© 2005「男たちの大和/YAMATO」製作委員会

日進月歩という言葉がまさにあてはまる、デジタルによる映画製作の現場。日本映画「男たちの大和/YAMATO」(東映/2005年12月17日(土)公開)は、アップルのプロフェッショナル・ツールを使うことでより効率的かつクリエイティブな映像制作のワークフローを実現している。

リアリティとパフォーマンスを追求


東映 映画企画制作部 プロデューサー
川田 亮氏

第二次世界大戦後60年に当たる今年、12月に1本の映画が公開される。タイトルは、「男たちの大和/YAMATO」。原作「男たちの大和」(辺見じゅん著)は、太平洋戦争初期に建造を計画し、1945年4月に海上特攻の命を下され、東シナ海沖に沈没した戦艦大和から生還した乗組員の話を基に書かれた、鎮魂の書である。主人公は、大和に乗員していた無名戦士たちと長い戦後を生きたその遺族たち。人間ドラマを中心としながら、さまざまな先端技術を駆使した壮絶な戦闘シーンを再現している、史実に基づいた大作だ。

東映映画企画制作部の川田亮プロデューサーは次のように話す。

「太平洋戦争の記憶が時によって薄れつつある今、東映では『鎮魂、そして語り継ぐために』をテーマに、戦後60周年記念作品として『男たちの大和/YAMATO』の製作を決定しました。単なる戦争映画とは謳いたくない、とスタッフの誰もが思っています」(川田氏)。

その意気込みは、当時行われた海戦の状況を知るために、アメリカに保存されていたビデオライブラリを鑑賞してスタッフ間でイメージの共有を図るという作業が行われたことからも伝わってくる。

「クランクインは2005年3月26日ですが、撮影素材収集は先行して行っていました。例えば、広島県呉市の大和ミュージアムに展示してある10分の1の大和の模型、同じく広島県尾道市の造船ドックには大和の艦首から艦橋まで原寸大で再現した全長190メートルのセットが設置され、これらを合成用に前もって撮影しておきました。この映画のために着工されたこのセットは2004年12月からクランクイン直前までの建設期間を要しています。同時に、戦闘シーンのための特撮用大和も制作を進めていました」(川田氏)。

この大作の製作現場で使われたのが、機動性と高いパフォーマンスを誇るPowerBook G4と、プロフェッショナル向けビデオ編集ツール「Final CutPro」である。

広大な大和の甲板上で合成用のブルーバック撮影を行う。

大作ゆえの完全デジタル撮影


「男たちの大和/YAMATO」は、実写部分のすべてのシーンがデジタルシネマカメラVARICAMで撮影されている。こうしたフルデジタル撮影の背景には、撮影監督の阪本善尚氏の提案があったと川田氏は語る。「本作は海戦場面も見所の一つですが、ここにCG合成を多用することが想定されました。そこで、編集・合成時の効率を考慮し、全編をデジタルシネマカメラVARICAMで撮影、編集も完全デジタル化することを決定したのです」(川田氏)。

撮影はドラマを中心としたA班、戦闘シーンを中心としたB班、そして特撮班と3つのグループに分けて動いた。撮影も順調に進みながら7月13日にクランクアップを果たし、現在は編集や合成などのポストプロダクション工程を進行している最中だという。このポストプロダクション工程を円滑にするためにも、フルデジタル撮影の必要があったと話すのは、本作で編集を担当した東映の米田武朗氏だ。

「戦艦大和ひとつをとってみても、広島県尾道市に設置された原寸大セット、特撮班が使う35分の1サイズの模型、CGで表現するシーン、と3種類の素材を映画の中では同じ大和として見せる必要があります。異なるクオリティの画を編集時に高画質でチェックする必要もありました。弊社ではAvidを中心とした編集システムを採用していましたが、HDクオリティで編集業務が行えるFinal Cut Proは魅力でした。ただ、当初は情報量も少なく導入に対して不安がなかったわけではありません」(米田氏)。

しかし、撮影監督の阪本善尚氏を始め、すでにFinal Cut Proを活用している人が周囲に多かったことが導入のきっかけとなった。「映像のプロたちが認めているアプリケーションですから、まずは使ってみようと思ったわけです。使ってみて、すぐに不安は解消されました。今まではAvidばかりを使用していましたが、懸念していたほど操作に戸惑うことはなく、機能面での不満はまったくありませんね。HDクオリティのノンリニアマシンとして十分使えます」(米田氏)。

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