Final Cut Pro HDによるノンリニアビデオ編集システムの構築
 

Final Cut Pro HDによるビデオ/オーディオの入出力には、大きく二つの方法があります。ひとつはFireWireを経由したデータ転送方式(FireWire-AVC)です。MacとFinal Cut Pro HD、IEEE1394(FireWire)ポートをもつカメラやVTR機器という組み合わせだけで、ビデオテープに記録した映像と音声をそのままQuickTimeムービーとして取り込み、Final Cut Pro HDで編集した後、完成作品をデータ転送でビデオテープに戻します。この方法の最大の利点は、デジタルデータのままやり取りするため再圧縮のプロセスが介在せず、ビデオ/オーディオ入出力時に品質劣化の起きる心配がないことです。

また、ビデオ、オーディオ、タイムコードのやり取り、カメラ/VTR機器のリモートコントロールといった一切合切が、FireWireケーブル1本で済んでしまうという手軽さも大きな魅力です。この方法は、多くのFinal Cut Pro HDユーザが体験し、実践していることでしょう。実際にFinal Cut Pro HDが多くのユーザに支持されている理由のひとつに、FireWireデータ転送に代表される“操作の簡易さとクオリティーの両立”、つまりビデオの取り扱いに関する専門的な知識がなくても、ハイクオリティーな作品が仕上げられることが挙げられます。
FireWire-AVC方式による接続

Final Cut Pro HDに映像を取り込むためのもうひとつの方法。これはどちらかというとノンリニアビデオ編集システムにおける伝統的なやり方となりますが、MacとFinal Cut Pro HDという構成に、サードパーティ製の外部ビデオ/オーディオデバイスを追加してビデオ/オーディオ信号を入出力する方法です。入力時には、外部デバイスを用いてビデオ/オーディオ信号をデジタル化し、それをQuickTimeムービーに格納します。出力時には、QuickTimeムービーを外部デバイスを介してビデオ/オーディオ信号にデコードします。タイムコード情報の入出力、VTR機器のリモートコントロールは、主にRS-422シリアル接続(Final Cut Pro HDは標準でSony RS-422、Panasonic RS-422プロトコルなどに対応)を介して行います。

FireWire経由のデータ転送方式と比較すると多少操作が難しくなり、システム構成も複雑化しますが、IEEE1394ポートをもたない業務用ビデオ機器 ─ ソニーのアナログ/デジタルベータカム、ベータカムSX、HDCAM、松下のDVCPROシリーズVTRなどをシステムに組み込み、NTSC、PAL、そして地上デジタル放送規格の720p/1080i HDまで、ありとあらゆるビデオフォーマットを広範囲にカバーします。


Final Cut Pro HDと互換性のあるサードパーティ製の外部ビデオ/オーディオデバイスは、様々なメーカーから製品がリリースされています。その中にはアナログA/V専用、デジタルA/V専用、アナログ&デジタルA/V兼用のデバイス、NTSCを含むSDに加えてHDフォーマットまで対応するデバイスまで、数多く存在します。さらに2004年のNAB(国際放送機器展)で、12ビット4:4:4デュアルリンクHDにまで対応するデバイスも発表されていました。比較的単純なI/O回路で構成されたPCIカード、特殊なアクセラレーション機能を併せ持つPCIカード、FireWireでSD-SDI(シリアルデジタルインターフェイス)伝送を行うボックスタイプなど、これらのビデオ/オーディオデバイスにはそれぞれ独自の特徴があり、ユーザが求める機能や性能、予算に照らし合わせて自由に選択することができます。(注1)

これらのビデオ/オーディオデバイスは、Final Cut Pro HD向けに、パーツ的に供給されるため、ソフトとハードがパッケージ化された他社のノンリニアビデオ編集システムと比較すると、非常に安価に入手可能です。一方『Final Cut Pro HDをベースとするノンリニアビデオ編集システムは、ソフトとハードが別の開発元から供給されているから、互換性の維持等を考えるとメインテナンスが困難』という懸念も聞かれます。Final Cut Pro HDをベースとするシステムは総じて非常に低価格ですが、ユーザ自らがシステムのメンテナンスをする場面が多くあります。しかし世界中に、そして日本国内にも、Final Cut Pro HDをベースにノンリニアビデオ編集システムを既に構築しているユーザは数多く存在し、関連する情報も豊富にありますし、Macという扱いやすいシステムをベースにしているため、メンテナンス性は極めて高いと言えます。また、初期導入時にサードパーティ製ビデオ/オーディオデバイスの販売店や、インテグレータの協力を仰ぐという方法もあります。費用と手間のバランスを考えつつ、豊富な選択肢から最適なチョイスを行ってください。

次ページ:コンバート&キャプチャ、ダウンコンバート&キャプチャ機能
Pro/Film&Video

Final Cut Pro HDによるノンリニアビデオ編集システムの構築
1: Final Cut Pro HDの2つのキャプチャ機能
2: コンバート&キャプチャ、ダウンコンバート&キャプチャ機能
3: QuickTimeベースであることの効用
注1: 当稿執筆時点でアップルがFinal Cut Pro HD向けに認証しているビデオ/オーディオ入出力デバイスは、以下の通り。「Final Cut Pro HD 4.5 Qualified Devices (20040920)」より。

AJA Video Systems Io、Io LA、Io LD
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