フジテレビジョン スポーツ局:
Xsanによる次世代放送システムへの一歩

デイリースポーツニュース番組「すぽると!(SPORT)」の制作や、プロ野球、サッカー、F1をはじめ様々なスポーツ中継を行っているフジテレビスポーツ局では、XsanとFinal Cut Proによるノンリニア編集システムを導入。撮影から編集、オンエアまでをオールデジタルで行う新たなワークフローの構築に取り組んでいる。

現場から取材・編集・データ送信

フジテレビのデイリースポーツニュース番組「すぽると!(SPORT)」は、プロ野球、Jリーグなどの国内プロスポーツはもとより、K-1、海外サッカー、MLB、バレーボール、F1グランプリ、ゴルフ、陸上、フィギュアスケートなど、幅広いジャンルのスポーツと選手にスポットを当て、スポーツの楽しさを伝える番組として人気を集めている。

株式会社フジテレビジョン 技術局制作技術センター映像技術部 主任 小川栄治氏

2006年春、「すぽると!(SPORT)」の番組内で、沖縄でのプロ野球のトレーニングキャンプの模様が放送された。このキャンプレポートは、同社スポーツ局のディレクター自らがカメラを持って取材/撮影し、MacBook Proに取り込んでFinal Cut Proで粗編集したものを、ホテルからインターネットを利用して東京・お台場のフジテレビに送信した映像だった。「このやり方は、現地で取材した後、編集室を借りて、さらに東京へ送るための回線を押さえるという従来の方法に比べると、非常に効率的でコストの面でも有利です」と、同社技術局制作技術センター映像技術部主任の小川栄治氏は語る。

特筆すべきは、この映像がHDであったことだ。他局の沖縄発のキャンプレポートは、そのほとんどがSD映像。沖縄での地上デジタル放送開始はNHKが2006年4月から、民放は2006年12月からの予定である。春のトレーニングキャンプが行われる時期に、HDに対応した編集環境はまだ十分に整っていなかった。しかし、フジテレビスポーツ局のディレクターは、HDVカメラで撮影し、MacBook ProとFinal Cut Proを使って編集したあと、地元のテレビ局の回線を借りるのではなく、IP回線でファイルを送信した。

取材/撮影から編集/データ送信までを一人が一貫して行うという方法は、フジテレビスポーツ局にとっても大きなチャレンジであった。「当時のスポーツ局では、リニア編集環境の中にAvidのノンリニア編集機を1台導入してはいましたが、最初の本格的なHDノンリニア編集環境として導入したのが、MacBook Pro2台とPower Mac G5 1台だったのです」。

このシステムを高く評価したのは、実際に利用したディレクターだった。「取材者が自分で編集することで、取材者の意図が明確に反映できる」というのである。スポーツ選手はそれぞれが独特の考え方を持っており、自分の話した言葉のニュアンスを正確に伝えたいと望んでいる。だが、放送では1時間のインタビューをわずか5分程度に編集しなければならないケースも少なくない。従来のシステムでは、1時間分の取材テープをフジテレビ本社に伝送し、本社の人間に編集を任せなければならなかったため、スポーツ選手の言葉が、彼ら自身の意図や取材ディレクターが受けた印象とは異なる形で伝えられてしまうこともあったという。

新しいシステムでは、取材ディレクターが自ら映像素材を吟味し、必要な映像をつないでから本社に送ることができる。自分を信頼し、話をしてくれたスポーツ選手の声をより正確に伝えられるため、取材者としての責任が全うできるようになったというのだ。しかもノンリニア編集なら、リニア編集のような巻き戻しや早送りといった操作も不要で、よりスピーディーに編集作業が行えるというメリットもある。「限られた時間の中で、より良いものを作りたい」と願うスポーツ局のディレクターにとって、MacとFinal Cut Proによる編集システムのメリットは、非常に大きなものだった。

Xsanを中核とした編集システムを導入

そして2006年5月、フジテレビスポーツ局に新たにXsanとFinal Cut Proを中核に据えたノンリニア編集システムが導入されることとなった。「新システム導入の直接の契機は、社内のフロアプランの変更でした。スポーツ局が11階から23階へ移動することになり、スポーツ局に隣接して編集ルームを設けることが必須条件でした。そこで、新たに編集ルームを設計するなら、ノンリニア編集のできるシステムを入れたい。それなら、局内での使用実績もあるFinal Cut Proを導入しよう、ということになったのです」。

新システムの構築担当となった小川氏には、一つの考えがあった。「せっかくノンリニアの編集システムを導入するのですから、インジェスト(映像の取り込み)を始めたらすぐに編集に取りかかれること、そしてオンエアまでの一連のワークフローをすべてデジタル化したいと思っていました」。目標は、撮影の段階でいったんファイルになった素材や、ベースバンドの信号をファイル化した素材を、送出からアーカイブまで、ファイルとベースバンド信号の間を行ったり来たりすることなく、一貫してファイルとして取り扱えるようにすることだと言う。こうしてフジテレビ技術局は、新たなファイルベースのワークフローの構築へと歩み始めた。

 
 
 
 
 

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