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──映像制作のツールとしてMacを導入したのはー
いっしょに編集しているパートナーであるオペレーターがMacのプロだったので、一体型のPerformaを十数年前に買ったところから。当時、編集スタジオ以外でのビデオ編集といえば、8ミリビデオのデッキを2台並べてダビングを重ねながらの“カット編集”しかなかったところに、導入しやすい価格でビデオ編集機能の付いたPerformaで、どこまで映像がおもしろくなるかに惹かれていった」と語るのは、映像作家の中野裕之氏。
監督作品である映画「SF Samurai Fiction」「RED SHADOW赤影」や、TOWA TEI、Grayといったアーティストの音楽クリップなどでよく知られるところ。独特のリズムと、大胆でありながら美しい色遣いで知られる中野氏の映像は、CMの世界でも定評があり、松雪泰子さん出演のSEIKO Lukiaや、長谷川京子さん出演のKOSE Luminous、福山雅治さん出演の大塚製薬ポカリスエットなどで、幅広い層から支持を受けています。
──中野氏は、Power Mac G5 + Final Cut Pro + DV(民生用デジタルビデオ)によるビデオ制作システムを構築し、現在は多くの業務、制作をこの環境で行っています。さまざまなメディアフォーマットに対応する柔軟性の高さと直観的に操作できるインターフェイスが、クリエイティブワークに用いるツールとして最適であると考えての導入でした。
Final Cut Proで僕が最も評価している点は、クリップを一回ドラッグしたら、±のキーボード指定だけで、そのクリップの位置を自由に前後できるところですね。例えば音楽クリップなどの編集で、たった1フレームだけ絵が音より遅れているのを修正したい場合。
Final Cut Proならそのクリップを上のレイヤーにマウスで移動し、単純にマイナス1フレームと打つだけ。確認のための再生も、その前後の部分をマウスドラッグで選択するだけで行えます。この“スリップ編集”は、ビデオ編集になくてはならない機能ですけれど、今までのどのソフトウェアにも使いやすく搭載されていなかったんですよ。どのソフトウェアも単純にIN/OUT点を指定することで1カットを作って、それを並べていく、いわばダビング編集的な方法しかできなかった。
Final Cut Pro以外のソフトウェアもどんどん進化しているし、きちんと手順を追ってマニュアルを読めばもっといい操作方法があるのかも知れないけれど、すべてを学習したうえで編集をするワケじゃない。ところが、Final Cut Proでは、自然に行った操作でそれが実現できてしまう。映像の編集とはなにかを理解している人が作ってるソフトウェアだなあと感じられるのが、Final Cut Proだね。

僕は、音楽が好きだから、テンポのジャストよりもほんのちょっとだけ、映像が前に食い込んでいくタイミングが好きなんだ。だから細かな音と映像のずれぐあいを直観的に修正できるFinal Cut Proのインターフェイスはとても馴染みやすい。ただし、Macのモニターだけで編集をしていると映像タイミングがずれることがあるので、必ず外付けのTVモニターで映像を確認しながら編集することにしています」。
──しかし実際に業務に使うとなると、民生用機器の利用では画質のクオリティがパッケージ映像として耐えうるのかどうかが心配になります。
DVはみなさんが想像している以上に高画質です。だから、最終パッケージがDVDになるもの、例えば音楽クリップなどはFinal Cut Pro + Power Mac G5 + DVで十分です。僕の場合も、現在はほとんどこれで制作しています。同じビデオクリップ内にD1で取った映像とDVの映像を混ぜて編集した場合、もちろん僕らの目から見ればクオリティに差はあるけれども、作品として見せた場合、画質の差はもう判らないレベルです。堂々ともうDVネイティブで制作して、作品の内容で勝負すればいいんですよ」
──編集中も完成作品と同じ画質クオリティで作業ができる
例えば、業界標準ともいえるAvidとは共存の必要がありません。僕の使っていたAvidはあくまでもオフライン用なので画質を落としているため編集中に仕上がりのイメージがつかみにくいのですが、Final Cut Proは編集中に見ている映像が最終的な作品と同じクオリティなのがいい。
しかも圧倒的にローコストでシステムが組めるし、常に完パケの状態を確認しながら編集ができるので、狙い通りのエフェクトやスーパーが入れられます。Avidは、画質がいまひとつな分、レンダリングが速いっていうメリットがあったんだけど、いまやG5になって、そのレンダリング速度も変わらなくなりましたしね。
いちばん気になるフリーズなどのトラブルも、Power Mac G4に1.5GB程度のメモリを積んでいた時代に比べ、現在使っているPower Mac G5に4GBメモリを搭載している現在では、少なくなってきています。 編集作業中は、本当にその映像の世界に入ってしまうんですよ。耳が巨大になって、目が冴えて、すごくセンシティブになっている時間なんです。そういう状態で、すごくいい仕事をしているときにシステムが不安定になって再起動なんかをかけると、本当に集中していた自分は、もうその世界には居なくなってしまう。だから安定性はとにかく作品づくりにおいて重要です。
また、どうしてもインフェルノを使った高画質な特殊効果が必要な場合は、プロジェクトを丸ごとすべて外付けHDDにコピーしてスタジオに持って行くんです。そこで、インフェルノで特殊効果などをかけた素材は、その場でオペレーターにQuickTime形式で書き出してもらう。そして、オフラインであるPower Mac G5のFinal Cut Proを使い、その場で組み合わせて編集しながら結果を確認していく。その方が確実だし、効率も上がるんですね。
ホントに、ただカットをつなぐ作業の時は、iMovieを使ったりもしますよ。特に、DVからの取り込みの時なんかは、撮影したカットごとに自動的にクリップ化してくれて、そのクリップに自動的に名前を付けてくれたりする機能が便利なんだよね。タイトル文字とかの、エフェクトなんか、カワイイでしょう?iMovieでタイトルを入れて、ファイルを書きだしてそれをまたFinal Cut Proで編集したり、といったことも良くやってます。
今の不満は、Final Cut Proがないプロの編集スタジオがまだ存在すること。でも、これがないとイヤだ、編集スタジオで作業が出来ないっていって、いくつかのスタジオにはわざわざ導入してもらったんですよ(笑)」
取材:2004年8月
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