Shakeを使って「西遊記」の合成シーンを制作している。
VFX制作に欠かせないShakeのスピードとクオリティ
「西遊記」のVFXチームのために導入されたのは、次のようなシステムである。まずは、4台のPower Mac G5とApple Cinema HD Display 23"。これがShakeを利用するプラットフォームとなる。さらに、HDで作成した合成シーンを動画としてプレビューするためにXsanが導入された。Power Mac G5スタンドアロンの環境では、完成した合成シーンを動画でプレビューすることはできない。高速でアクセス可能な大容量ストレージネットワークを利用することで、合成シーンの仕上がりをプレビューモニター(ソニー LUMA)で確認できるだけでなく、他のPower Mac G5で合成したシーンを別のPower Mac G5から見る、といった使い方も可能となった。
チーフVFXアーティスト 高野善政氏
「西遊記」はHDCAMで収録されており、合成シーンもすべてHDで作られている。HDの解像度はSDのおよそ6倍。当然ながらレンダリングにはより多くの時間がかかるため、個々のPower Mac G5がレンダリングを行うのでは効率が悪い。そこで、Xserveのクラスタモデル10台によるレンダーファームが導入されることとなった。レンダーファームの管理ソフトにはRushを使い、4台のPower Mac G5以外のマシンからも利用できるようにしていると言う。
では、VFXチームのスタッフはこの新システムをどのように見ているのだろう。「西遊記」のチーフVFXアーティストの高野善政氏は次のように語る。「実は今回導入するまで、VFXチームでShakeを使った経験のある人がほとんどいなかったのです。私自身もShakeを利用するのは初めてで、当初はその機能やインターフェイスがどのようなものなのだろう、という不安はありました。しかし実際に触れてみると、これまで使ってきたDiscreetと比べても非常に使いやすいと感じました」(高野氏)。
VFXアーティスト 大村哲也氏
VFXアーティスト高野氏、大村氏はShakeのスピードとクオリティを高く評価している。「Shakeのロトスコープやブラーの速さには本当に驚きました。他社製のアプリケーションとの連携がスムーズな点もいいですね」(高野氏)。「西遊記」のVFXチームは全員で6名。ある合成シーンを作成するのにDiscreetを使うか、Shakeを使うか、また誰にどの作業を任せるかといった作業の振り分けは高野氏が行っている。Shakeは1つのアプリケーションでフィニッシュまでの作業が行えるため、作業の振り分けがしやすいというメリットもあるそうだ。
VFXアーティストの大村哲也氏も「西遊記」で初めてShakeに触れた一人である。大村氏は長年Discreetを使って合成作業を行ってきた。「仕事の合間に一日あたり3時間ほどShakeを触っていましたが、1カ月ほどの勉強で仕事に使えるレベルの合成ができるようになりました」(大村氏)。大村氏は、Shakeの導入にあたって、Discreetを使った場合との合成結果を比較する検証作業も担当したのだと言う。「さまざまな環境で撮影された過去の素材などを使用して、10レイヤー、20レイヤーと重ねて合成してみたりもしました。その結果、Shakeは十分な機能を備えていると確信できました」(大村氏)。
「Shakeは初めてでも取り組みやすい」と語るVFXアーティスト釼持吉秀氏。
今年が社会人一年目というVFXアーティストの釼持吉秀氏も「学校ではDiscreetを使ってきましたが、Shakeのチュートリアルを進めていくだけで、ストレスなく使えるようになりました」と語る。また大村氏によれば、ノードを一つ一つ積み上げていくShakeのインターフェイスは論理的で、初心者が映像理論を覚えるのにも向いているのだそうだ。
Xserveを使ったレンダーファームも「スタンドアロンでレンダリングするよりスピードが速い」と好評だと言う。いまや、「西遊記」のVFXチームにとって、Power Mac G5とShake、XsanとXserveによる新システムは、なくてはならない存在となっている。
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