スピードスケート5000メートルで金メダルを獲得したチャド・ヘドリック選手(米)のウィニングラン後の表情
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冬季ウインターゲームの写真報道に授与されるメダルはない。けれども、報道カメラマンのヴィンセント・ラフォレ氏が、2006年冬季トリノウインターゲームの米国初の金メダリスト、5000メートルスピードスケートのチャド・ヘドリック選手を撮影したオーバルリンゴットから、1km以上離れたフィギュアスケートのペア競技であるパラベラに向かって、寒い中を26kg以上の機材を持ち歩いていくのを目撃した誰もが、新しい未発表のウインターゲーム種目と勘違いしたかもしれない。

パラベラに入ると、その印象はさらに強まっただろう。ラフォレ氏は、セキュリティチェックの通過後、用意された50のカメラ席の1つを、何百人ものライバルの報道カメラマンに取られる前に確保した。カメラ席はわずか数分ですべて埋まった。ラフォレ氏は、カメラをセットアップし、ひと息入れた後、報道写真のバイアスロンの第2種目である30組のフィギュアスケーターの1組目の撮影を開始した。


機材を持って会場から会場へ全速力で移動後、フィギュアスケートのペア競技の撮影準備を整えるラフォレ氏

報道写真を競技にたとえても、あながち突飛ではない。「我々の競争は非常に激しいです」と、ラフォレ氏は語る。「けれども、使っているカメラとレンズ、撮影するポジションに差はありません。そこで、報道カメラマンとして秀でるための決め手になるのは、才能、目、調査、そして画像を配信するスピードです」(ラフォレ氏)。

デジタルのジレンマ

ベテランのウインターゲームカメラマンであるラフォレ氏は、ライバルに勝つ決め手を求め、トリノに到着した。ラフォレ氏は、他のほとんどのカメラマンと同じく、デジタルカメラで撮影する予定であったが、通常、報道カメラマン向けにカメラに装備されている、撮影後すぐに写真を編集するためのデジタルレコイルは使わないつもりだった。

トリノのほとんどの報道カメラマンは、撮影を止め、コンパクトフラッシュから何千もの画像をダウンロードして目を通し、「最高の写真」を数枚選んで送信する作業を厳しい締め切りに間に合うように行う必要がある。

「報道カメラマンとして秀でるための決め手になるのは、才能、目、調査、そして画像を配信するスピードです」

ラフォレ氏は、このような現場での判断は難しいだけでなく、すべてを台無しにする可能性があると考えている。「いつかは送信しなければならないため、配信しないペアの写真を自問して決める場合、たいていは転倒したペアや演技にさえがないペアの写真をボツにします。ボツにしたペアがその日のニュースとなっているのに、写真の編集と送信で忙しくて気が付かなかったり、記事になると思ったペアが記事にならなかったりします」(ラフォレ氏)。

カメラマンの戦略

しかし、ラフォレ氏(最近までニューヨークタイムズ紙の写真部員であったが、現在はタイムズ紙初の契約カメラマン)は記事をものにすることで有名である。スーパーボール、イラク戦争、9.11後のニューヨーク、ハリケーン「カトリーナ」など、彼の印象的な写真(中にはヘリコプターの開いたドアから身を投げ出して撮影した写真もある)は、ピューリツァー賞を始め、数々の賞を獲得している。

トリノで記事をものにするチャンスを最大限に高めることを望んだラフォレ氏は、新しいデジタルワークフローを考案し、カメラを構える時間をできるだけ長く確保した。これはまさに、従来のアナログカメラの報道カメラマンが撮影を主な仕事とし、撮影フィルムを手渡して職務を終えていたのを自身の報道戦略で復活させた試みであった。

「報道カメラマンが実際に撮影している時間の短さを誰も知らないでしょう。交渉、移動、編集、保管を含めた作業全体で、撮影が占めるのは5パーセント程度です。しかし、デジタルカメラの前はおそらく15パーセントはあったでしょう」(ラフォレ氏)。

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