Final Cut Pro HDの「ビデオ処理」の設定と正しいガンマ補正
 
「カラーモデルを意識したデジタルビデオ編集」と題したシリーズ連載の最終回は、Final Cut Pro HDの「ビデオ処理のオプション」と、QuickTimeの「自動ガンマ補正機能」について解説します。YUV系コーデックが指定されたシーケンス(YUVシーケンス)にRGB静止画ファイルをインポートする場面や、反対に、YUVシーケンスからRGBファイルを静止画でエクスポートする場面で、具体的に何が起こるのかを見ていきましょう。

Final Cut Pro HDのビデオ処理の設定
Final Cut Pro HDのシーケンスで、その設定項目の一つに「ビデオ処理」というものがあります。「ビデオ処理」パネルでは、レンダリングカラースペース/ビットの指定と、ホワイト/スーパーホワイトの指定を行います。ここには、当シリーズ連載でフィーチャーしている「RGBとYUVのカラースペース特性の使い分け」にも深く関連する、重要なバラメーターが存在します。

Final Cut Pro HDの「シーケンスの設定」ダイアログ、「ビデオ処理」パネル
図1 Final Cut Pro HDの「シーケンスの設定」ダイアログ、「ビデオ処理」パネル

レンダリングカラースペース/ビットの指定
レンダリングカラースペースは、「シーケンスのコーデックタイプにマッチしたオプションを選択する」というのが、基本的な設定ポリシーです。RGBシーケンスの場合は「常にRGBでレンダリングする」しか選べませんが、YUVシーケンスの場合は、いくつかのレンダリング方法を選択することができます。

シーケンスに指定されたコーデックが「非圧縮8ビット 4:2:2」や「DV/DVCPRO - NTSC」のような8ビットのYUVコーデックである場合は、通常は「8ビットYUVでレンダリング」を選択、「非圧縮10ビット 4:2:2」であれば「10ビット素材を高精度YUVでレンダリング」を選択します。

YUVシーケンスにおける例外的な設定として、「常にRGBでレンダリングする」と「すべてのYUV素材を高精度YUVでレンダリング」があります。「常にRGBでレンダリングする」を指定すれば、文字通り、YUVネイティブレンダーを行わずに強制的にRGBレンダーを実施します。ただし、YUVシーケンス上のYUVクリップに適用されたエフェクトをRGBレンダーすると、YUV→RGB→YUVのカラースペース変換処理が行われるため、レンダリング結果と元素材の色調に若干の変化が現れます。例えば、あるクリップセグメントの一領域だけにエフェクトを適用し、そのエフェクト適用領域をRGBレンダーする場合、色調の変化、特にスーパーホワイト成分の欠如により、完成した映像の色調が統一感を失う可能性があります。一方で、色調の変化を承知の上でなおRGBレンダーを行いたい場合——例えば、RGBレンダーしか行えないAdobe AfterEffects互換のサードパーティエフェクト適用領域と、Final Cut Pro HDのYUVレンダー可能なエフェクト適用領域の色調を合わせるようなケースでは、敢えて「常にRGBでレンダリングする」を選択するやり方もあります。

また、「すべてのYUV素材を高精度YUVでレンダリング」を選択すれば、8ビットYUVシーケンスでも強制的に10ビットYUVレンダーが行えますが、これはレンダリング処理の精度向上に関するオプションであり、元の8ビットYUVクリップ本来の画質を高める効果はないことに留意しましょう。

ホワイト/スーパーホワイトの指定
「スーパーホワイト」とは、端的に言えば、おかしな表現かも知れませんが、「白よりも白い白」です。多くのビデオカメラでは100%以上の明るさに達する白、つまりスーパーホワイトを記録できますが、このスーパーホワイト成分を含む映像を極力適正に保持できるよう、ビデオソースをYUVコーデックでキャプチャーする場合、Final Cut Pro HDでもスーパーホワイトを扱うことができるようになっているのです。

「ビデオ処理」パネルの「処理できる最大のホワイト」設定は、RGBソースをYUV変換する際の、明るさのレベルのマッピング方法を指定します。この設定は、あくまでもRGBベースのクリップに対してのみ有効で、YUVクリップには作用しません。よく勘違いされているのですが、この設定を「白」に指定しても「スーパーホワイト」に指定しても、YUVクリップの白レベルの最大値が変化するわけではないのです。

実際、Final Cut Pro HDのデフォルトシーケンスプリセットでは、「処理できる最大のホワイト」が「白」に設定されています。この設定下でも、スーパーホワイト成分を含むYUVクリップ(キャプチャーによって生成されたものでも、外部からインポートされたものでも、YUV系コーデックでエンコードされたものなら何でも)を適正に扱うことができ、シーケンスにレコード後も、そのままでは(「ブロードキャストセーフ」エフェクト等の適用なくば)スーパーホワイト成分が失われることはありません。よって一般的には、「処理できる最大のホワイト」設定は「白」のままで構いません。

YUVシーケンスに配置されたRGBクリップは、「処理できる最大の ホワイト」の設定により、明るさのレベルの最大値を変えることができますが、その処理方法は他のノンリニアビデオ編集アプリケーションと異なるので注意が必要です。Final Cut Pro HDでは、「処理できる最大のホワイト」設定が「白」の場合、黒(8ビットでR/G/B値が0/0/0)が明るさ0%に、白(8ビットでR/G/B値が255/255/255)が100%にマップされます。同設定が「スーパーホワイト」の場合は、黒が0%にマップされるのは同じで、白が109%にマップされます。「スーパーホワイト」の場合、ビデオで100%の明るさの白にマップされるのは、RGB各値が256 × 100/110 (91%) = 約233の時ということになります。

「白」の場合 「スーパーホワイト」の場合
「白」の場合 「スーパーホワイト」の場合
図2 「白」に設定したときと「スーパーホワイト」に設定したときの結果の違い



次ページ:Final Cut Pro HDの自動ガンマ補正機能
Pro/Film&Video

Final Cut Pro HDの「ビデオ処理」の設定と正しいガンマ補正
1: Final Cut Pro HDのビデオ処理の設定
2: Final Cut Pro HDの自動ガンマ補正機能 1
3: Final Cut Pro HDの自動ガンマ補正機能 2