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独特の鮮やかな色づかいとストーリー性溢れる作風で、国際的にも高い評価を得ているフォトグラファー・蜷川実花氏。展覧会や写真集の出版など精力的な活動を続けている彼女は、公私ともにPowerBook G4を愛用する、10年来のベテランMacユーザである。会場スペース全体がひとつの作品と言っても過言ではない蜷川氏の展覧会は、彼女自身がMacを使ってレイアウトデザインをしたものだ。
2005年11月15日(火)発売の最新写真集「floating yesterday」では、今までとは異なる作風も垣間見える。自分の道を進み続ける蜷川実花氏に、作品に対する思いを聞いた。

最新の写真集は「11年目のデビュー作」


最新の写真集「floating yesterday」のテーマは「旅」。蜷川氏は、写真を始めた初期から旅先での撮影をライフワークとしており、今までに撮り貯めた写真は約3万枚にも上る。その中から、「これぞ」という写真を厳選し、1冊の写真集としてまとめ上げた。この写真集の中で最も古い写真は1997年のもの。それから7年という長い期間に渡って撮りためられた写真が、1冊の写真集に収録されている。
「今年で写真の仕事を始めて11年になるんですが、長くやっていると経験値がついてクオリティが高くなる反面、『撮りたいと思わなかったら撮らない』という気持ちを持続させることが難しくなってきます。今、その頃の写真を見ると、まぶしいんですよ。自分で自分に嫉妬する面もあったりします(笑)。この写真集に収録した写真は、誰に頼まれたわけでもなく、自分が撮りたいと思って撮った写真ばかりなので、すごくシンプルで基本に立ち返った写真集になっていると思います」。

「新しい写真集の作品は、誰に頼まれたわけでもなく、自分が撮りたいと思って撮った写真ばかりなんです」(蜷川実花氏)

蜷川氏が撮る「旅」や「街角」の写真は、普通の人が想像するスナップ的な撮影技法とは異なる。
「日常生活では、カメラは持ち歩かないんです。私にとって『日常』と『写真を撮るという行為』は地続きではなくて、スイッチを入れないと何も見えてこない。特に旅の写真では、周りで何が起こっているかというより、自分が撮りたい『何か』を見つけられるかどうかということが重要になってくる。そうやって感度を高めてみると、ささやくような出来事でも拾えるようになってくるんです」。
この「スイッチを入れる」作業が、蜷川氏の撮影スタイルの特徴だろう。写真を撮るモードに切り替わると、見えてくるものも違ってくる。そして本人の「たたずまい」も、目に見えて変わるようだ。「翌日撮影がある日は、言わなくてもわかるって言われますね」。

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最新の写真集「floating yesterday」より。

写真集に収められている撮影地域は、事務所のごく近くから海外まで、広範囲に及ぶ。 「南米や南アジアの印象が強いとよく言われるんですが、今回収録した写真は、ニューヨークで撮ったものが多いですね」。
お気に入りのスポットは、コニーアイランドと自然史博物館だという。ブルックリンにあるちょっと古びた遊園地と、鯨や動物の剥製が展示されている巨大な建物。これらの共通項は「つくりもの」感だと蜷川氏は言う。
「大自然や広大な土地があまり得意でなくて(笑)。把握できる広さの場所が安心するんです。動物も、野生動物より『元』動物がいい。何かしら人の手が入っていて、ニセモノ感と同時にリアリティもある、そんなものが好きなんです」。

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