コンポジット・エフェクトの過程を一目で確認できるShakeのノードツリー。
Shake4の新機能で作業効率が大幅に向上
進氏は「男たちの大和/YAMATO」でShake4の新機能をふんだんに用いた。特に重宝したのがSmoothcamだという。「レールの上を走らせながら撮影したものをそのまま映し出すと、カメラのブレが目立ってしまいますが、Smoothcamを使えばスタビライズを自動で行ってくれます。今までスタビライズといえば、任意ポイントを作るなどの大変な手間がかかりましたが、それが30分くらいでできてしまうのはすばらしかったですね」。
Shakeは、先進的なオプティカルフロー技術で画像分析ができるため、Smoothcam機能を使って、撮影した映像のスタビライズや不安定なパンのスムージングの自動処理ができる。カメラの映像からジッターを取り除くために、トラッキング点を設定する必要もない。面倒な試行錯誤を繰り返さなくても、速度の不安定なパンを自動修正し、これまでなら使い物にならなかったショットも簡単に再生することができる。
「Smoothcamでスタビライズを行った後、ロト・スコーピング作業に入ります。もともとShakeのロト・スコープは早いですが、スタビライズ処理をしているので、動作が一定になっていますから、スコープも非常にかけやすくなり、作業効率がさらに大幅にアップしました」(進氏)。
Shake4では、三次元空間に無制限にレイヤーを配置し、実写とCGIをシームレスに合成できる機能も新たに備えた。これによりMayaと互換性のあるカメラデータをインポートしたり、カメラのアニメーションを追加したりといったことができるようになった。「Mayaのカメラデータをインポートできるようになったのは非常に大きなアドバンテージでした」(進氏)。
Mayaで作成したデータをそのままShake4に取り込むことで、単一のアプリケーションですべての処理がこなせるようになったという。「クリエイティブな作業をしている中で、複数のアプリケーションを並行して使うよりは、単一のアプリケーションで全ての作業ができた方が圧倒的に効率はいいですからね」。
合成前の素材やShakeによって合成された画像はXserve RAIDで保存・管理される。
レンダリング作業はXserve G4を5台使って行っている。これらを常時フル稼働し、進氏一人で全てのファイル管理を行っている。
「Mac OS XとShake4があれば、何の問題もなく映像の合成処理は行えます。特にフルデジタルで撮影した映像をノンリニアで編集できるのは他では得難いですね。しかも、コストも安いのですから、使わない理由がありません」(進氏)。
進氏はできあがった映像を阪本善尚撮影監督に見せるために、H.264にしてメールで送っていたという。「阪本監督は、別の映画撮影で中国に行っていることが多いのですが、映像を確認してもらうたびに東京に来てもらうわけにはいきませんから、H.264にしてメールでお送りしているのです。ファイルサイズは小さくなるのにカラースペースは変わらず、ブロックノイズも少ないのがいいですね。確認用なら、これで十分ですよ」。
今後のバージョンアップで期待することは「ペインター機能の速度アップ」と話す進氏。その理由はペインター機能の処理速度が向上すれば、ほとんどの作業をShake4だけで行えてしまうため、作業効率がさらに上がると考えているからだという。クリエイティブなワークフローを創出していく進氏の頭の中には、Shake4の次期バージョンを視野に入れた次なるワークフローが思い描かれていた。
取材:2005年10月