CGで描かれた背景と手前の人物をShakeを使って合成。
©2006 フジテレビジョン
フジテレビ系列で2006年1月から放映がスタートした連続ドラマ「西遊記」。その合成シーンの制作にはPower Mac G5とShake、Final Cut Pro、Xsanといったアップルの最新ソフトウェアや、Xserve 10台によるレンダーファームが活用されている。
膨大な量のVFX処理にShakeを採用
ドラマ「西遊記」は、天竺に経典を取りに向かう三蔵法師(深津絵里)、それに従う孫悟空(香取慎吾)ら一行の活躍を描いた、子供から大人まで楽しめる娯楽エンターテインメント作品である。孫悟空が宙を飛び、妖術や幻術が飛び交うファンタジーの世界を映像に描き出す上で、VFXは欠かせない。フジテレビ社内で「西遊記」のVFXに関する検討が始まったのは、放映開始の9カ月前、2005年4月のことだった。毎週1話、1時間の連続ドラマで必要とされるVFXの量は、マスクを切って合成するといった基本的な作業だけでも、他の番組とは比較にならないほどの量になることが予想された。
「社内には、すでにDiscreetのシステムが導入されていましたし、Adobe After Effectsなども併用していましたが、週に1本という制作ペースに間に合わせるためには、システムを増強する必要があることは明白でした」と、システム担当の遠山健太郎氏は語る。しかし、高価なDiscreetのシステムを何セットも導入するのは、予算の面からも現実的な選択肢ではなかった。オペレーターの人数を増やせば、より多くの合成がこなせる。そんな体制を作るためにも、PCやMacをプラットフォームとする新しいアプリケーションの導入を本格的に検討することになったのだと言う。
「西遊記」のVFXと3DCG全般を統括するCGプロデューサーの冨士川祐輔氏。
そこで、選択肢の一つとして浮上したのがShakeであった。「ちょうどその時期に開かれていたNAB(全米放送機器展)でShakeのクオリティの高さを見て、使えるという感触を持ちました」と語るのは、CGプロデューサーの冨士川祐輔氏である。「西遊記」のVFXと3DCGのマシン体制作りを進めていた冨士川氏にとって、Shakeはまさに「渡りに舟」のソフトウェアだったと言う。「コストパフォーマンスが抜群で、他社の製品とは比較になりませんでした」(冨士川氏)。
しかし、連続ドラマでのVFXの需要に堪えうるだけのスピードや耐久性を持っているのか、またその使い勝手がどんなものなのか、導入には不安もあった。「アップルが紹介しているShakeの導入事例は、その多くが映画制作に関するものでした。しかし、我々が扱うのはフィルムと違ってインターレースの素材です。インターレースの処理に問題はないのだろうか、という点は特に気になっていました」(冨士川氏)。
そこで、まずはShakeを試験的に導入して、実際の操作感や合成のクオリティを検証してみることになった。1カ月かけて行った検証の結果は、Shakeは処理のスピード、耐久性、合成の整合性、使い勝手、すべての点で十分信頼に値するというものだった。こうして「西遊記」のVFX処理には、DiscreetとShakeを併用し、複数のマシンで分担する体制を取ることが決まった。
「西遊記」のシステム担当の遠山健太郎氏。
「Discreetは処理スピードが速いと認識していましたが、最近のMacはハードウェア的にワークステーションと全く遜色がありませんね。Shakeは、Discreetのシステムをもう1セット導入する場合より、クライアント1台当たりの価格が非常に安い。その分の費用をサーバ側に投資することで、システム全体としてのパフォーマンスを上げることもできました」と、遠山氏もシステムエンジニアの立場から、今回導入したアップルのハードウェア、ソフトウェアを高く評価している。
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