇場用アニメとなります。東映では、1998年ころからアニメのデジタル化に取り組み、そのころ細田氏はアニメーターから演出家へと活動の場を移した時期でした。細田氏はいわば、アニメのデジタル化とともに開花した才能ともいえる存在で、出世作となった『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』は、東映が手がけた最初の劇場用フルデジタルアニメ作品として、その画期的な演出に注目が集まりました。また、デジタルアニメ以外にも、ルイ・ヴィトンのプロモーションムービーや六本木ヒルズのTV CMなど、多彩な映像作品で細田氏の手腕が発揮されています。

アニメ監督が務める仕事の多くは「演出」という作業ですが、東映アニメーションでは設計図にあたる絵コンテを作成するのも監督の仕事に含まれます。細田氏は、これは絶対に必要なことで、演出と絵コンテの作成を分けることは考えられないといいます。

「絵コンテを描くなかで、全体の構想はもちろん、アニメらしい効果的な表現、さらには予算の使い方までを組み立てていきます。ですから、絵コンテが完成した段階で監督としての仕事の大半は終わったといってもいいくらいなんです。」(細田氏)

『ワンピース The movie オマツリ男爵と秘密の島』の場合、絵コンテができあがった段階でストーリーをA〜Dの4つのパートに分け、アニメーターたちによって同時進行で製作されました。従来のアニメ製作では1秒あたり24枚のセル画が必要で、「作画」、「セルへのトレース」、「セル画の彩色」、「(セル画の)フィルムへの撮影」といった過程を経て作られていました。中でもキャラクターや背景に色を載せる「彩色」の作業は膨大な時間がかかっていましたが、現在ではほとんどの工程がMac上の「RETAS! Pro」というソフトで行われ、セルをまったく使わない効率的な手法で製作期間を短縮できるようになったのです。

「テレビ番組用のアニメーションはもちろんですが、解像度の高い劇場用の製作においてもMacの製作環境はまったく問題がありません。劇場用は、最終的には原板となるフィルムに焼き付けるのですが、カラーコレクションなどで問題の起きやすい色味の調整も、非常に高い品質で行えます。」(細田氏)

カラーコレクションは、映像作品の全体的な色合いを演出する工程で、さまざまな条件で製作された映像素材の色調を整える重要な作業です。Macは、高度なカラーマネージメント技術により、デジタルアニメのクリエイターにとって不可欠な製作環境となっているのです。

細田氏は、毎日膨大な時間をかけて約1300カットすべての絵コンテを仕上げました。

「自宅近くのファミリーレストランを渡り歩きながら、12時間以上描き続ける日が続きました。iPodなしでは不可能だった作業ですね(笑)途中でバッテリーを使い果たすため、急遽もう一台、iPod miniを購入したほどです」という細田氏にとって、90分におよぶ劇場作品の1分間あたり14〜15カットという絵コンテ作成は、作品の完成形を見通す上でもっとも重要な工程になっているのです。


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Pro/Film&Video

アニメに新しい息吹をもたらしたMacのパワー
1. アニメ製作を画期的に効率化したMac
2. デジタルだからこそ可能となった“新しい表現”
3. スタッフ同士がイメージを共有するためにMacがある



『劇場版ワンピース オマツリ男爵と秘密の島』
『ワンピース The movie オマツリ男爵と秘密の島』
一通の手紙に導かれて風変わりなオマツリ島にやってきたルフィたち一行。現れた謎のオマツリ男爵につられて地獄の試練に挑むうち、いつしか仲間の心はバラバラに。ルフィたちは元の“仲間”に戻れるのか? オマツリ男爵の真の狙いは?
細田氏の演出と感動のストーリー展開が満喫できる注目作。2005年3月5日公開。
© 尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
© 「2005 ワンピース」製作委員会



劇場版キャンペーンサイト
劇場版キャンペーンサイト
映画の公開に合わせて開設されたWebサイト。細田氏のコメントもアップされている。



RETAS! PRO
RETAS! PRO
セルアニメの制作工程をデジタルに置き換え、効率的な作業が行えるアニメーション制作支援システム。

株式会社セルシス