株式会社テレバイダー・
エンタテインメント:
映像コンテンツ制作の未来型
現在、テレバイダー・エンタテインメントでは、数台のMacとFinal Cut Pro 6、Motion 3、Soundtrack Pro 2が使われている。意外なことに、HDフォーマットの編集作業でもMacBook Proを使うことが多いという。これは、クライアントへ映像を見せに行ったり、編集所や撮影所に持って行って作業することがあるからだそうだ。今でこそすべてMacで作業しているが、熊沢氏たちが最初に触ったノンリニアの機材は、実は東京MXテレビに導入されていたAvid製品だったという。
「記者が自らカメラ回して、撮って、完パケまで持って行くのが東京MXテレビのウリだったんですね。でも、今でこそ安くなったけれど、当時はAvidの製品って個人が所有するようなものじゃなかった。だから、その後に移ったスペースシャワーでは、みんなMacとFinal Cut Proを使ってました。みんなとプロジェクトを共有できるから、僕もPowerBook G4とFinal Cut Proを使い始めて。使い勝手も良かったですね」
フリーの編集マンが入ることもある放送業界では、個人が編集システムを所有できるという意義は大きい。また、同じソフトを使っていれば、フォーマット変換を行わなくても、そのままデータを渡せるというメリットがある。熊沢氏は放送業界でFinal Cut Proが多用されるようになった要因を次のように分析する。
「なぜこんな爆発的にFinal Cut Proが広がったかと言うと、使いやすいからですよ。誰でもできるぐらい操作が簡単で、なおかつ手が届く値段ですし」
ネットのヒーローを作りたい
テレバイダー・エンタテインメントはテレビ番組以外にも、自社制作・運営のサイトColor Television Network(CTVN)など、インターネットをターゲットにした映像コンテンツも数多く制作している。インターネット・コンテンツに取り組むのはいかなる目的からだろうか。
「テレビ以外のところも探っていかないと面白くないですからね。たとえば、大手ポータルサイトのトップに映像コーナーができて、みんなが見るようになる可能性もある訳じゃないですか。そういう動向も見ておかないと、将来的に対応できるものが限られてしまいますから」
それらインターネット・コンテンツの仕事には、『ロッキー・ザ・ファイナル』や『サンキュー・スモーキング』などの、プロモーション用バイラル映像の制作もあった。YouTubeで公開されたこれらの映像は好評を得て、中には130万件以上のアクセスを記録したものもある。また、ダイエットDVD『ビリーズブートキャンプ』のビリー・ブランクスが来日するのに合わせて、頼まれたわけでもないのに自主的に“勝手”バイラル映像を公開したこともあったという。
「やまもとまさみという芸人さんを使って、イラク帰りのオカマの自衛隊員という設定で『まさみブートキャンプ』というのを作ったんですよ。実はビリーが来るらしいという情報をつかんだのは来日の4日前だったんです。それで、アメ横の中田商店にアーミーグッズを買いに行かせて、やるからちょっと来てとカメラさんとか呼んで、1日で撮影して」
わずか1日で撮影して4日後に間に合わせる、そういったフットワークの軽さや、テレビ以外のメディアへ対応することができるのも、MacとFinal Cut Studioがもたらした利点だという。
「ほかにも、24時間テレビ風のハプニング映像とか作りました。金剛地さんに黄色いTシャツ着せて走らせるんですよ。さんざん走らせて、追い込んで追い込んで、使うの30秒です(笑)。オリンピックでブラジルの選手が観客に走行妨害されたということがあったじゃないですか。それを真似て、24時間テレビのTシャツを着た金剛地さんが、ゴール間際で走行妨害されて、茫然自失となっているところで映像が終わるというのを、24時間テレビの裏で流しました」
24時間テレビ絡みの事件があった際に公開されたこの映像は、結果的に1日で30万件のアクセスを記録、現在100万件を突破したという。「ながら見のテレビとは違い、ネットは映像にたどり着くまでの過程を演出できる」と語る熊沢氏は、このような映像制作が新しいビジネスにつながる実験だと位置づけている。
「ひょっとしたら、ある企業は金剛地さんが製品についてしゃべる映像を作ってもらいたいかも知れないじゃないですか。それがちゃんと仕事として成立して、なおかつクライアントさんも満足する、そんな状況があればいいかなと。だからCTVNでいろんなキャラクターを作っていって、それがネットのヒーローになって、どんどんスピンオフしていくようになると嬉しいですね」
テレバイダー・エンタテインメントのような新しいタイプの制作会社が、今後の映像コンテンツのあり方を切り拓いていくのかも知れない。彼らのチャレンジの傍らには、今後もMacとFinal Cut Studioがあることだろう。



