女性誌、ファッション誌におけるビューティーフォトの第一線で活躍するフォトグラファーの高橋ヒデキ氏は、2003年からデジタルカメラによる撮影へ全面的に切り替えている。女性の肌や唇の質感、色の再現に対する要求が厳しいビューティーフォト、そしてスケジュールがタイトな雑誌の世界に身を置く高橋氏は、デジタル撮影のワークフローを効率化するためにMacを活用し、さまざまなノウハウを蓄積している。
撮影スタジオにPower Mac G5やディスプレイを持参
「今から3年くらい前、フィルムでの撮影を一切断ったんです。そうしたら半年で仕事が10本くらいしかなくなった(笑)。当時はまだデジタル撮影に対して保守的だったので、編集者や印刷会社が追いついてこなかったんですね」。 フォトグラファーの高橋ヒデキ氏は、デジタルカメラでの撮影に移行した当時を笑って振り返る。ファッション誌から広告写真まで、長年にわたり数多くのビューティーフォトを手がけている高橋氏は、時代を象徴する日本人女性の「顔」を創ってきたと言っていい。
ビューティーフォト、そして雑誌におけるワークフローの特徴について高橋氏は、「月刊もあれば隔週刊もあるわけですが、撮影してからレタッチ済みの写真を納品するまでの期間が極端に短い場合もあるんですよ。つまり、短期間でクオリティの高い作品が常に求められます」と語る。
そんな高橋氏がスタジオに持ち込むのは、撮影のための機材だけではない。最近ではスタジオにMacが設置されているケースも多いが、そうでない場合は自らPower Mac G5と23インチのディスプレイを持参するという。遮光フードやキャリブレーションツールもあらかじめ用意し、撮影開始の30分前からディスプレイを起動して暖めておくなど、ビューティーフォトで重要な色の再現性を高めるための準備や手間は惜しまない。
仕上がりに近いイメージを現場のスタッフ全員で共有
「デジタルカメラをMacに直結して、撮影した写真をハードディスクに保存するのが、僕の仕事の特徴かもしれません。これなら写真を撮ってすぐにディスプレイ上で色をチェックできますし、メイクも拡大して見せられる。ディスプレイの23インチというのは実際に雑誌を見開いたサイズなので、より仕上がりに近いイメージを伝えやすいんです」と高橋氏。撮影した写真の色や質感を、その場で雑誌編集者やクライアント、モデル、メイクアップアーティストと共有することで、編集者が写真の方向性を確認したり、メイクの修正を指示するといったリレーションがスムーズになるのだ。
「ビューティーフォトの世界は、まず女性ありき。僕自身は女性の感性や視点のすべてを理解できるわけではないから、女性の編集者やメイクアップアーティストたちとリレーションをとって撮影を進めることが、すごく大切なんです。ビューティーフォトの仕事では、今のシステム以外は考えられませんね」。
撮影した写真は2台のハードディスクに保存するほか、.MacのiDiskにも一定期間バックアップしている。スケジュールがタイトなときには、撮影現場からiDiskにデータをアップロードして編集者に渡す場合もあるという。「.Macはよく使いますよ。iDiskにアップロードした写真をデザイナーさんがレイアウト用に使ったり、編集者に見せて最終的なセレクトをしてもらうとか」と、.Macをうまく活用しているのは大のMacユーザである高橋氏ならではだろう。
ビューティーフォトの色再現を支えるColorSync
撮影スタジオにPower Mac G5やディスプレイを持ち込み、色の再現性を安定させた上でモニタのキャリブレーションを行うなど、写真の評価環境に細心の注意を払う高橋氏。こうしたビューティーフォトでのワークフローを可能にしているのは、Macがカラーマネージメントという概念を早くから具現化しているからだ。
「Macでなければならない理由は、カラーマネージメントの仕組みがしっかりしているからです。昔はWindowsで画像処理をしていたのですが、ディスプレイで見たままの出力ができない。ところがMacを使ってみたら、システムにColorSyncという機能があり、正確な色が出る。Macに切り替えたのは、色を見るならMacしかないと確信したからです」。
