FILM: クリエイターが追い求めた環境

映画、テレビ、ネットなど、さまざまなメディアで質の高いエンターテインメント作品が求められる今、創造的な作品を生み出す基盤にはクリエイターが快適に作業できる環境が欠かせない。ストレスのないハイスペックな制作環境、クリエイターが育つ環境、そして質の高いクリエイティブを生み出すワークスペースとしての環境。こうしたクリエイターが能力を発揮できる環境を、設備、人材、仕事、ロケーションのすべてにおいて実現している新しい形のデジタルポストプロダクションが、フジテレビジョンとProduction I.Gが共同で設立したFILMだ。

映画とCGアニメ制作のための新しい組織

東京・府中市郊外の「IG-FIXスタジオ」。撮影用の貸しスタジオとして利用されているこの建物は、表通りからはちょっと変わった形のビルにしか見えない。しかし、通りに面した建物の向こう側にはテニスコート一面分ほどの緑の芝生に覆われた広い中庭があり、そのさらに奥には白壁の瀟洒な別棟がある。その一階がFILMの制作スタジオである。

FILMの誕生は2006年1月。フジテレビとProduction I.Gの共同出資による有限責任事業組合(LLP)として設立された。LLP とは聞き慣れない名称だが、複数の会社が共同で事業を行う際の新しい事業形態の一つ。一般の会社の取締役に相当する「職務執行者」は、フジテレビジョンの亀山千広執行役員常務 映画事業局長と、Production I.Gの長谷川隆一取締役が務める。

FILMの新しい点は、LLPという事業形態だけではない。Macベースの最新のデジタル編集システムを有するスタジオで、12名のスタッフが、CGアニメーション制作から、劇場映画のメイキングや予告編の制作、DVD・HD DVD・BD・UMDなどの制作ディレクションとメニューデザイン、映画やDVDの音響制作コーディネートなど、幅広いジャンルの仕事をこなしている。

映画「西遊記」のVFXとCGI。日清カップヌードル&大友克洋プロモーションプロジェクトのCM「FREEDOM それぞれの自由篇」「FREEDOM 本当の地球篇」のCGアニメーション制作。周防正行監督の最新映画「それでもボクはやってない」のコラボ企画ビデオポットキャスト/テレビ番組「周防監督 日本あっちこっち」の企画、制作、配信。CX系テレビ番組のオープニングCG、コーナータイトルの制作。劇場版「大奥」のDVDメニュー制作と特典映像制作等々、設立から一年半で手がけた仕事の数々は、話題作ばかりだ。

FILM Business & Administration 出納泰治氏

「FILM とは何かを説明するのには、いつも苦労しています」と語るのは、FILMのスタッフの中で数少ない「事務方」を務める出納泰治氏である。「FILMには『会社っぽい雰囲気』というのが最初からありません。組織はフラットだし、僕自身、お金の出入りや、経営管理サポート的な仕事はしていますが、スタッフから見て上司ではない。スタッフをまとめる『寮長』、それが僕の役割です」(出納氏)。

Macベースの編集システムを採用

FILMの大きな特徴は、クリエイターが力を発揮するための環境作りに対する徹底したこだわりにある。郊外ではあるが交通の至便な立地、天井が高くゆったりとレイアウトに余裕を持たせたスタジオ、上下関係のないフラットな組織。これらに加え、何よりも強いこだわりを感じられるのが、その設備だ。アップル製の最上位ハードウェア(導入時)とソフトウェアを採用した最新のデジタル編集システムは、特筆に値する。

メインのノンリニア編集システムは、Power Mac G5 Quad が2台、AJAのKONA3カードを装備し、HDCAM、デジタルベータカム、DVCAM、HDVのレコーダーと接続されており、各種映像フォーマットの取り込み/書き出しに対応。また、Final Cut Proをはじめ、Soundtrack Pro、DVD Studio Pro、Shakeなどのアプリケーションが利用できる。この他に、11台のPower Mac G5 Quad と6台のPowerBook G4、Dellのワークステーション2台が編集用マシンとして利用可能だ。

映像データは、Xsanを介して30TBの共有ディスクに格納される。CGのレンダリング用には、Power Mac G5 Quad 4台を使ったレンダーファームが構築されている。また、ディレクトリサーバを導入しているため、空いているクライアントマシンがあれば、自分のIDでログインし、作業を行える。すべてのクライアントマシンで非圧縮のHD編集が可能。FILMでは、仕事のボリュームによっては外部のクリエイターとの共同作業も行っているため、この設備を利用してもらうこともあるそうだ。

アップル製品を選んだ理由について、出納氏はこう語る。「最新の設備を一から揃える上で、使いやすさとコスト、さらに、クリエイター好みのデザインまで総合的に考えると、アップルが最適でした。最高の環境で、クオリティの高い作品を生み出すことがFILMの存在意義。そのためには、アップルのハードウェアとソフトウェアが欠かせなかったのです」。

 
 
 
 

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