ディスバウンドディメンション:
Shakeでデジタル合成をスピードアップ

いまや映像制作において欠くことのできない存在となりつつあるCG。コマーシャルフィルムや、プロモーションビデオのCG制作を手がけるディスバウンドディメンションでは、アップルのビジュアルエフェクト合成ソフトウェアShakeを使ってワークフローを標準化し、ポストプロダクション作業のスピードアップを実現した。

映像編集ツールとしてShakeを採用

ディスバウンドディメンション(以下DBD)は、テレビCFのディレクターとして、またVJとしても活躍する映像アーティスト尾小山良哉氏が2004年に設立したCG制作会社である。尾小山氏の作る映像は、CGを巧みに利用しながらも、実に繊細だ。たとえば、あるチョコレートのCM映像では、日本画の中に滑らかな抹茶色の液体が流れ込んで、白い花が雪に変わるという幻想的で美しい世界が描き出される。流れてきた抹茶色の液体の上に、チョコレートがコーティングされていくのだが、どこまでが実写でどこからがCGなのか、そんな思いを差し挟む余地すら感じられない。

ディスバウンドディメンション ディレクター/プロデューサー
尾小山良哉氏

「今は、映像を作ろうと思ったら、実現の手段が何通りもある。CGでもできるし、撮影でもできるし、合成でもできる。どの手段を選べば一番クオリティの高い映像が作れ、コストパフォーマンスに優れているかをチョイスできるようになりました。だからこそ、それらを統合して使いこなすことが求められています。そこで、撮影した素材や、CG、すべてを統合し編集するツールとして、Shakeを利用しています」(尾小山氏)。

ディスバウンドディメンションの設立当時は、デジタル合成処理と言えば、まだ5,000万円から1億円もする高価な機器を使うのが一般的だったと尾小山氏は言う。「その頃、Adobe AfterEffectsはすでにありましたが、まだプロ用のツールとはみなされていませんでした。また、高額の設備投資をするのはリスクも大きい。そんなところに、Autodesk CombustionやDigital Fusion、Shakeといったミドルレンジのマシン向けソフトウェアが登場してきました。そこで、選択の決め手になったのは、アップルという会社の姿勢です。QuickTimeのコーデックの開発にも熱心だし、Final Cut ProやShake、Motionといったソフトウェアを組み合わせて、いずれは高価なノンリニア編集機と同じようなことができるようにしようとしている。そんな印象を受けたことから、Shakeを選んだのです」(尾小山氏)。

「分業」に適したShake

プロモーションビデオやテレビCFの制作では、CG素材を最終的に合成した後、クライアントにプレゼンテーションする段階でInfernoを使うことが多い。DBDでは、自社制作したCG素材を、Infernoに渡す前の「仕込み」の段階でShakeを活用している。

「InfernoとShakeとでは、レスポンスのスピードが違います。クライアントから『ここは、こうしたい』とオーダーされた時、その結果をすぐ画面で確認するには、Infernoのスピードが必要です。しかし、マスクを切ったり簡単な修正を行うだけなら、そこまでのパフォーマンスも、職人と言われるような高いスキルのオペレーターにやってもらう必要もありません。Shakeの最大のメリットは、ミドルレンジのマシンで動くことです。Infernoを借りようと思うと、予算的に1台しか借りられないという時でも、ミドルレンジのマシンなら5台同時に回せる。マスクを切るといった作業なら、スキルの高くない人にもできる。Shakeを使った分業体制を作ることで、コストパフォーマンス良く、スピーディに作業を進めることができるのです」(尾小山氏)。

尾小山氏が、こうした「分業」の必要性を痛感するようになった背景には、テレビCFの制作期間の短縮化があると言う。10年前には、CGが入ると言えば、撮影の後1ヶ月はCGの制作期間を取ることができた。しかし、現在の制作期間はわずか1週間程度。

「昔は、撮影した映像に後からCGを加えるという考え方でしたが、今は撮影前からCGを作り始めることも、CGに合わせて撮影することも珍しくありません。CGも一つの素材、撮影した映像も一つの素材。Shakeはこれらの素材を短期間で加工するのに適したツールであると同時に、これらの素材をすべて統合し、クリエイティブ的にまとめる場でもあるのです」(尾小山氏)。

 
 
 
 
 

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