レスパスビジョン編集室

カラーコレクションシステムとして欠かせないFinal Cut+FinalTouchの編集室を完備。

アップル製ソリューションで効率的な制作フローを模索


HDV、P2 HD、XDCAMといった新しいメディフォーマットが台頭してきた現在、ポストプロダクションは従来からの制作ワークフローを見直さなければならない時期を迎えているようだ。例えば、現状ではどこの制作会社でもHD制作の予算は限られているため、HDVフォーマットで撮影せざるを得ないケースもあると鈴木氏は語る。

「HDVで撮影した場合、HDCAMに一度コンバートしてからワークテープにコピーし直すなど、ローコストの割に無駄な工程が増えて逆に費用がかかってしまうこともあります。そこで検証しているのが、いったんFinal Cut Proでビデオキャプチャしてオフライン編集したデータを、いかにオンライン編集システムに移行させるかということ。ハードディスクに入った実データをテープを介さずに、効率よくオンライン編集でも利用できるようにする試みをFinal Cut Proで始めています」(鈴木氏)。

また、Power Mac G5と組み合わせたAJA Video Systems社の「KONA 3」のHD-SDI出力からオンライン編集システムにデータを直接送ったり、素材の前後にマージン(のりしろ)となる1秒程度のハンドルを付けてQuickTimeに書き出すなど、同社ではさまざまなケースごとに最も効率的な作業スタイルを模索している。

Xserve RAIDをスピーディーに導入


HD制作が増えるにつれ、素材となる映像データの容量も増えている。レスパスビジョンでは、ハードディスク構成が容量7テラバイトのXserve RAIDを3台導入しており、1台をFinal Cut Proのオフライン編集室に、2台をカラーコレクションを行うFinal Cut ProとFinalTouchのシネスイートに配置している。

「ハードディスク容量には常に悩まされていますね。Xserve RAIDの導入は、HD素材のオフライン編集をFinal Cut Proベースで行うにあたって急遽決定したものです。同時に、シネスイート用に2台導入してデュアル接続にすることで、HD非圧縮素材のカラーコレクション時におけるリアルタイム性も追求しました。Xserve RAIDはいずれもPower Mac G5に直結してスタンドアローンで利用していますが、今後のサーバ環境の移行も考慮して、2ギガビットのファイバーチャネル接続が可能な状態にしてあります」(鈴木氏)。

レスパスビジョン編集室

Final Cut Pro+FinalTouchの編集室には2台のXserve RAIDを導入するほか、DLPプロジェクター投影環境も実現している。

同社では、自社開発のシステムを構築してきた経験があったため、容易な導入が可能だった。導入するシステムによって、システムインテグレータへの相談や電話で手軽に購入できるApple Store for Businessの利用も効果的だという。

「プロの現場に密着した細かいサポートは電話だけでは難しい面も出てくるでしょうが、スタッフやシステムの管理者が専門的な知識を持っていれば、特に問題もなく運用し始めることができるのがアップル製品の強みですね」(鈴木氏)。

現在はオフライン編集とカラーコレクションでFinal Cut Proを運用しているレスパスビジョンだが、オンライン編集での可能性についても検証を続けているという。また、ポストプロダクションとして今後はHD制作が増えていくのは避けられない状況であり、膨大なデータ容量の素材を管理/共有できるサーバ環境をXserveで構築することも視野に入れながら、ワークフローのさらなる強化に積極的に取り組んでいく考えだ。

取材:2006年5月