ノンリニア編集室の3台のPower Mac G5からはもちろん、PowerBook G4からもギガビットイーサネットワーク、ファイル共有サービス経由でXsanボリュームにアクセスできるよう、Xserve G5 1台がSAN-NASブリッジ機能を担当している。
編集作業の効率アップを実現したXserve G5(上)とPower Mac G5(中)、Xserve RAID(下)。
Xsanの導入で編集システムの使い勝手が格段に向上
報道部への導入がスムーズであったことから、制作部でもHD化に伴い、2台のPower Mac G5とXserve RAIDを導入し、Final Cut Proによる編集システムに切り替えた。日々のニュース編集が中心の報道部とは異なり、制作部では使用するテープの本数も多いことから、撮影後のテープからPower Mac G5に取り込んだデータを大容量ストレージXserve RAIDに保存。データをPowerBook G4に移して、オフライン編集もできるようにした。先に報道部が導入していたことで、制作部のスタッフには、Final Cut ProやMacの使い方がわからなくても、周りの人に聞けば教えてもらえるという安心感があり、Final Cut Proを利用するディレクターや編集者の人数は増えていったと言う。
しかし、利用者が増えるにしたがって、問題も出てきた。2台のPower Mac G5がそれぞれ独立したシステムとして稼働していたため、いったん一方のPower Mac G5側で取り込んでしまうと、もう一方が空いていても、作業が続けられないのだ。データを一方のPower Mac G5からPower Mac G5へ、またPowerBook G4へとコピーして作業していると、ファイルの重複も増え、システムの管理も煩雑になる。データの取り込みや、ファイルのコピーという「作業」にかかる手間や、マシンが空くのを待つ時間が増えるのは、望ましいことではない。そこで、2005年の夏にXsanを導入。Power Mac G5も1台増やし3台となったが、どのPower Mac G5からでも、またPowerBook G4からでも、Xserve RAIDにアクセスできる構成にした。
富山テレビ放送がXsanを導入したのは、リリースされてわずか半年後。導入に不安はなかったのだろうか。「テレビ局にとって、一番怖いのは放送事故です。万が一にも、ハードディスクに入れた映像が取り出せなくて放送ができない、などということが起きては困ります。アップルやSIの方々に頼りっぱなしというのではいざという時に困る。社内でも、MacやXsanのことがわかる専門家を育成した方が良いと考えました。波房には積極的にアップルの講習会などにも参加してもらって、Xsanの運用ノウハウや技術を身につけてもらっています」(小島氏)。
ネイティブHDVの編集に対応したFinal Cut Pro 5の編集画面。
カメラマンである波房氏は、それまでとくにシステム管理者としての経験はなかったそうだ。「日常的な管理と運用で何か心配なことがあった時は、アップルのサポート窓口や、このシステムを納入したSIである加賀電子さん、アブソリュート・イナッフさんに電話で相談し、サポートしてもらっています」。それでも、Xsanが導入されるまでは、波房氏が社外で取材している最中に「うまく動かないので見に来てほしい」という電話が局内のスタッフからかかってくることもあったと言う。「利用者のちょっとしたミスから、管理者権限でログインして、設定を変更しなければならないようなことがあったのですが、今ではそうした事態はほとんどなくなりました」(波房氏)。Xsanの導入後は、使い勝手が格段に良くなったと制作部スタッフの評判は上々。波房氏の負担も減ったそうだ。
富山テレビ放送では、今後、Final Cut ProのHDVネイティブ編集機能をさらに活かしていく考えだ。県内に3つある支局にPowerBookを支給し、Final Cut Proで編集したコンテンツを、光ファイバーを利用したVPNネットワークで本局にファイル転送できるようにする予定だという。「ニュースの素材はせいぜい1〜3分。送信にかかる時間は、せいぜいその数倍程度。緊急のニュースを除けば、これで十分間に合います。すでに実証実験は済ませており、近いうちに運用を開始したいと考えています」(波房氏)。また、現在はXsan内のデータをテープに書き出してから、送出サーバに渡しているが、将来的にはこの工程をテープレスにすることも視野に入れている。「今後、そうした機能を実現してくれる製品やソリューションが出てくることに期待しています」(小島氏)。
取材:2006年5月