撮影スタジオはガラス張りで開放的な雰囲気。コマーシャルフォトの感覚でシューティングが行われる。従来の写真室のような密閉感はまったく感じられない。
Power Mac G5とPhotoshopで「デジタルメイク」
顧客と写真を見ながらコミュニケーションを取っていくと、顔の特定の部分に対して「こういうふうに修正してほしい」という要望が出ることがある。このフォトスタジオでは、そのような要望に対して「デジタルメイク」という発想で応えている。
顧客のリクエストに合わせて「デジタルメイク」を施す。レタッチ作業ではPower Mac G5が活躍する。
「レタッチというより、メイクをする感覚です。顔にホクロがあったとして、そのホクロを取るのがいいのか、取らないのがいいのかはお客様が決められることですが、単に完全に消して整形手術のようにならないように、ホクロの上からメイクしたような、自然な仕上がりにすることもできます」
撮影時はRAWデータで記録しておき、一度サーバに取り込んだ上で、TIFFに展開してPhotoshop CSでレタッチ作業をしている。レタッチ作業にはPower Mac G5が使用されており、レタッチ作業を専門に行うスタッフも配置されている。レタッチを行うスタッフは、実際に撮影して顧客の要望も聞いたフォトグラファーと、常にコミュニケーションを行う。仕上がりにOKを出すのもフォトグラファーの仕事だ。写真に関するコンサルタントに近いスタンスで、フォトグラファーが顧客の要望を実現している。
広告写真で築いた色のノウハウを投入
顧客とフォトグラファーとがきめ細かなコミュニケーションを行うためには、「色再現の一貫性」は欠かすことができない。事前に確認したデジタル画像と納品されたプリントやアルバムの色が大きく異なっていては、顧客の満足を得ることはできないからだ。
「広告写真の現場と同じように、このフォトスタジオでもICCプロファイルの運用をしています」(柿間俊彦氏)
ササキスタジオの取締役であり、フォトグラファーでもある柿間俊彦氏は「ササキスタジオ本体で使用しているカラーマネージメントのルールを、このフォトスタジオにも適用させています」と話す。
「フォトスタジオで使用するカラースペースをきちんと決めて、どのモニタで見ても同じ色が再現できるように、キャリブレーションもしっかりと取り、最後の出力と色が合うようにするという努力をしました。広告写真の現場と同じように、このフォトスタジオでもICCプロファイルの運用をしています」(柿間氏)
実際には、撮影したその場で表情などを確認したい場合にスタジオ内に設置されているiMac G5を使い、正確な色を確認しながらレタッチをする場合に、フォトスタジオ内のクリエイティブルームにあるPower Mac G5とApple Cinema Displayを使用している。クリエイティブルームに関しては色評価用の蛍光灯を使用し万全の体制を整えている。出力を行うプリントラボや印刷会社に対しても、同社が使用しているカラーチャートを渡して、定期的なキャリブレーションを依頼しているという。
フォトスタジオに求められるデータ保全とセキュリティ
株式会社ササキスタジオ 取締役で自身もフォトグラファーの柿間俊彦氏。経営的観点から同社のデジタル戦略・戦術を推進するキーパーソン。
婚礼などの撮影が入るたびに、大量の画像がストックされていくフォトスタジオ。ここでは、データの保管と管理にXserve G5およびXserve RAIDを使用している。デジタルカメラから取り込まれた画像はサーバに保存され、クリエイティブルームのPower Mac G5で作業を行う際には、サーバからクライアントマシンへとデータをコピー。そして保存時にはサーバに書き戻し、クライアントマシンからはデータを消去するように徹底している。また、セレクト後の画像はRAWデータとともに一定期間サーバ上に保管されている。
個人情報保護の観点からデータセキュリティへの配慮も怠らない。Xserve G5やXserve RAID、作業用のPower Mac G5やiMac G5は、あえてインターネットに接続していない。外部とのデータのやり取りに際しては、専用のPowerBook G4だけを用い、ササキスタジオ本社がインターネット上に用意した高度なセキュリティ対策が施されたワークスペースを通じてのみ行われる。一般顧客の「顔」を扱い、芸能人の婚礼撮影なども行うフォトスタジオとして、外部からの侵入を許すわけにはいかない。柿間氏は「Xserve G5の導入も含めて、今できる最大限のことをやっておくことで、後々の評価に繋がると思っています」と語る。
このようにササキスタジオは、撮影から編集、そしてデータ保全に至るまで、広告写真を手がけてきた中で培ったノウハウや考え方を、ホテルのフォトスタジオにいかんなく投入している。単に撮影機材をデジタルカメラに置き換えただけではない、フォトスタジオの新たな可能性と魅力を開拓していると言うことができるだろう。
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スタジオ内に設置されているiMac G5の画面上で、顧客とフォトグラファーがコミュニケーションを取りながら写真をセレクトする。レタッチの希望などもその場で話し合うことができる。
プリントした写真を貼り込んだアルバムはもちろんのこと、デザイナーによる美しいレイアウトが施されるアルバムをオーダーできるのはデジタルならではのサービスだ。